その昔、僕はとあるベンチャー企業に勤めていたことがあります。社長の志に惹かれ、先は「役員に」と誘われ転職したのだけど…
多発する組織変更、転勤…
丸投げに近い仕事の渡され方…
役員にと誘われたのに先送りに…
などなど、酷いことがいっぱいでした。
けれど極めつけだったのは、理想の実現のために働き、疲れ切った仕事の後に「ぶっちゃけ儲ければ何をやったっていい」と言われたことでした。僕はそれは違うと思って「あなたは言ってるだけで、本気じゃなかったんですね」と言った。そしたら社長は驚くほど怒りました。
「どんな想いでやってると思ってる!中途半端な気持ちで、ベンチャーが2,000万円も投資できると思うか!」
と。
ただその時の自分は、何を言われても耳に入ってこなかった。また金か、と。そしてそれからすぐ会社を辞めました。
でも自分も「経営者」になった今、その時の事を振り返ると、違った見え方が見えてきました。時間はかかったけれど、ようやく社長の真意がわかってきた気がします。
■組織変更・転勤の原因
ベンチャーは朝令暮改が日常茶飯事です。これは事業を支える収益基盤がまだ甘く経営が不安定であること、また新しい可能性も広げていかねばならないし、チャンスに対して即応していかねばならないから、自然とそうなります。
だから「こういう見通しだ」という話は見通しでしかなく、優先順位も結構変わってくることも多くあるのです。
■丸投げ仕事の理由
役員になる為に絶対に必要なもの。それは「事業をジブンゴト化する」というもので。あらゆる出来事に対して、当事者意識を持たねばなりません。
そして役員として会社を正しい方向に導くために、自らしっかりとした主張と、主体性、それを実現できる力量を持たねばならない。
けれどこればかりは、言って、説明して、どうにかなるものではなく。「自分自身が成功体験を通して体得してく」しかない。
だからどこまでを任せられるのか、視座の高さと力量を見定めるために「あえて丸投げ」をしたりします。
※決して面倒臭くて丸投げしてる訳ではない。だって最も事業の成功を願うのは、誰よりも社長だからです。
■2,000万円の投資の重み
これはベンチャーにとって、とにかく重い投資だったとわかります。その重さは「どんなものなら、自分の貯金から2,000万円出してでもやりたいと思えるか?」という問いを、自らにしてみればわかると思います。
社長は本気だった。それは間違いない。そして、その社長は「雇用を増やしたい」というのが志でした。だから結論「稼げるなら、何をやってもいい」という言葉になったのかもしれません。
■でも結果、辞めて良かった
僕の志は「雇用拡大」という道になかった。だからそのまま残っても、きっと彼の事業をジブンゴト化できなかったと思います。
で、要は何が言いたいのか?
それは「正しさ」とはそれぞれの中にあるもので1つではない、ということです。
1つの物事には様々な見え方があって、立場や状況によって、正しさは変わってきてしまう…ということなのだと思います。
当時の僕はその事がわかってなかった。すべての目標は会社(創業社長)が示すもので、その実現のために、自分は自分の領域だけをやり切ればいいと思ってました。
逆に「こうあるべき」という主張をすることに遠慮もあったし、何よりそういう主張を持てるほど、その事業を成長させることを「ジブンゴト化」できてなかったのだと思います。
ただ当時、「役員として」未熟であることを自覚できていない自分にとっては、それらに対し不満タラタラでした。あらゆる不満の原因を社長や会社のせいにしてた。でも先程も言ったとおり、それもその当時の自分にとっては1つの正しさだったわけです。
役員と社員の間には思いの外深い溝があり、それは組織が大きくなるに連れ、より深くなっていく、ということ。
ではどうしたら、その深い溝を埋めれるのだろう…そんなことを週末考えてました。
で、出した答えは…
・コミュニケーションを取ること
・しっかりとした背景説明をすること
・スタッフの成長に目を向けること
・感謝の気持ちをちゃんと伝えること
という、至極当たり前のことでした。
これって…
カップルも
家族も
会社も
人と人の関係性において、すべての土台なのだな、とつくづく思います。ちゃんと向き合って、互いの違いを理解し、その上で折合いをつけていく努力をしてくしかない。
仕事はどんどん忙しくなっていくし、時間も限られてくるけれど…削っていいものではない。とても優先順位が高いものなのだ、ということを、改めて思い直してます。
