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フルカワJAZZ道場

お気に入りの1枚を探すために

 

今年に入ってからも雪山での遭難や雪崩の
ニュースがありました。
自然は恐ろしい。
それでも雪で覆われた山は究極の自然美だと
思うのです。
山は冬はスキーやスノボーとレジャーで人々
憩いととなり、やがて春となれば若葉や生命の
息吹でまた人を安らががせます。
山は穏やかで優しい面を持つ反面、
不用意に踏み込んだものや、なめてかかった者に
きついしっぺ返しをする魔の顔もあるのです。
今回のテーマは「おだやかな山、恐ろしい山」です。

 

 

「ポートレイト・オブ・ア・マウンテン」

マグリュー・ミラー
”キーズ・トゥ・ザ・シティ”より  
このレコードはずいぶん前に買っておきながら、長年聞いてなかったレコードです。マグリュー・ミラーが注目の新人として登場して評判をとっていたレコードだったので、勢いで買った部分はありました。ただその頃は嗜好がビッグ・バンド重視だったので、ピアノ・トリオという編成のよさがあまりわからなかったということもあり、1、2回聞いて棚にしまったままになっていたのでした。
流麗なタッチで繰り出されるピアノ・サウンドは洗練されていながら穏やかな美しさで奏でられます。都会的いて、それで”山の肖像”というならば、街から見上げた山の姿を描いているのでしょうか
。それとも生まれ故郷のミシシッピ州グリーンウッドの山でしょうか。曲についての説明は簡単にしかかかれていないので、想像でしかないのですが。こうして再び聞きなおしてみると、このレコード
をかけている空間には、優しいくつろいだ時間が流れていきます。
聞くところによると、ウィントン・ケリーやマッコイ・タイナーにかなり心酔しているようです。

 



 

「活火山」

原信夫とシャープス&フラッツ
”活火山”より  
トロンボーンの合奏と数人で合いの手のような手を打ち鳴らすリズムで始まる面白い曲です。火山に例えればモクモクとたちこめる黒い煙と、パチパチはぜる火の粉でしょうか。それに続くオーケスラの強いアタック音(強い音で吹き鳴らす、叩き込む音)。いっきに大噴火の様相です。
トロンボーンのテーマが繰り返され、各パートの音の溶岩が周りを埋め尽くし、それぞれの楽器の音が火山灰や溶岩や黒煙のようにジャズの地平をまったく違う姿に変えていくような勢いがあります。
この作品の出た1979年は、ジャズフュージョンが主流となり、電気楽器やロック・ビートが普通に取り入れられ、ビッグ・バンドもその影響を無視できなくなった時期のようです。作曲・編曲に”しかた たかし”氏を採用し、他にも日本の”音頭”をジャズ・ビートに変えるなど、斬新なサウンドを繰り広げていきます。
それにしても、レコードのラベルには”見本盤”とあります。レコード会社が宣伝用にレコード店や放送局などに配るもので、その後シャープス&フラッツのレパートリーにもこのレコードの曲は取り入れられていないことから、一枚の企画盤として終わったのでしょうか?発売レーベルがスリー・ブラインド・マイス(TBM)なの
で、CDで再発することはあると思います。

 



 

「北欧組曲」

三木敏悟 作・編曲/高橋達也と東京ユニオン
”北欧組曲 ”より  
実をいうとこのレコードには曲名に”山”のつく曲はないのですが、ジャケットがとても印象的なので選びました。よく見ると山の部分が人の鼻と指。その前にゲゲゲの鬼太郎に出てくる”二口女”(ふたくちおんな)のような人物が座ってピアノを弾いています。まわりに北欧的な森林と家並みがコラージュされていて、全体的なイメージは楽しいものになっています。見すぎると夢に出てきそうですが。
1977年三木敏悟期待の新人アレンジャーとしてデビューしました。
しかし元々は東京ユニオンにテナー奏者として在籍しており、曲も提供していたそうですが、その後5年半の海外武者修行を行い、そのうち一年はジョージ・ラッセルに師事しました。そのためこれが本
格的なアレンジャー・デビューとなったのです。
この作品でも師匠のジョージ・ラッセルゆずりのモード理論を展開しており、ドリアン・モードやリディアン・モードという教会旋律を元にした幻想的な曲を提供しています。とはいえ日本人の作った旋律のせいか、とても耳になじむメロディーになっていて、聞くほどに新たな発見があるのです。
買った当時(確か80年代なかば)は東京ユニオンのレコードで手に入るものはこの「北欧組曲」と「ブラック・パール」(昔を知る人には”ひょうきんベストテン”のテーマに使われた曲が入っています。)しかありませんでした。”外国かぶれ”の傾向があった自分にはジョージ・ラッセルはカッコいいが、三木敏悟はあまりわから
ないといった具合でした。やっと聞ける余裕ができたというこのなのでしょう。
シンセサイザーでミッキー吉野が参加しています。シンセサイザーといっても1977年のことですから、初期の電子音楽のような音でしたありません。しかし風の音が効果的に使われ、北欧の寒さの厳し
さを現しているようです。こちらのレコードもTBMで、CDとして発売されたようですが廃盤らしく、中古レコード店ならレコードでよく見かけます。