私がサラリーマン時代のお話しです。
応接室で待っていた私のところへ、その人はやって来ました。
これからその人と打ち合わせなのです。
しかし・・・
私はその人の顔を見たとたんに集中出来なくなってしまいました。
その人の顔の真ん中あたりが気になって気になって・・・
鼻の右側の穴から長い鼻毛が出ていたのです。
それも何本も。
私はバカボンのおやじを思い出していました。
トイレにでも行って鏡を見れば分かりそうなものなのに。
時折そんなことを全く気にしない人にも出会います。
神経が図太いのか、それとも無神経なのか。
この人がどちらなのかは不明ですが、少なくとも気にしないタイプの人のようでした。
しかし本人は気にならなくとも、私が気になるのです。
その人の顔を見ると、ついつい目が鼻毛にいってしまうのでした。
自分なら誤魔化すんだけどなぁ~
いつの間にか私はあらゆる鼻毛の誤魔化し方を考えていました。
もっともポピュラーなのはやはり抜く事なのでしょう。
その場合親指と人差し指で鼻毛を挟むようにして引っこ抜くのが正しいやり方です。
でもこのやり方は結構痛みが伴います。
薄っすらと涙など浮かべながら、抜いた鼻毛を確認するその姿には哀愁が漂います。
次に考えられるのが鼻の中に押し込むという方法です。
この場合は人差し指で押し込むのが正しいやり方でしょう。
痛みも伴いません。
しかしビジュアル的にはどうなのでしょうか。
鼻の穴に人差し指を突っ込んでいる姿を人に見られたなら、みっともなくてその場から一刻も早く立ち去りたい気分になる事請け合いです。
更には押し込んだ鼻毛は再び出てくる事が予想されますので、あくまでも応急処置としての方法という事になるのでしょう。
この方法を用いた場合は短時間勝負に出ないといけません。
さりげなさを重要視したいなら、強引に吸い込んでしまいましょう。
手は使わないので指が汚れる事もありません。
しかしこの場合は相当な肺活量が要求されます。
普通の人には無理かもしれません。
あるいはもう片方の鼻の穴から鼻毛を出すという方法もありそうです。
見方によっては鼻ヒゲに見えるかもしれません。
しかしこの場合、相当長くないと効果がありません。
普段から伸ばし放題にしておく必要がありそうです。
しかし何で私はこんな事を考えているのか?
仕事をしなくていいのか?
でもムダなのでした。
顔を上げるとどうしても気になるのです。
この人の鼻毛!
言っちゃおうかなぁ~
「鼻毛出てますよ。」
怒られるかなぁ~
うわぁ~気になる!
「じゃあそういう事でお願いね。」
「はい。」
打ち合わせが終わりました。
そういう事ってどういう事だろう?
鼻毛が気になって・・・
でも無意識のうちに結構メモ取ってました。
何とかなりそうです。
さてと俺の鼻毛は大丈夫かな。
最低限の身だしなみ鼻毛チェックは欠かさずに!
その日の教訓でした。