SwingJournalStaff(スイングジャーナル スタッフ)のブログ

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ジャズ専門誌「スイングジャーナル」のスタッフによるオフィシャル・ブログです。取材,編集などに追われるジャズ三昧の日常の中で遭遇した,興味深い出来事をお伝えしていきます。

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スイングジャーナルへの並々ならぬご愛顧に深く感謝申し上げます。
スイングジャーナルへの想いと惜別の念を胸の奥深くにしまい,新たなジャズへの扉を開けて行きたいと存じます。
今後は以下のアドレスで活動を継続して参ります。
ぜひ,ご覧下さい。
http://ameblo.jp/jazz-japan/
読者のみなさま
BLOGの更新がとまっておりましてまことに申し訳ありません。深くお詫び申し上げますしょぼん
スイングジャーナル誌の復刊の可能性もございますが,とりあえず,わたくし,みもりがスイングジャーナル社を離れ,ジャズの新雑誌を8月に創刊させて頂くことになりましたクラッカー
という訳で,BLOGは新雑誌名で先にスタートさせます(アドレス変わります)。もうしばらくお待ちください。音譜
8月までの間,ご不便をおかけすると思いますので,新譜紹介などもしていけたらと考えておりますチョキ
今後とも何卒お願い申し上げますニコニコ
(またもや編集長をやらせて頂くみもり)

 2007年,2008年のヤマノビッグバンドジャズコンテストにおいて,国立音楽大学ニュータイドジャズオーケストラでのあまりにも見事なアレンジとピアノに「ガツン!」ときて以来,「準オッカケ」をしている挾間美帆さん。
 彼女がニューヨークのマンハッタン音楽院大学院留学のため,しばらく日本を離れることになり,m_unit(Miho Hazama Special Unit)による壮行ライブが開催された(6月8日@南青山“MANDALA”)。
$SwingJournalStaff(スイングジャーナル スタッフ)のブログ-挾間美帆さん1

 今や海外留学自体は驚くべきことではないが,ふと本誌の古い記事を思い出しました。秋吉敏子さんがJATPで来日していたオスカー・ピーターソンに認められたのがきっかけで『トシコ』(ノーグラン)を出し,1956年1月にバークリー音楽院留学に向けて旅立った際のもの。MANDALAのライブに集まった満員の聴衆と彼女へのエールをみていると,54年の歳月を経ても,送りだす人々の心は一緒だろうなぁ,と,つい感慨にひたってしまったわけです。
 彼女のありあまる才能を箇条書きにするのは,恥ずかしながら,わたくしの音楽語彙では到底不可能。そこで今回はメロディ・メイカーとしての才にスポットをあてて書いていきます。
 学生時代からクラシック・オーケストラの編曲をこなし,今や作編曲の依頼もひっきりなしという彼女にとって,m_unitはオリジナル曲や自らのイマジネーションを表現するためのバンドです。このバンドには主に二つの特徴があります。目の前に曲のテーマである風景が浮かんでくるようなメロディ。そのメロディに起承転結をつけてドラマティックに展開させるアレンジ。どこかで聴いたような,お決まりの展開(予定調和)などはもちろんない。ココロ惹き付けられるメロディといつも新鮮な感覚をもたしてくれるアレンジ。ここに「うた」がつけば・・・とも思いますが,「うた」なしで「うた」が聞こえ,心象風景が自由に広がるメロディ作りはやはりただものではないわけです。
 数年前から日本ではカバー・ブームが起きています。というか,それしか売れなくなりつつあるご時世。ジャズ界でもオリジナル曲というとひいてしまうファンが意外と多く,必然的に新旧スタンダードでプログラムを構成せざるおえなくなりがち。そう考えれば新曲で人の心を掴もうとするアーティストは至極健全。こういうアーティストに音楽の未来を託していきたいと考えるのはわたしだけではないないはずです。
 やはりアーティストにとっていちばん重要なのは,自分のイメージをいかに伝えるか,伝えられるかです。
 入学手続きのために訪れたニューヨークで,ホームステイしていたアーティストの家のピアノの上にあった地球儀を思い浮かべた曲も,くるくる回る地球儀と小さな世界地図上を旅しているような楽しげな気持ちが伝わってきました。
 m_unit自身もメロディの美しさが以前と比べてより浮き立つようになってきいます。新リズム・セクションの二人が譜面と懸命に格闘している様も,美しいメロディとは対極にある挾間さんの譜面の凄さを思い知らせてくれました。
 二部からゲストでバイオリンの巨匠・中西俊博さんが登場(↓写真下右)。「挾間さんのスコアは難しくて演奏するのがたいへんだよ」と言いつつ,自分の解釈を織込みながらメロディの美質とジャズ的スリルを存分に表現していたのが印象的でした。
$SwingJournalStaff(スイングジャーナル スタッフ)のブログ-挾間美帆さん2

 そして中西さんのコメント(正確ではないです…中西さんごめんなさい)。
「イメージがわいてくるオリジナルだよね。譜面にある音をただ演奏する感じにならないんだよ」。
 この言葉に挾間さんの才能が凝縮されていますね・・・(編集長・みもり)
$SwingJournalStaff(スイングジャーナル スタッフ)のブログ-挟間美穂さん3

挾間美帆さんのm_unit。左から挾間さん,中西さん(ゲスト),織原良次さん(ベース),斎藤たかしさん(ドラムス)