今まで何度も私のブログで登場している同僚たち。

彼らの多くは戦争で祖国を追われた外国人たちなのですが、

日本で育った私は、彼らから多くのことを学ばせてもらっています。

 

彼らと働きだして私が一番学んだことは「恩送り」。

英語ではPay it forwardと言って、このタイトルの映画や本もあります。

恩送りとは、自分が受けた恩を他の人へ送る。

そしてその人も違う誰かに送り、恩のが人の間を渡ってゆくというものです。

 

 

日本やスウェーデンでは、ルールやシステムがあり、その中で仕事をするのが一般的だと思います。

仕事の時間内であれば、自分の出来る限りのことをするかもしれませんが、

業務時間が終われば、仕事とプライベートを分けることも良くあります。

特にスウェーデンでは、プライベートの時間を大切にしているので、

仕事が残っていようと、勤務時間が終われば、さっさと職場を後にしていきます。

 

今私が一緒に働いている同僚たちは、自分の意思で業務時間が過ぎても、

利用者の為にいろいろやったり、プライベート時間を使って毎日病院へお見舞いにいったりしています。

そして、その行為はちゃんと利用者の心に届いています。

彼らに何故そこまでやるのか?と聞くと、「好きでやってるから」と言われます。

そして、彼らから親切を渡された利用者たちは、私や他の職員、そして家族へ渡されます。

 

時々、利用者がいつも以上にお礼を言うことがあり、お菓子や花を持ってきてくれ、

「今日はどうしたの、そんなにお礼を言って?」と聞くと、

「こんなに素敵な人たちに囲まれて嬉しいから」と言われます。

その時に、私は勤務時間が始まったばかり、その日はまだ利用者に何もしていないことが多く、

前に働いていたスタッフを思い出し、「あぁ~彼女(彼)が特別に何かしたんだなぁ」とすぐに理解します。

後でそのスタッフに話を聞くと、やはり私がやらない行動をしていることが多いです。

スウェーデンの高齢者は家族と離れて暮らしていることが多く、

家族が毎日のように面会に来ることはとても珍しいです。

なので、多くの高齢者は孤独を感じています。

そんな孤独を理解し「相手が喜ぶだろうから」という気持ちで、自分のプライベート時間を使って、

利用者のことを考え、喜ぶことをしてあげられる同僚達を、私はとても尊敬しています。

 

仕事とプライベートを分けることが駄目だとは全く思っていません。

そして、これからも私の中では、仕事は仕事、プライベートはプライベートというのが大半を占めるでしょう。

でも彼らから恩を受けた利用者の反応を見ると、こんなにも人の心に響くのかと感動することがあります。

文化が違うということは、誤解や対立を生むこともありますが、良いこともたくさん学ぶことができます。

 

 

同僚たちのように、自然に相手の喜ぶことを出来るようになるまでは時間がかかるかもしれませんが、

私も恩送りが少しでも出来るように、彼らの行動を研究してマネをしつつ、

精神面で少しずつ練習し学んでいきたいなと思います。