大英博物館の続編です。

階段を上がって上層階(アッパーフロア)へと向かいます。

 

ここから古代エジプトの展示が始まります。

エジプトといえば、やはりミイラですね。

エジプトのミイラ 紀元前2500年頃

古代エジプト人は永遠の命を信じていました。ゆえに、来世で復活した後の肉体が必要でした。

内臓を抜いた肉体を乾燥させ、布で巻いて棺に収められました。一体のミイラを作るのに70日かかったと言われます。

 

ゲベレインのミイラ 紀元前3500年頃

5000年前!のミイラですよ。西暦1900年に発見されました。

成人男性で、よく見ると頭髪が残っています。

近年、このミイラの上腕を赤外線調査したところ、動物のタットゥー(刺青)が彫られていたことが判明しました。

どんだけ古いんだよ・・エジプト。

 

これが一番人気の「女祭司ヘヌトメヒトの棺」です。

紀元前13世紀の裕福な女性祭司だったそうです。

 

ミイラにされたのは猫ちゃんも。

ワニも!

副葬品にも見るべきものがあります。

これはスカラベ(糞転がし)の彫刻です。

スカラベは再生の象徴として神聖視されていたそうです。

 

これはシャブティという人形。埴輪みたいなもんですか?

死後の世界で死者に仕える用の人形だったようです。

 

死者の魂を運ぶ船の模型です。

 

 

ネブアメンの墓の壁画 紀元前1350年頃

古代エジプト絵画の中でも、特に重要なものと言われます。

エジプト絵画は横向きがほとんどですが、挑発的にも正面を見据えている女性たち。音楽を奏でています。

 

 

 

 

ネブアメンの来世の幸福を願って描かれたものです。

 

 

この時代はエジプトでも「アマルナ改革」という政治・宗教の大改革が行われました。

絵画の世界にも波及し、形式的な絵画から写実絵画が描かれるようになりました。

標本レベルのリアリズムです。この蝶々はカバマダラというもの。

 

どうしてもこの曲を思い出してしまうw

 

The Bangles「Walk Like An Egyptian」

All the old paintings on the tombs 
They do the sand dance don't you know 


If they move too quick (oh whey oh) 
They're falling down like a domino 

All the bazaar men by the Nile 
They got the money on a bet 


Gold crocodiles (oh whey oh) 
They snap their teeth on your cigarette 

Foreign types with the hookah pipes say 
Ay oh whey oh, ay oh whey oh 

Walk like an Egyptian 

 

 

次に古代ギリシャ・ローマの陶器の展示です。

ポートランドの壺 1世紀

ローマ皇帝アレクサンデル・セベレスの墓から発見されたと伝わります。

カメオガラスの一品です。当時の最高級の材質と技術が投入されています。

表面に細かいひびのようなものが見られます。

実はこの壺は1845年にバラバラになってしまっています。アイルランドのマルコイという青年が、「なんかムシャクシャして・・」とかふざけた理由で、粉々に粉砕してしまったのです。(酔っ払ったオッさんが破壊したという説もあるそうです)当時の展示室は見張りの係員さえいませんでした。

200もの破片となった秘宝は、1845年、第二次大戦後、1988〜89年と3度の修復作業を経て、完全に復活しました。大英博物館の超高度の修復技術力を示しています。ちなみに破片の接着には、日本の歯科治療で使用されている接着剤も使われています。

 

 

次に古代メソポタミアの展示にやってきました。

古代都市国家ウルの王家の墓から発掘された大量の副葬品です。

 

ウルの牡山羊とスタンダード 紀元前2600年頃

これも大英博物館の目玉です。

紀元前27世紀の古代国家ウルは、現在のイラク南部に存在した都市国家です。

1920年代以降、大英博物館ペンシルバニア大学の合同調査が行われ、20世紀の考古学界を揺るがす大発見がなされました。

 

この牡山羊には、金箔が施され、青い背中の部分は「ラピスラズリ」というアフガニスタン産の高価な鉱物で装飾されてます。

ラピスラズリは「フェルメール・ブルー」で使われたものですね。

 

その横には「ウルのスタンダード」と呼ばれる横幅50センチほどの木の箱。

4000年も前の人々の生活がわかりますね。

 

裏側は戦争の図です。戦車や捕虜が描かれています。人間は何千年たっても変わらないんですね。

 

 

ウルのゲーム盤 紀元前2600年頃

世界最古のボードゲームです。

横にあるのは、ルールが刻まれたバビロニアの粘土板。

これの発掘によって、やり方がわかったのです。

 

さて次は古代ペルシャの展示室へ。

 

ペルセポリスの宮殿のレリーフ 

紀元前6〜5世紀 

壁を飾るレリーフは、ダレイオス1世が大宮殿を造営したアケメネス朝の大都市・ペルセポリスの宮殿のレリーフです。

 

 

人々が階段を登ってる様子。ペルシャ王に貢物を持ってくる周辺諸国の使者らしいですね。

 

オクサスの遺宝 紀元前5〜4世紀

黄金の腕輪です。 

アケメネス朝ペルシャは、アッシリア亡き後の古代オリエントの巨大帝国です。現在のイランを中心に、西はエジプト、東はパキスタンまでの広大な版図を誇りました。

 

黄金の馬車も細かいねえ。

馬に比べて、馬車は巨大です。

 

次にローマ帝国時代のイギリスのお宝です。

「ハドリアヌス帝の像の頭部」 2世紀

紀元後2世紀が新しく感じられてきた。どうも感覚が麻痺してきます。

これはテムズ河の泥流地帯で発見されたものです。

 

サットン・フーの舟塚の遺跡 7世紀

1939年にサフォーク州サットンで発掘された舟の形をした遺跡から見つかった品々です。

葬られていたのは5世紀から9世紀にかけて、イースト・アングリア王国を栄えさせたレッド・ウォールであると推定されます。当時のイングランドに高度の文明が存在していたことがわかりました。

特にこの仮面の装飾は評価が高く、イギリスの「ツタンカーメン」と呼ばれます。

 

ルイスのチェス駒 12世紀

このチェスの駒もイギリスでは有名です。

 

 

Room 38〜39は古今東西の「時計の展示室」です。 

 

これはYear-Going Table Clockといいます。

イギリスの有名な時計職人トーマス・トンピヨンが17世紀に作った置き時計です。

 

これは19世紀初頭にフランスで作られた時計です。Rolling Ball Clockといいます。

板の上のボール(パチンコ玉)の動きにより、歯車が動くのですね。

 

これも時計か!

ガレオン船型自動時計 1585年

ドイツの名匠ハンス・シュロトハイムが作り上げた時計です。大航海時代を象徴するガレオン船をかたどったものです。船上の人が手を振り、大砲が火花を吹いたとか。

文字盤の後ろにいるのは神聖ローマ皇帝ルドルフ2世です。

 

タラ菩薩立像 9世紀頃

9世紀ごろのスリランカで作られた金色の仏像。中性的な日本の仏像とは違って、ずいぶん女性的です。

 

地下ロワーフロアにアフリカの展示室があります。

ツリー・オブ・ライフ 2004年 

このオブジェは、ロシア製自動小銃AK47です。バラバラに銃を切断し、木の形に組み上げられたんですね。

モザンビーク内戦で使用され、戦後は放置されていたものを、現地のアーチスト達が作り変えたものなのです。

 

ベニン・プラーク 16世紀

16世紀にナイジェリアで作られました。

ベニン王国の宮殿を飾るものでしたが、19世紀末にイギリスがベニンに侵攻し、持ち帰ったものです。

 

イフェの頭像 15世紀中頃 

15世紀中ごろにナイジェリアで製作された真鍮の鋳造品である。作品の経緯はほとんど何もわかってないようだが、この写実性はすごい。

さすがの充実の内容でした。