私は4/5日『シャザム!』を試写会で鑑賞してそのクオリティの余りの高さに驚いた。これは『スーパーマン』、『ダークナイト』『ウォッチメン』、と同じくアメコミ映画史に残る大傑作であると。


今回の映画が公開されるまでには大きな不安もあった。ノーランから引き継いだザックの世界観とは真逆に見えるコスチュームと作風に、DCEU再編と一連の降板劇のゴタゴタ。前評判が良かろうとRotten tomatoesで93%のDCEU最高評価をつけられようとそれに全く変わりはなかった。

しかし、この映画を観るに当たってザック後のDCの新たな路線というものも観ることが出来たDCEUの荘厳で神話的な世界観を破壊してしまうのではないか?という一抹の不安は見事に吹き飛ぶこととなる。

確かにトーンは前作アクアマンよりもずっとライトになったが、バートン版バットマンのような雰囲気に形は変わったものの、ダーク路線は維持され、一般の人々から観たスーパーヒーローが存在するDC世界という新たな視点からのDCEU6作品への世界観の繋がりを感じさせるオマージュの数々にふと胸を撫で下ろしたくなる安心感を覚えた。

以下ネタバレあり!

 何と言っても、ホラー出身のサンドジーグ監督が描くストーリーは今までのDCEU作品とは全く異なるものだ。ヴィランのDr.シヴァナの少年時代から幕は開け、悲惨な前半生を背負いヒーローとしての運命を道半ばまで歩みながらもヴィランとして歩まなくてはならなかったという哀愁とシャザムと裏返しの存在として位置付けられる。それはバートン版バットマン作品のヴィランのようであり、また彼は7つの大罪と呼ばれる悪霊によって操られているだけの存在でもあるという被害者でもある。悪霊たちの造形は如何にもホラー的で多くの人々を襲い無残に殺していく様はホラー的な演出で巧みに描かれている。




しばらくして現れる本作の主人公ビリーは孤児で、周囲と馴染めから里親の元を転々としながら暮らしていた。彼が次に里子へ出された先は多人種の養子たちを迎えている一家であり、個性的ながら心優しい兄弟たちに囲まれながらビリーは過ごしていくことになる。

ビリーはシヴァナを倒すためにヒーローとして魔術者に急遽選ばれ、力を託されるが生来いたずらっ子なので義理の兄弟で悪友のフレディとともにその力を使って快楽を得ようとする。YouTube に配信するためにフレディがヒーロー動画を撮影するシーンではボヘミアンラプソディで再び話題となったQueen 「Don’t stop me now」が流れるなどトレンドに敏感な現代っ子な少年という『キック・アス』でヒーローが現実にいればといったif論をスーパーヒーローの世界観で地をいっているところが面白い。


 有名人になったヒーローは同時にシヴァナの知るところとなり、その力への脅威を感じた彼によってその力を明け渡すよう脅される。兄弟たちを人質に取られながらビリーが機転を効かせて挑むラストバトルはビリーとその義理の兄弟たちが共にヒーローとしての力に目覚める『Mr.インクレディブル』を彷彿とさせる家族チーム戦となる。運命論的にその力を得たビリー
であるが、その力に相応しい正義の心の持ち主であるということを証明し、シヴァナを倒すシーンが印象的だった。



そしてラストシーンでのスーパーマンのサプライズ登場には(顔は見えなかったが..)本当に胸が熱くなるとともに、カヴィルの復帰を心から祈る気持ちが再燃!



ライト路線とダーク路線の並立を可能とするこれからのDCEUはヒーロー毎に合った路線でさまざまな作品を作ることが出来るようになったのであり、アベンジャーズ完結後尻すぼみになることが予想されるMCUに代わって今後のアメコミ映画界を牽引することが期待できる。