「良いか、お主達。まず重要なのは、一つだけじゃ。それは、絶対諦めないという気持ち。これだけは、死んでも持っておれ。お主達にその覚悟はあるか?」
「うん。今は、咲を守れることなら、なんだってするよ。例え、この命が果てようとも…」
「けんくん!それはダメ!!そんな事してくれても、咲は喜ばないよ?この際だから、咲の今の元気の源を教えてあげる。それはね……けんくんの元気な姿が見られることだよ。」
と言われた瞬間、僕は顔面全体が赤面し、次に言おうとしていた言葉を失った。
「え…あ…あの、、、、ありがと。」
「もう!けんくんだけが恥ずかしいんじゃないんだからね?!咲も恥ずかしいの!!」
「やれやれ…痴話喧嘩は済んだかね?お主達。」
「え…?」
「くろりん、痴話喧嘩って何?」
僕と咲は二人して、目がハテナになった。
それを見て黒斬剣は
「なに?!痴話喧嘩を知らないだと?!」
「お主ら、今歳はいくつじゃ?」
「僕は、14。」
「咲は、16だよ照照。もう、女の子に歳は聞かないの!!くろりんのエッチ!!」
「それは、すまぬの。なら、知らないのも無理無いわ。まあ、知らぬなら知らぬで良い。」
「え?教えてよ!くろりん!!」
「そうだよ!言わないのは、ずるいよ!」
「………要するに、カップルのイチャついたじゃれあいじゃな。」
「……。」
「……。」
僕らは、それを聞いた瞬間、言葉を失った。
それと同時に、僕は今みでは考えもしなかった思考パターンが新たに、僕の脳に刻み込まれた。
それは、咲は女の子なのだ。と。
咲は、姉でも母親でもない。
1人の女の子なのだ。と。
そうだ。なんてことを僕は忘れていたのだろう。
最近は、咲が隣にいるのが当たり前だったので、そんな事を考える余地はきっと僕には無かったのだろう。
それに、つい最近までは村のイジメっ子にやられてばかりで、他人はみんな敵という考えしか持って無かったので、咲は僕の事をどう思っているのかと考えるという考えすら思い浮かば無かった。
一方咲は、さっきから顔面全体が赤面状態で、頭からここは温泉なのか?と思う程、煙が出ていた。
「あわわわわ…」
「ぼ、僕にとって咲は大丈夫な家族で、無くてはならない存在だよ?でも、女の子として見るという事を考えることすら…今までは無かったなぁ…ごめん、咲。」
「ひぇっ?!う、うん。べ、べ、別にどうって事無いの?無いよ?無いお?あれ?どれだっけ?あれ?あれ??」
咲は、あわてふためいて、文法が可笑しくなっている。けど、そんな咲も可愛いと思う僕の存在に、僕ははっとした。
これは、恋なのか?それとも、女子全員に思う、当たり前の事なのか?
あまりにも、他人と接する時間がなさすぎた僕には、今置かれている状態が、理解出来なかった。いや、はなっから理解する気すら起きなかった。
「よいか!お主達!!その事を肝もめいじたな!!では、秘伝を教えるぞ!!」
「健太、まずはお主からじゃ!!」
「は、はい!!」
「では、まず名前からじゃ。名前は、黒龍召喚術式壱型、龍降舞(りゅうこうぶ)じゃ!!」
「この技はの、天にいる黒龍を我が力で操り、そして空から地に向かって黒龍を叩き落とす技じゃ!!」
「な、なんかすごい。でも、それじゃあ黒龍がかわいそう…」
「心配せんでも、大地の硬さは、龍の鱗の硬さには劣るからの。」
「そ、そんなに硬いの?!」
「うむ。では、次はやり方じゃが、龍降舞と心に念じながら、強く刀を空に翳すのじゃ!!そして、大きく龍降舞と叫びながら、刀を振り降ろすのじゃ!!」
「うん!了解です。」
「では、次は咲のじゃの。教えるぞ?良いな?」
「うん!いつでもウェルカムだよ!」
咲が言った瞬間、家の扉が壊され、途端オオカミ男達が溢れんばかりに進入してきた。
「う、うわぁ!!」
「まずい、お主達。ここは、一旦引くぞ!そこの窓から飛び出るのじゃ!!心配せんでも、裏にはまだ敵はおらん!急げ!!」
「うん!」
「うん!」
たったったった…
パリーン…
「さ、咲も早く!敵に追いつかれちゃう!!」
「うん。分かった!」
グチャ…
咲の声が終わった瞬間、なにか、凄くいやな音がした。
「……!!」
次回予告
あの音は何だったのか?!
上手く二人は、この最悪な状態から抜け出せたのか?!
二人を待ち受ける大きな闇、そして一体黒斬剣とはなんなのか?!
次回、君と並んだあの道へ4
お楽しみ下さい。