普通に日記今更感が漂いながらも、「カールじーさんと空飛ぶ家」を観ました弟が突然、DVDを借りてきて、思わず最後までいっちゃいました。何となく空の散歩のようなものを想像していたのですが、案外地上での徒歩が多いようで・・・まあ、ちょっとした期待のはずれはありましたが、面白かったのでよしです。あと、どうでもいいことなんですが、犬がたくさん出てきてテンションが上がりましたああ~、犬とても可愛い。癒される。ちなみに、久しぶりに紅茶を飲みました。案外美味しいもんですねでは、また今度まで~
普通に初・日記一日が早いです。凄まじいです。初・日記です。初ってなんだか好きな言葉です。ああ~、初。まあ、どうでもいいですね昨日、雪が降りましたねぇ。しかも、たくさん。久しぶりだったので、ビックリして、テンションが上がりました\(^o^)/雪って「侘び寂」の代表的な感じで大好きです。最高です。こんな日はやっぱり、お茶が体に染み渡ります今日はそんな気分に浸りながら、伊坂幸太郎さんの「終末のフール」を読破しました。ああ~、面白かったです。世界が終わりに近づいている中での話なのに、何この暖かさ、って感じで。兄弟も出ましたね。虎一と辰次。虎一はギャングシリーズの成瀬さんを連想させるような愉快さと冷静さを持っていて、また他の話で再登場してほしいです最後に、初ラクガキ。味があるカンジの、ただの下手くそな絵です。。じゃあ、また今度まで~
初小説「廻るピエロの時間」1 少し前、私の同僚が聞いてきたことがある。背の低い、普段あまり話すことのない男だ。思い出してみると、男の顔は真っ青で、少しだけ身体は震えていた、気がする。「お前はこの仕事をどう思っているんだ?」 私は、楽しいな、と答えた。これ以上、自分に適している仕事はないとさえ思う。天職だ。「普通はみんな嫌がる。どうせだったら、極部に希望しちまえよ。あそこはここよりもっと辛い代わりに給料がいいぜ。ここの倍はあるって話だ」 私は少し考え、そういえばこいつには言っていなかったけ、と思う。言う。「私は絶対に人を殺さない。殺すのは気分が悪くなるし、殺した先にあるのは面倒臭さだけだ」 その同僚はしばらくして辞表を上司に出していた。彼もその辞表はそのまま極部へと回されることを知っていたはずだ。それでも出したのは、罪悪感だろう。この仕事をしているとそんな理由で辞めていく者はさほど珍しくない。残念ながら、私にはさっぱり理解出来ないのだが。今、一体彼はなにをしているのだろうか? サーカスに売られて、ピエロにでもなっていたらいいのに、と彼の生存を祈る。決して皮肉のつもりで思ったわけではないが、そんなことはありえないうえに、生きていられるはずはない。 彼を思い起こしているときに、上司に声をかけられた。書類を数枚渡され、私は気分が高ぶる。2 私は黒いスーツを身につけた集群部の者達が、赤い屋根の大きな家へと入るのを見届ける。 見届けたあと、強く、冷たい風が吹いてきた。空を見上げると漆黒が充満していて、星一つ見当たらない。雨は降っていないが、代わりに厚い雲におおわれている。いい天気だ。星が見えない日ほど、気分が高まる日はない。 携帯電話が振動を始めた。私はそれを切り、深呼吸を一度して、フルフェイスのピエロのマスクを被り、赤と白の三角帽子を頭につける。面はゴム製で口元だけは穴があるが、顔全体にぴっちりと張り付く。非常に薄く、きついため、息苦しさも感じるが、ピエロでなければならない。そういった規則はないが、あえて言うなら幼い頃からの習慣だ。 私は家の玄関のドアを開いた。きっちりと揃えられた黒い革靴がいくつもある。その他には小さくて可愛らしい子供用の靴と、派手な赤色をしたハイヒールなどがある。逃げられてはいないようだ。 私が靴を脱ぎ、小さな廊下を歩き、リビングへと入ると、すでに太った女と中学生くらいの少年があらかじめ用意していたパイプイスに縛られていた。パイプイスの下には青いビニールシートが敷いてあり、口もガムテープで封じてある。完璧だ。 太った女、つまり、少年の母親は玄関先にあったハイヒールと同じくらい鮮やかな赤色のセーターを身につけていた。髪はパーマの金髪で、少しも似合ってない。少年のほうはというと、派手好きそうな女と違って、地味な紺色の服を着ていた。必死に身体を揺らす女と違い、先程から抵抗する気などないように思える。母親と対照的にひどく細い身体で、じっとどこか遠くを見つめているようだ。 集群部の何人かは紅茶を用意し、何人かはソファーに座っている。あとは私の作業を数人が撮影し、後始末をするだけなので、今は何もすることがない者達はリラックスをするのだ。「柳さん。準備は出来てます。今日は道具は使いますか?」 集群部のリーダーである蘇我が尋ねてきた。極部や私達の下極部以上に人の入れ替わりが激しいらしいのだが、リーダーは全く変わらない。5、6年程度の付き合いだが、女であるのにも関わらず、リーダーを続けているのは状況判断に優れているためだと思う。いや、この会社であればそれしか思い浮かばない。過度に武術が優れていようとも、関係はない。彼らは蟻を思わせるような連携で相手を捕まえるからだ。「今日は要らない。じっくりやりたいし、血は出さない」「わかりました。時間は一時までなので、十二時までには終わらせてください」 女はそう言ってキッチンへと向かった。多分、紅茶でも飲むのだろう。他人の家で、よくそこまでくつろげるものだ、と感心する。 集群部とは、極部と下極部のサポートをする部署のことだ。主な仕事は、対象者の家への侵入、また、その対象者の束縛。私達の仕事の後始末だ。はっきり言ってしまえば、雑用係なので、会社内での彼らの立場は低い。一般からすれば高いが、給料も低いらしい。 彼らも希望さえすれば、人員の少ない下極部になれるほど腕の立つ者がいるのだが、やはりここでも「罪悪感」というものが邪魔するらしい。「給料は高いほうがですけど、それ以上に直接的に人を痛めつけるのって精神的にまいりそうじゃないですか。見て見ぬ振りも辛いですけど、耐えられないほどではないんですよ」 集群部でグループを指揮する後輩と会話をしたときだった。私がまだ下極部に入ったばかりの頃。彼は優秀で、下極部になるためのカリキュラムも受けていたはずだったのに、集群部に志望してしまった。それに引っかかって尋ねたのだ。「見て見ぬ振りも共犯だ」「知ってますよ。けど、主犯ほどは重く感じない気がするんですよ」 私はまず、しゃがみこみ、少年の人差し指を握り締める。少年の手は背中側に固定されているので、少年もその太った女もその様子は確認出来ない。「奥さん。今からこの子の左手の指を壊していきます。嫌ならあなたの弟さん、大林 修介さんの居場所を教えてください。何か小さな情報でもいいです」 女の表情が変わる。怯えから、恐怖にだ。壊す、という表現には誰もが悪い方向へと想像力を働かせる。「奥さんのテープを剥がして」 私が指示をすると、集群部の者が母親の口元のガムテープを剥がしてやり、なんでも話せるようにしてやる。仮に、大声を出して助けを呼ぼうと試みても無理だ。この部屋は都合がいいことに防音であるし、仮に叫ぶそぶりを見せた場合、集群部の者が普段やるように、彼女の喉を殴るからだ。「な、なんですかあなた達は」 母親は小さく震える声で聞いた。寒さで震える大型のネコを連想させる。 私は一度、少年の指から手を離し、立ち上がる。「私達はあなたの弟さんの同僚です。あなたの旦那さんとあなた達の処理に来ました」 私は数ヶ月前に辞表を出した、怯えきっていた彼とのやりとりを思い出した。「旦那さんは、きっと今日中には帰ってこられません。早く帰って来てほしいのであれば、言うことを素直に聞くのが一番です。小学校でも習ったでしょう? 素直で明るい子供になりなさい、って。それがいい子なんですよ」 女の顔がみるみる青ざめていく。血が抜けていってるようだ。「あなたは悪い子ですかね?」 私は右手を胸のところにもっていき、お辞儀をする。ピエロはお辞儀をするのが仕事だ。しかし、ピエロの姿だからといってお辞儀をするわけではない。仕事をする前の儀式だ。般若の如き顔をした鬼の面を付けようとも、耳のない青いネコ型ロボットの面を付けようとも、仕事前にお辞儀をするのは変わらない。 さあ、仕事を始めよう、と自身を奮い立たせる。3 結論から言うと、女からはたいした情報は得られなかった。すでに書類に書いてあったことを聞かされ続けるのは、退屈な作業であった。もちろん、最も退屈なのは集群部の者だろう。知っている目新しくもない情報を紙に記入していく。考えただけでもうんざりした。「もう、なんにも知ってることはないです」 女が五分ほど話した後に言う。ここからが私の作業だ。「誰かテープを」 私がそう指示すると、集群部の者が女の口元にガムテープをつけた。女はもがく。 私は女の背中側に回り込んで、しゃがみこむ。左手の小指を掴む。第二関節を中指で抑え、それを支点とし、親指でグッと押すと、メリッと小さく音が鳴った。木の枝が、裂けるような音に似ている。 女が喉から何か叫ぶ。ん、に濁点のついたようなぐもった声が出て、なんとも言えぬ気分になる。私は前触れもなく、指を折っていくのが好きだった。 私は正面に回り込んで、女の腹を殴る。強すぎない、弱すぎない、そのくらいの力で。女の鼻息が荒くなり、身体を痙攣させる。うなだれる女の口元からガムテープを一気に剥がす。「何か隠していますか?」 女は呼吸を荒くし、涙をこぼし始めた。「お願いします。助けてください!」 私はもう一度、口元にガムテープをつけ、女の喉を殴りつける。中指の第二関節を立て、喉の筋肉を狙った。女はいよいよ、身体を激しく動かし始めた。苦しみからか、恐怖からか、または両方からだろう。 私は奥から滲み出る笑いを堪えながら、意地の悪い、悪魔の囁きをするために、女の耳元に顔を近づける。「奥さん。あなたが正直に話してくれたために、息子さんは無事なのですよ。まだ情報を提供するか、息子さんを犠牲にするか、どちらかを選べばあなたはもう痛めつけません。どうですか? ピエロは約束を絶対に守りますよ」 私は女の口元からガムテープを剥がす。このように、話す、という事柄の主導権さえ握ってしまえば、不思議と相手は大声を出さなくなる。こうしてしまえば、あとは気ままに相手を追い込んでいくことが出来る。 女はうつむいたままだ。だが、結局自身を痛めつけることを選択するだろう。友人とは違う、家族。さらに自身が産んだ子ならば、見捨てることは出来ない。 今までに何度もしてきた質問だ。自身を痛めつけてくれ、と言わせるのは快感だ。いや、痛快だろうか。とにかく、その感覚がが仕事の充実であり、深くこの道に進むことになった原因でもあるのは間違いない。「あの子を自由にしてください」 ポツリと女が言った。私は満面の笑みが出てしまう。ピエロのマスクを被っているので、口元が女からは見えにくいだろうというのがひどく残念だ。今度、顎のラインを切り取ってみようか、そんなことを考える。「だから、私を早く逃がして」「え?」 私は耳を疑う。「あの子を自由にしていいですから、早く助けて! もう嫌なのよ!」 集群部の者が女の喉を手のひらで叩き、口元にガムテープをつけた。叫ぶのを止める。「子供を犠牲にするのか」 疑問とも、確認ともつかない声が聞こえた。しばらくして、声の主が私のものだと気づく。まるで正義の言葉じゃないか。4 どうすればいいのだ。 情けないが、私の頭はそんな疑問に満たされ、他のことを考えられなくなった。いや、その疑問についても考えてはいない。完全に思考が停止してしまったのだ。「柳さん。どうしたのですか?」 自身の偽名を呼ばれ、はっとする。そうだ、やることは変わらない。どこかのミュージシャンが時代は変わると歌っても、アンモニアの色が赤色に変わろうとも、私は人を痛めつけずにいるのは無理だ。「奥さん、本当に息子さんを自由にしていいのですね?」 女は指と喉の痛みを堪えながらも、必死で頷く。 少年を見ると、がっくりとうなだれている。このように母が息子を売る状況というのは、仕事を始めてから十数年ぶりなので子供の反応が正常なものかは判断がつかない。普通であれば、暴れだし、母を睨みつけるのではないか、とも思う。少なくとも、私ならそうするだろう。「じゃあ、君。我慢しなよ」 私は基本的に、子供を痛めつけることは嫌いなのだが、仕方がない。痛めつけてもたいした叫び声も上げないし、すぐに気絶してしまうからだ。 適当に痛めつけて、私がいなくなった後のこの家族ことを想像してみるのもおもしろいな、と考えていた。裏切られた息子が、ナイフを握りしめて母の前に立つ。母は必死に弁解をするが、息子の耳には届かない。「蘇我さん、やっぱり道具使うから、アイロン貸して」 アイロンの設定を低温にし、腹をじっくりと焼き焦がす。身体に傷を残すのとはまた違う辛さだ。その傷を見るたびに、息子の母への怒りは増すだろう。 私は少年の服をハサミで丁寧に切り取って、腹を剥き出しにする。そこで息をのんだ。まじまじと魅入ってしまう。私はまだ少年に手を加えた記憶はない。しかし、確かに仕事のあとは刻んであった。「虐待ですか」 蘇我が言った。 それを聞いてから遅れて私は納得した。ああ、そういうことだったのか。 少年の腹には、生々しい青アザと火傷の痕があった。5「蘇我さん、センターに連絡いれて」 私は作業を中断し、指示をする。「でも、中学生ですと許可が降りるかどうかわかりませんよ」「多分、大丈夫。私も中学生のときに入ったんだ」 そうだ。私も虐待を受け、あの教育をされたのだ。私は少年には同情の気持ちは湧かないが、虐待をする者への怒りはある。虐待と殺人は最も恥ずべき行為だ。 私は集群部の者に指示をし、少年を開放してやる。少年は紐をほどかれても、立ち上がろうとはせず、じっと座っていた。視線は母親のほうへ向け、蔑むような目をしている。母親は自由となった息子を見て、何かを唸っている。「柳さん、今十時五十分になりました」「わかった。ありがとう」 私は少年の右手を握るが、立ち上がる気配がないので、離す。少年の手は砂漠のように乾燥していた。「あの母親の膝を砕け。そうすれば、君は自由になる」 私は帽子とピエロのマスクを外し、マスクを少年の頭に被らせる。意外にもピッタリはまった。帽子も頭にのせる。 少年は私に視線を移し、じっと見つめてきた。「君はピエロだ。ピエロは本来、自由であるべきだ。ある程度の演技さえすれば、平和を保てる」 私は十数年にピエロから聞かされた台詞をうろ覚えながら話す。私を救ってくれたピエロは流暢にそんなことを言っていた。 蘇我はピエロに金槌を渡す。柄の部分が、緩い、くの字になっているタイプのものだ。「君の初めてのショーだ」 私は少年に優しく微笑んでやると、少年は立ち上がり、雄叫びをあげて右手を振った。 私は上司に電話をかける。「子供はセンターに送ります。女は虐待をしていました。極部に連絡をしてください」6 辛い毎日。殴られ、ときには身体を焼かれ、しかし巧妙に隠蔽された。私の顔だけは恐ろしいほど、綺麗に整っていた。父と母は恐怖の代名詞でしかなかった。友人など、遠い国の言葉と思っていた。 そんなときに、スーツを着たピエロはやって来た。無表情で父の腹を焼き、その後に顔を潰して殺した。焼けた肉の匂いは今でも忘れられない。獣の匂いだった。 ピエロは母に質問をした。「お前と子供。どっちかを助けてやる」 母は即座に答えた。「私を助けて」 ピエロは悪魔の表情となり、私の腹を業火で焼こうとした。悪魔の表情はきっと錯覚だったのだろうが、ああ、こんなふうに人生は終わるのだな、と諦めた。後悔も、安堵もなかった。 ピエロが私の腹を見たときに、ピエロの表情は変わったように見えた。マスクなのだから、気のせいに違いないのだが。 ピエロは急に私を椅子から開放し、こう言った。「母親を殺せば、お前は自由なピエロになる。これから演技の教育もさせてやる」 ピエロは私にマスクを被せた。ピエロの素顔は見なかった。見てはいけない木がした。ナイフを握らされ、私は走り出す。 放心状態で両手の血を見つめていた私は確かにこう思った。唯一、母から教わって、ためになったものだ。 これから絶対に人は殺さない。 その後、私は数年のカリキュラムを受け、下極部に入る。そのカリキュラムこそが「演技の教育」と私は解釈している。 しかし、私を救ったピエロとはまだ出会ってない。彼はこの仕事を辞めたのだろうか? そうであったとしても、私は一生この仕事を辞めない。6 ピエロは少年と向き合っている。少年の腹は、煙草の痕や打撲の痕で肌色の部分などないように思えた。 麻薬の売買で肥えていた男と女を殺しにきたのだが、まさか虐待をしているとは思わなかった。少年の顔には傷一つない。「母親を殺せば、お前は自由なピエロになる。これから演技の教育もさせてやる」 気付けばそう言って、マスクを少年に被せていた。 ピエロはナイフを握りしめて立って、母親と向かいあっている。 私は思い出す。 昔、私は母親の膝を砕いたな。 小さなピエロはナイフを母親に突き立てた。