※かなり長いので、基本スルーしてくださいな。お暇な時間にでもどうぞです。
「嘘」を内包する果実の話。
あなた、愛が足りないみたい。
そう件の占い師が言ったので思わず笑ってしまった。そして、そっと心の中で返事をする。
そんなの、知ってる。
いつも、下へ下へと落ちる夢を見る。今のところ、底についたことはない。ずっとずっと落ちて行くだけの夢。
だけど、落ちているのに、周りは星空だ。暗闇のなかに、星がチカチカしている。宇宙だ、宇宙をわたしはどんどん下へ下へ落ちて行く。宇宙に上や下はないはずなのに、その宇宙を落下して行く。
落ちる、というのは気持ちのいいものではない。
このまま底について激突したら嫌だなぁと思うときもあるが、そこは宇宙なので、底があるかもという考え自体があり得ないことだとすぐに考え直したりもする。
奈落の底という言葉があるが、底があるだけマシな気が最近はしている。底なしの宇宙をただただ永遠に落ちるだけは、本当に気持ちのいいものではないから。
夢と言えば、先日初めて××さんに夢の中で出会った。
わたしは、全く自慢はできないし自慢したところでちょっとおかしな人扱いを受けるので黙っているが、明晰夢を見るのが得意だ。
その日も、わたしは夢の中でこれが夢だと気がついた。だから、呼んでみたのだ。××さーん、ちょっときて~!と。
よく顔を見る割に夢にも出てこない××さんを夢の中で見てみたいという軽い好奇心。
果たして、××さんは来てくれた。
その時わたしは森の中にいて、わたしの周りには人なのか妖精なのかよくわからないけれど、たくさんの人のような存在がいた。その存在たちが、××さんを呼ぶわたしに、来たよ来たよ!と嬉しそうに教えてくれたのだ。
彼らをかき分けるようにして××さんはわたしの前に来てくれた。夢の中で会ってみたかったんだよねと言ってみたが、返事はなかった。あまり表情も変わらず、すぐにふいっとどこかへ消えてしまった。
わたしの集中力が切れたのか、無理矢理呼び出されて機嫌が悪かったのか。どちらだとしても、所詮はわたしの夢なので誰にも迷惑はかけないのだけど。
ただ、実際にはそんな人でないことはよく知っている。それなのに、あれはちょっと悲しかった。
その数ヶ月後、夢の中で再会した××さんは、わたしのよく知る××さんだった。なぜなら、それは明晰夢ではなかったからだ。わたしは××さんとのんびり話し、笑い、目覚めてもとても気分が良かった。
自然が一番ってことなのかなと思うけれども、明晰夢もなかなかに楽しいわけで、趣味としてこっそりやるのはいいかとも思う。
だってほら、何回も言うけれど、誰にも迷惑はかけないから。
まあ、とりあえず好奇心は満たされて気は済んだので、もう××さんを夢に呼び出したりはしない。
だけど、あれ以来、呼んでもいないのに度々××さんはわたしの夢を訪れるようになり、いろんな意味でちょっと迷惑をしているのは内緒だ。あんまり目の届くところに居られると、××さんは眩しすぎる。もうちょっと、離れていてくれないかなぁ。それか、サングラスちょうだい。直視してたくない。
これは、人間として××さんを尊敬するが故の嫉妬だと思っていて欲しい。心が狭いよなあ、わたしも。
そう、それで、例の占い師の話。
いかにも占い師ですというようなアラビアンな衣装が逆に怪しくうつる女性だった。そもそも、怪しくうつらない占い師がいるのかどうかは疑問だけれど。
わたしが答えなかったものだから、図星だと取ったらしい。本当に図星だったので別にいいのだけれど、やっぱりねという顔をされるとちょっとうんざりしてしまうのは、我ながらちょっと性格悪いなとたまに思う。やっぱりねとならない占い師って、だってそれはインチキじゃないか、じゃあやっぱりなって思われた方がいいに決まってるのに。
辛いことがあったのねと言うので、まあそうですねと返す。
そもそも、人間誰しも耐えられないくらい辛い出来事って1回は経験してる気はするのだけれど、それは口には出さないでおく。
うん、これはね、他人にも言えないでしょうけれどね、辛いわ。
どれのことを言ってるのか、ちょっとわからない。
幼少期のアレ? それとも小学生の時? 中学生かな? 厄年の時かな? どれだろ。
今は別になんとも思ってないんですけど?
そうね、心の奥深くに封印してるし、辛いから感情を麻痺させてる感じがするわ。まずは自分を癒すことから始めてみて欲しいの。自分を自分の愛情で満たして。愛情がコップにいっぱいたまってあふれたら、あふれた分他人に与えられるようになるから。今は自分を大切にして。
その意見にはわたしも賛成だったので、頷いた。まあ、自己啓発系の本を読めばたいていどの本にもそう書いてあるので、彼女を信用する指針にはならなかったのだけど。
最後に彼女は言った。
愛は感じればどこにでもある。愛が足りないということはないのよ。
また今日も宇宙を落ちる。果てなく落ちる。
星がチカチカ瞬いている。
落ちる。
どこまでも。
こんな現実はない。
ほんとうに?
これはほんとうに夢?
ここにも愛ってあるのだろうか。
いや、違う。
わたしはわたしに愛を注いでやらなければ。
愛ってなんだっけ。
ああ、なんだろう、泣いてる子が居るような気がする。
でもどこにいるかわからない。
落ちる。
果てしなく落ちる。
このまま老いて、それでも落ち続けたらどうなるのだろう。
ああ、やっぱり底はある方がいい。
奈落の底からは。
上がるだけなんだから。
わたしは親の愛情を感じにくい子どもだったが、今思い出すと愛されていたなぁと思えることはたくさんある。
小さい頃、お父さんと手をつながないと眠れなかった。そう言うと、友人たちはお父さん幸せだね~と口を揃えて言った。
お父さんは幸せだっただろうか?
わからないけれど、幸せだったのだろうな、だってわたしは幸せだったから、お父さんと手をつなぐのが。
夏は午後7時になっても明るいけれど、明るいのにその時間に家に帰ってないと心配され怒られた。中学生になっても。
ガスどころか、お湯を触るのすら危ないとやらせてくれなかったり。
ちょっと過保護な部分があったと思う。
過保護にしておきながら、突然どうしてできないのと突き放されてびっくりしたこともあったけれど。だって、教えてくれなかったじゃん、って反撃は心の中だけ。どうしてもっとぶつからなかったんだろう。
そう、そうだ。お姉ちゃんだったんだもん、わたし。いい子でいなきゃって、典型的な長女だよね。
だけど、それで愛されてないって、勘違いしたこともあった。
自分の両親は完璧だって信じていたから、大きくなって必ずしも完璧でないことが見えるようになってくると、全部が憎らしく思えた。それなのに、我慢我慢、また我慢。
そして、心の中で文句ばっかり言って、もうあなた達の子育て絶対間違ってるし!とか思って、幼い自己満足して。
ぶつかっても良かったな。
だって、それでもきっと、両親は受け止めてくれただろうから。
今なら、大人も完璧じゃないってわかるんだけど。
思うに、わたしという存在は唯一無二のものであって、それが例え親兄弟やパートナー、もしくは恋人であったとしても、軽々しく扱われていいものではないのだ。
だから、ぶつかったって良かった。そう、子どものうちは、まだ。ぶつかることがきっと甘えの表現。
今はまた違うだろう、わたしは不完全な大人になってしまった。
ぶつかることのできる大人ももう居ない。両親だって、老いていく、どんどん自分より弱く小さくなっていく。そんな相手にぶつかれようもないし、ぶつかりたいのは今の両親ではない。
愛は受け取ればいくらでもあったけれど、それを受け取ってこなかった。そう理解はできるけれど、あの時の愛を今感じることが困難だ。
ああ、これが感情が麻痺してる状態?だとすれば、あの占い師の眼力って本当だったのかな?
愛が足りない。そんな直接的な表現を今までしたことがなかった。
ただ、感じていたのは、ぽっかりと胸に穴が空いたような喪失感。
どうしたら埋まるのかわからなかったし、それを考えたこともなかった。穴が空いているのが、それが普通だったから、埋める方法なんて考える必要すらなかった。
だけど、愛が足りないと言われた瞬間に思った。そんなの知っている、と。
胸に空いた穴を、見ていなかったけれど知っていたのだ、ずっと。
自覚すると、苦笑しかでてこないな。どうやって埋めて行こう?
でもそうだ、愛が足りないってことはないって、あの占い師言ってたよね。
自分を大切にして、自分に与えて、周りの愛を感じれるようになったら、さらに加速して。
なにを与えていこう?
宇宙を落ちて行く。
チカチカと、星。
底がない。
本当に?
底がないのは本当なの?
わたしは本当に落ちてる?
一度目をつむる。静寂。
見えてないだけで、底があるとしたら。
大丈夫、わたしはもう自覚したんだから。
胸に穴が空いていると。
あとは埋めるだけなんだ。
今までみたいに、果てなく続く喪失感を普通と思わなくていい。
落ち続けることが普通だなんて誰が決めたの?
そう、それはわたし。わたしが底があるなんてあり得ないと思ったから。
だからわたしは落ち続ける。
じゃあ、底はあると決め直す!
ここから上がれる。
上がれるはずだ!
見開いた目に映るのは、奈落の底。
やっぱりあった!
あれが、今まで見えてなかった底!
ふわりとそこに舞い降りて、頭上を見上げる。
宇宙。
でも底がある。
ここは奈落の底。
ならば上がるだけじゃないか。
「×××××、××××」
ふと聞こえた声に振り向くと、そこには××さん。
ああ、眩しいから、会いたくなかったのに。
でも、なんでこんなに嬉しいんだろう。
「××さん、○○○○○○○」
ここは夢の中、奈落の底。
なにを言ってもいいでしょう。
誰にも迷惑はかけないわ。
わたし、この穴を埋めていく。
方法なんてわからないけれど、埋めるわ。
そう言うと、××さんは笑った。
嬉しいな。ここはあなたの世界。××の姿をしているこの自分も、これはあなたの一部だ。だから、本当に嬉しい。
だいじょうぶ、 愛は感じればどこにでもある。愛が足りないということはないんだよ。
The END
***************************
いろんな経験も、最後には結局「おいしい」と思ってしまう(笑)。
人生全てがネタだ。
あ、オチとかないんで、そこはごめんなさい(笑)
これでも、当初の予定よりはきれいにまとまった方です。まとまったとは言っても、まとまってないけど。だって、なんも考えずに思いつきで書き出したから当然だわw
そして長くてごめんなさい、数回にわけようと思ったけど面倒くさくなって区切ると味がなくなるしさ。
「嘘」を内包する果実の話。
あなた、愛が足りないみたい。
そう件の占い師が言ったので思わず笑ってしまった。そして、そっと心の中で返事をする。
そんなの、知ってる。
いつも、下へ下へと落ちる夢を見る。今のところ、底についたことはない。ずっとずっと落ちて行くだけの夢。
だけど、落ちているのに、周りは星空だ。暗闇のなかに、星がチカチカしている。宇宙だ、宇宙をわたしはどんどん下へ下へ落ちて行く。宇宙に上や下はないはずなのに、その宇宙を落下して行く。
落ちる、というのは気持ちのいいものではない。
このまま底について激突したら嫌だなぁと思うときもあるが、そこは宇宙なので、底があるかもという考え自体があり得ないことだとすぐに考え直したりもする。
奈落の底という言葉があるが、底があるだけマシな気が最近はしている。底なしの宇宙をただただ永遠に落ちるだけは、本当に気持ちのいいものではないから。
夢と言えば、先日初めて××さんに夢の中で出会った。
わたしは、全く自慢はできないし自慢したところでちょっとおかしな人扱いを受けるので黙っているが、明晰夢を見るのが得意だ。
その日も、わたしは夢の中でこれが夢だと気がついた。だから、呼んでみたのだ。××さーん、ちょっときて~!と。
よく顔を見る割に夢にも出てこない××さんを夢の中で見てみたいという軽い好奇心。
果たして、××さんは来てくれた。
その時わたしは森の中にいて、わたしの周りには人なのか妖精なのかよくわからないけれど、たくさんの人のような存在がいた。その存在たちが、××さんを呼ぶわたしに、来たよ来たよ!と嬉しそうに教えてくれたのだ。
彼らをかき分けるようにして××さんはわたしの前に来てくれた。夢の中で会ってみたかったんだよねと言ってみたが、返事はなかった。あまり表情も変わらず、すぐにふいっとどこかへ消えてしまった。
わたしの集中力が切れたのか、無理矢理呼び出されて機嫌が悪かったのか。どちらだとしても、所詮はわたしの夢なので誰にも迷惑はかけないのだけど。
ただ、実際にはそんな人でないことはよく知っている。それなのに、あれはちょっと悲しかった。
その数ヶ月後、夢の中で再会した××さんは、わたしのよく知る××さんだった。なぜなら、それは明晰夢ではなかったからだ。わたしは××さんとのんびり話し、笑い、目覚めてもとても気分が良かった。
自然が一番ってことなのかなと思うけれども、明晰夢もなかなかに楽しいわけで、趣味としてこっそりやるのはいいかとも思う。
だってほら、何回も言うけれど、誰にも迷惑はかけないから。
まあ、とりあえず好奇心は満たされて気は済んだので、もう××さんを夢に呼び出したりはしない。
だけど、あれ以来、呼んでもいないのに度々××さんはわたしの夢を訪れるようになり、いろんな意味でちょっと迷惑をしているのは内緒だ。あんまり目の届くところに居られると、××さんは眩しすぎる。もうちょっと、離れていてくれないかなぁ。それか、サングラスちょうだい。直視してたくない。
これは、人間として××さんを尊敬するが故の嫉妬だと思っていて欲しい。心が狭いよなあ、わたしも。
そう、それで、例の占い師の話。
いかにも占い師ですというようなアラビアンな衣装が逆に怪しくうつる女性だった。そもそも、怪しくうつらない占い師がいるのかどうかは疑問だけれど。
わたしが答えなかったものだから、図星だと取ったらしい。本当に図星だったので別にいいのだけれど、やっぱりねという顔をされるとちょっとうんざりしてしまうのは、我ながらちょっと性格悪いなとたまに思う。やっぱりねとならない占い師って、だってそれはインチキじゃないか、じゃあやっぱりなって思われた方がいいに決まってるのに。
辛いことがあったのねと言うので、まあそうですねと返す。
そもそも、人間誰しも耐えられないくらい辛い出来事って1回は経験してる気はするのだけれど、それは口には出さないでおく。
うん、これはね、他人にも言えないでしょうけれどね、辛いわ。
どれのことを言ってるのか、ちょっとわからない。
幼少期のアレ? それとも小学生の時? 中学生かな? 厄年の時かな? どれだろ。
今は別になんとも思ってないんですけど?
そうね、心の奥深くに封印してるし、辛いから感情を麻痺させてる感じがするわ。まずは自分を癒すことから始めてみて欲しいの。自分を自分の愛情で満たして。愛情がコップにいっぱいたまってあふれたら、あふれた分他人に与えられるようになるから。今は自分を大切にして。
その意見にはわたしも賛成だったので、頷いた。まあ、自己啓発系の本を読めばたいていどの本にもそう書いてあるので、彼女を信用する指針にはならなかったのだけど。
最後に彼女は言った。
愛は感じればどこにでもある。愛が足りないということはないのよ。
また今日も宇宙を落ちる。果てなく落ちる。
星がチカチカ瞬いている。
落ちる。
どこまでも。
こんな現実はない。
ほんとうに?
これはほんとうに夢?
ここにも愛ってあるのだろうか。
いや、違う。
わたしはわたしに愛を注いでやらなければ。
愛ってなんだっけ。
ああ、なんだろう、泣いてる子が居るような気がする。
でもどこにいるかわからない。
落ちる。
果てしなく落ちる。
このまま老いて、それでも落ち続けたらどうなるのだろう。
ああ、やっぱり底はある方がいい。
奈落の底からは。
上がるだけなんだから。
わたしは親の愛情を感じにくい子どもだったが、今思い出すと愛されていたなぁと思えることはたくさんある。
小さい頃、お父さんと手をつながないと眠れなかった。そう言うと、友人たちはお父さん幸せだね~と口を揃えて言った。
お父さんは幸せだっただろうか?
わからないけれど、幸せだったのだろうな、だってわたしは幸せだったから、お父さんと手をつなぐのが。
夏は午後7時になっても明るいけれど、明るいのにその時間に家に帰ってないと心配され怒られた。中学生になっても。
ガスどころか、お湯を触るのすら危ないとやらせてくれなかったり。
ちょっと過保護な部分があったと思う。
過保護にしておきながら、突然どうしてできないのと突き放されてびっくりしたこともあったけれど。だって、教えてくれなかったじゃん、って反撃は心の中だけ。どうしてもっとぶつからなかったんだろう。
そう、そうだ。お姉ちゃんだったんだもん、わたし。いい子でいなきゃって、典型的な長女だよね。
だけど、それで愛されてないって、勘違いしたこともあった。
自分の両親は完璧だって信じていたから、大きくなって必ずしも完璧でないことが見えるようになってくると、全部が憎らしく思えた。それなのに、我慢我慢、また我慢。
そして、心の中で文句ばっかり言って、もうあなた達の子育て絶対間違ってるし!とか思って、幼い自己満足して。
ぶつかっても良かったな。
だって、それでもきっと、両親は受け止めてくれただろうから。
今なら、大人も完璧じゃないってわかるんだけど。
思うに、わたしという存在は唯一無二のものであって、それが例え親兄弟やパートナー、もしくは恋人であったとしても、軽々しく扱われていいものではないのだ。
だから、ぶつかったって良かった。そう、子どものうちは、まだ。ぶつかることがきっと甘えの表現。
今はまた違うだろう、わたしは不完全な大人になってしまった。
ぶつかることのできる大人ももう居ない。両親だって、老いていく、どんどん自分より弱く小さくなっていく。そんな相手にぶつかれようもないし、ぶつかりたいのは今の両親ではない。
愛は受け取ればいくらでもあったけれど、それを受け取ってこなかった。そう理解はできるけれど、あの時の愛を今感じることが困難だ。
ああ、これが感情が麻痺してる状態?だとすれば、あの占い師の眼力って本当だったのかな?
愛が足りない。そんな直接的な表現を今までしたことがなかった。
ただ、感じていたのは、ぽっかりと胸に穴が空いたような喪失感。
どうしたら埋まるのかわからなかったし、それを考えたこともなかった。穴が空いているのが、それが普通だったから、埋める方法なんて考える必要すらなかった。
だけど、愛が足りないと言われた瞬間に思った。そんなの知っている、と。
胸に空いた穴を、見ていなかったけれど知っていたのだ、ずっと。
自覚すると、苦笑しかでてこないな。どうやって埋めて行こう?
でもそうだ、愛が足りないってことはないって、あの占い師言ってたよね。
自分を大切にして、自分に与えて、周りの愛を感じれるようになったら、さらに加速して。
なにを与えていこう?
宇宙を落ちて行く。
チカチカと、星。
底がない。
本当に?
底がないのは本当なの?
わたしは本当に落ちてる?
一度目をつむる。静寂。
見えてないだけで、底があるとしたら。
大丈夫、わたしはもう自覚したんだから。
胸に穴が空いていると。
あとは埋めるだけなんだ。
今までみたいに、果てなく続く喪失感を普通と思わなくていい。
落ち続けることが普通だなんて誰が決めたの?
そう、それはわたし。わたしが底があるなんてあり得ないと思ったから。
だからわたしは落ち続ける。
じゃあ、底はあると決め直す!
ここから上がれる。
上がれるはずだ!
見開いた目に映るのは、奈落の底。
やっぱりあった!
あれが、今まで見えてなかった底!
ふわりとそこに舞い降りて、頭上を見上げる。
宇宙。
でも底がある。
ここは奈落の底。
ならば上がるだけじゃないか。
「×××××、××××」
ふと聞こえた声に振り向くと、そこには××さん。
ああ、眩しいから、会いたくなかったのに。
でも、なんでこんなに嬉しいんだろう。
「××さん、○○○○○○○」
ここは夢の中、奈落の底。
なにを言ってもいいでしょう。
誰にも迷惑はかけないわ。
わたし、この穴を埋めていく。
方法なんてわからないけれど、埋めるわ。
そう言うと、××さんは笑った。
嬉しいな。ここはあなたの世界。××の姿をしているこの自分も、これはあなたの一部だ。だから、本当に嬉しい。
だいじょうぶ、 愛は感じればどこにでもある。愛が足りないということはないんだよ。
The END
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いろんな経験も、最後には結局「おいしい」と思ってしまう(笑)。
人生全てがネタだ。
あ、オチとかないんで、そこはごめんなさい(笑)
これでも、当初の予定よりはきれいにまとまった方です。まとまったとは言っても、まとまってないけど。だって、なんも考えずに思いつきで書き出したから当然だわw
そして長くてごめんなさい、数回にわけようと思ったけど