今日はお産が一件あった。
助産師さんは、大好きなMさんの日。

赤ちゃんは約3300g、
やや大きめでちょっと大変なお産だった。

分娩室で輸液や縫合の処置が行われている間、
Mさんに「赤ちゃん見てて」と言われたので、
私は新生児室でその赤ちゃんの様子を見守ってた。

しばらくするとMさんが戻って来て、
その赤ちゃんのおむつをとって
へその緒を見せてくれた。

「見てみ。この子な、へその緒がぶっといから、
臍帯クリップ2個使ってんねん。」

確かにその子のへその緒は他の子よりも太くって、
透明度が高い気がした。

「触ってごらん。手洗って来て。」

え!いいの!?(わくわく)と思って急いで手を洗い、
そのへその緒に触ってみた。


・・・ぷにぷにしてる!!!!!

そして、まだ脈打ってる!!!


「ほら、血管が3本見えるやろ。
2本はお母さんから栄養をもらうため、
1本はこの子の体のいらなくなったものを出すための管や。」

へその緒、その乳白色のゼリー状の管は、
ワルトン膠様質というもので出来ているらしい。

根元から約1cm~1.5cmのところでクリップを挟んである。
それをたどれば、体は普通の「皮膚」なのに、
どうしてへその緒だけ、
こんな不思議な素材で出来ているのか??

それは、
例えばお母さんのお腹の中で、
胎児と子宮の壁の間にへその緒が押しつぶされても
中の血管がつぶれないよう守るためなのだそう。
だからこんなに弾力のあるゼリー状で出来ているらしい。

つくづく、人間の体って不思議だ。
自分で自分を守れるように最初から作られている。


廊下で待っていたご主人にMさんが、
「お父さん、どんな気持ちでした?立ち会ってみて、」
と聞いた。Mさんは「父性」を育てるのが得意だ。

「もう・・・涙出そうでした。
あんまり人を見て息止めることって無いですけど、
妻と一緒に息止めちゃってましたね」
と、嬉しそうに話す。
涙ぐむ私。

「お父さんもこんな風に生まれて来たんやで。
こんなに大変な思いして生まれてくるんやから、
ご両親に感謝せなあかんよ。」


いつも思うけれど、
私がここに来て知ったのは、
人間って、こんなに愛されて生まれてくるんだということ、
愛されずに生まれるべきいのちなんて、
一つもないのだということ。
そして、子どもが家族にもたらす「何か」の大きさ。


私はやっぱり助産師になりたい。
就職して、自分でお金を貯めて、
そしたらもう一度大学に行きたい。

助産師になって、
世界中の一人でも多くの人にその喜びを知ってもらいたい。

それが今の夢。