今朝、通勤中の満員電車の中で、
見知らぬ人が倒れた…。

ちょうど電車が駅に着いた時で、
倒れた人は駅員に担がれて、
駅の医務室へ運ばれて行った。

その光景を見ていたら、
何故か分からないけど、
とある友人を思い出した…。

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中学一年生の秋、
パパの仕事の関係で、
茨城県から北海道へ引っ越した。

この時点で、
私の転校回数三回目。

変に転校慣れしてしまった私に、
不安や懸念は何もなかった。

案の定、
転校初日ですっかりアイドル扱い。
いつものパターン。

ただ一つ違ったのは、
多感な思春期だったという現実。

関東=都会から来たという、
勝手なイメージの氾濫。
皆と違う制服。
皆と違う教科書。

現実はいつだって冷たく厳しい。

私はアイドルの座から、
一夜にしていじめの標的になった。

クラスの女子のほとんどが無視。
毎日何かしら持ち物はなくなる。

そんな毎日が続いた。

次第に絶望を感じるようになった。

学校へ行くのが嫌になった。
不登校寸前だった。

学校から帰ってきて、
泣きながらママにいじめられてる事を
告白したあの日。

今でもその時の事は、
鮮明に脳裏に焼き付いている。

そんな状況下の中、
周りのいじめに関わる事なく、
普通に接してくれたクラスメートがいた。

それが彼女だった。

彼女はとても勉強が出来た。

テスト前になると、
お互いの家を行き来し、
よく彼女に勉強を教えてもらった。

彼女は心臓が弱く、
体育の授業はいつも見学していた。



その時の私は、
まだ気付いていなかった。

事の重大さに…。



月日が流れ、
高校受験が迫った中学三年生の時、
彼女が入院した。

患っていた心臓病が、
彼女を確実に蝕んでいた。

私は無事に第一志望の高校へ合格。

でも彼女は、
入院生活を送っていたので、
高校を受験出来なかった。

それから一年後、
彼女は一年遅れで、
私と同じ高校へ進学した。

学年は一つ違うけど、
よく彼女のクラスへ遊びに行った。

彼女の担任の先生が、
私の社会科の先生でもあったので、
先生が彼女の様子を色々教えてくれた。

彼女は時々学校を休む事はあったけど、
高校生活を楽しんでいるようだった。



それは突然何の前触れもなく訪れた。



私が高校二年生のある冬の日の朝、
突然電話が鳴った。

パパは会社へ行く準備、
私はは学校へ行く準備、
家の中はいつもと変わらずバタバタしていた。

電話に出たのはママだった。

学校へ向かおうとする私の背中を、
ママの声が呼び止めた。

電話の主は、
彼女の担任の先生だった。

「もしもし、先生?
 おはようございます。
 こんな時間にどうしたんですか?」

いつもクールな先生の声が、
どことなく震えていた。





「彼女が死んだ…」





…!!





先生、何言ってるの?
元気に学校来てたじゃん!!

言葉にならない叫び…。



彼女は患っていた心臓病の発作で、
突然逝ってしまった…。

まだ16歳だった。



彼女のお通夜に出席した。
彼女と同じ制服を着て…。

でも涙は一滴も零れなかった。
突然過ぎる現実が受け止められなかった。

彼女の高校のクラスメートが、
声を上げて泣き崩れていた。

その光景を見て、
彼女が本当に亡くなったんだと実感した。

お通夜には、
中学生の時のクラスメートもいた。

久々の再会が、
こんな形になるとは、
誰が予想しただろう。



余りに短すぎた彼女の人生…。
彼女は一人静かに星になった…。

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突然フラッシュバックした亡き友の記憶。

旧友はまだ覚えているだろうか?
先生はまだ覚えているだろうか?

どうか忘れないでいて…。

彼女が懸命に生き抜いた16年間を…。