お客さまは泥棒
ありえないような実際にあったお話。
ある日、営業マンの友人の父親が、わざわざテリ外(そのお店のテリトリー以外の場所)から、点検のクルマを持ってきてくれました。
当時フロントを担当していた僕が対応したのですが、とても感じのイイお父さんでした。
整備の内容を確認し、仕上がりは夕方くらいとお伝えしましたが、(お客さまの都合で)翌日にまた引取にご来店頂ける運びとなりました。
夜になって、スーツ姿で腕に腕章をつけた男のヒトが二人 来店してきました。
見るからに お客さまではない感じ 誰だろうと思いつつも、僕のほうから歩み寄って
「いらっしゃいませ。 今日は何か、、、、」 と尋ねると、、
二人組のうちの1人が
「イヤ、お客じゃないんです。実は、、、、」
と言って僕に分かるように差し出したのは、な、なんと 警察手帳 !
ディーラーに勤めていると、ひき逃げの車両とかが、修理で入庫していないか調査に来ることも珍しくはないのですが、
だいたいは、はじめに 「警察ですが、ちょっとお尋ねしたいんですが、、、」 と警察の方のほうから切り出してきます。
それが今回はちょっと違って、こちらの対応にも注意を払いながら入ってきた感じでした。
警察のヒト(以後、警) 「今日、○○さんって方が来ましたか?」
○○さんとは、午前中に点検のクルマを持ってきた 営業マンの友人の父親 の名前でした。
saku 「ハイ、お見えになりましたけど、、」
警 「誰が応対しました?」
saku 「私ですが、、、」
警 「ちょっとお時間いただけますか」
という感じで、その営業の友人父の行動について、こと細かく聞かれました。
よくドラマで警察が調書をとるのと、まったく同じ感じでした(笑)。
「何時ごろ来店したか?」 「そのときの様子は?」 「どういう話をしたか?」 などなど、
一通り、警察の質問攻めが終わったころ、最大の関心事を、僕が警察のヒトに聞きました。
saku 「あの~、○○さんが、なにかされたんですか?」
警 「実は、その○○さんが、××駅の近くでクルマを盗んで乗っていったんですよ」
時間を合わせると、どうやら○○さんはうちでクルマを預け、その足で駅の近くにキーがつけっぱなしだったクルマを拝借して、乗っていってしまったらしい。
saku 「え~、ほんとですか?」 「じゃあ、今は、、、、」
警 「警察署の留置所の中です」
saku 「○○さん、明日クルマを取りに来るって言ってましたけど、、、」
警 「無理ですよ。しばらく出られませんから、、。」 とのご返事。
警察が帰ったあと、事の経緯を 工場長、店長、担当営業マンの伝えました。
4人で話合い、そうするか考えた結果、とりあえず、事実を知らないフリをして営業マンから、○○さんの息子(つまりその営業マンの友人)に電話を入れることになりました。
営業マン 「こんちわ、今日お父さん来てくれたよ。有難うね。お父さんは明日取に来るって言っていたらしいんだけど、何時頃に来るのか聞くの忘れちゃったんだけど、知ってる?」 見たいな感じで聞きました。
友人 「いや、実は親父明日都合悪くなっちゃったんで、オレがいくよ」 という返事でした。
どうやら、先方にも、父ちゃんの泥棒が伝わっていたらしい(笑)。
そうなると、こちらが出来るのはただ一つ。 知らんプリをしてあげるのみ です。
その営業マンの、「なんか非常に僕は気まずいんですけど、、」 というコトバが今でも笑えます。