あたしと香織。



そして浅野くんと、仲良しのジンくんがいた。
ジンくんは陸上部のエースでまたモテる子だった。



ほかには桂もいた。



スポクラの子達は、部長だったり副部長だったりと、
とにかく目立つ人達ばかりが多かった。





その中にいるなんて怖い気持ちが大きかった。






溶け込めるとはとてもじゃないけど、想像つかなかった。






地味に静かに過ごして卒業まで持たせることしか考えられない。













香織と一緒に教室に向かう廊下を歩いた。




…うちのクラスだけがうるさい。



遠くからでも分かった。






そりゃそうよね。

殆ど持ち上がりみたいなもんだもんね。





今隣にいる香織だけがあたしには救いだった。





教室に入り、黒板に張り出されている座席表を確認して席に着いた。



出席番号順の並び。


入り口から一番奥、窓際で黒板前からが出席番号1番の席だった。



そこがあたしの席。

香織はあたしの斜め後ろの座席。
その後ろがジンくん。
そして浅野くんが座っていた。











あたしの…最後の1年が始まる。
期待なんてしてなかった。
諦めていた。



無難に過ごすことさえ出来ればいいと思っていた。




あたしが登校拒否した話なんて、
どうせ大抵の子に知れているんだから腫れ物に触るように扱われるんだから。

嫌な目にさえ合わなきゃいいの。






休みがあけて
クラス分け表が廊下に張り出された。






見に行くために近付いていくと
すでに見終えた香織があたしのところにやってきた。





あーさゆ!!
また一緒のクラスになれたよ!!よろしくね!















これは両親の計らいなんだ。
両親が学校側と話をしたときに2年生の途中でクラスを変えることは出来ないのかと聞いた。


もちろん学校側はNOという。


ただ、クラス替えのタイミングで仲が良かった子と作為的に同じにすることは出来ると答えた。


両親はそのことを学校にお願いしてあったからだ。





あたしは仲が良かった子や苛めた子の名前を聞かれたから。

その子達があたしと同じ教科を選んだ場合にのみ有効な約束だった。
香織はたまたまあたしと同じ教科を選んだという話なだけだ。





クラス分け表をみると、
苛め主犯核の兼田早苗もいた。









でも目を見張ったのはそれよりも
スポクラの大半の面々がいたからだ。




スポクラは固定だと思っていたのに…。
そしてその中には



浅野くんの名前もあったんだ。
自分を殺しつつ過ごした2年もなんとか終わりそうだった。





その間にあった行事に関しては
再三言っているけれど、


見事に覚えていない。





登下校に関しては、
1年の時に同じクラスだった子が割りと同じ方面だったので
時間さえ合えば一緒にいた。



あたしが少しだけでも気が紛れたのはその時間だけだったと思う。
ほんの少しのその時間さえもなかったらあたしはどうなっていたのかな。





その頃、あたしが浅野くんを見ていたかどうかは
これまた覚えていない。

好きな人がいたかどうかすらもわからなぃ。










あたしが通っていた学校は
3年生になると
選択教科でクラス分けが行われる。



文系理系で大きく分け、それから選択教科で分ける。



あたしは文系で世界史を選択した。

世界史を選んだのは、
元々日本史が苦手だったのもあるけど、
なによりも世界史を選択する人の方が少ないと聞いたから。




あたしを虐めた連中とは二度と顔をあわせたくなかった。



そしてどうにかこうにか最後の春休みまでたどり着いた。




ずっと惨めな思いでいっぱいだった。

おそらくだけど、あたしがこういう目にあったのは、
すぐに仲良くなった「和」な雰囲気のモテ子が原因じゃないかと思う。







あたしが虐めに遭いだしたらすっと離れていった。


状況が落ち着いたら
何食わぬ顔をして話し掛けてきた。




大変だったね




って。




これのどこがいい子なの?
あたしには分からないよ。