#関節夫のひと息小説16
息苦しいよワンルーム
圭介と真里子は狭いワンルームのアパートに暮らしていた。日々の生活は忙しく、息が詰まるような空間での二人の関係も少しずつギクシャクしていた。
ある日、何でもない些細なことで口論になった。圭介は言葉の勢いでつい強く当たってしまい、真里子は黙ったまま荷物をまとめて、部屋を飛び出して行った。部屋の中に残された圭介は、すぐに謝るべきだったと後悔しながらも、彼女の後を追うことができなかった。
夜も更けて、やっと動き出した圭介は近所を歩き回り、真里子の姿を探した。彼女がよく立ち寄るマクドナルドまで来たとき、窓際の席に一人で座る真里子を見つけた。
店の外からその姿を見た圭介は、少し息を整え、静かに店に入った。そして彼女の前に立つと、ただ一言「ごめん」と言った。真里子は黙っていたが、彼女の目に浮かぶ涙を見て、二人の心の距離が少し縮まった気がした。
圭介はそっと隣に座り、何も言わずに彼女の手を握った。