中学入学してもうすぐ1週間。

校内はまだ迷うけど、中学生になったという自覚を持ち始めていた。

入学してからは身体測定や写真撮影、対面式など行事がひっきりなしにあったが、

今日からやっと通常授業を始められる環境になった。

相変わらず、今年の1年生は元気だ。

廊下やホールでスライデイングしたりスカートめくりしたり…。

とても明るく、ノリもイイ学年で、俺は毎日が楽しかった。

特に好きなのは、教室にいる時間だ。

最近、異常にカッコイイと想い始めた晴。

晴とは名簿順が近いので、席も近い。

教室にいる間は晴や流香と一緒に話してる。

「お前、サッカーやってたの?」

そう言ったのは、晴や流香と同じ小学校出身の山手殊義。

足が速く、とても陽気な性格の野球坊主。

勿論、晴もいるあの野球軍団の内の1人である。

「サッカー?ああ、やってた。ウマく無いけどね!」

「ふーん。。。」

どうやら殊義は、スクールバッグについていたキーホルダーを見て

俺に問いかけたらしい。

しばらく沈黙が続く―。

この重くて冷や汗の出てきそうな空気、耐えられない。

「紅龍って彼氏いんの?」

ドキッとした。沈黙を破ったのは…晴だった。

しかも何故この質問をチョイスしたのだろう?脳内を覗きたくなる。

「ふぇっ?い、いないよ~;」

キンチョーし過ぎて変な声が出る。

「晴こそ、コレいないのかよ~???」

小指を立てて、晴に見せる。

「は?いねーに決まってんだろ、そんなモン。」

モテそうなのになー、と呟き、一旦自分を落ち着かせるためにうつむく。


あの会話の後の休み時間、流香に教えてもらった。

「岩崗ね、モテたんだよ。でも、何故か好きな人にコクられても断ったの…」

驚いた。軽い男だと見えたから絶対に彼女いると思ってたのに。

流香が続ける。

「ナンでかって聞いたら、『アイツとはウマくやっていける自信ない』って!

どんだけ余裕なんだよって話だよー!!」

「えっ、意外。絶対彼女いると想ってたぁ;」

「でしょ?まぁ中学生になったし、少しは考え変わったんじゃないかなぁ?」

「そっかぁ…。」


だとしたらチャンスだ。5月には最初の宿泊行事がある。

学年がこれから3年間まとまっていける様に行く宿泊行事だ。

そこでは毎年、多くのカップルが誕生するらしい。

ふと理科の時間に空を仰いで考える。

そして、ハッと隠れた太陽を見て気付いた。


俺は――晴のコトが好き。