「やっぱりヌナだ!」




驚く私にお構いなしで、嬉しそうにミンギュは話し続ける



「さっき、変な声出てたね、くくっ…」

思い出し笑いをしながらも、
真似して揶揄わない所は…大人になった、ってことかな


「いやぁ〜、ヌナにまた会えるなんて、運命…

あ、いや……違うか……」



ミンギュは頭をポリポリ掻きながら



「よいしょ…」


と、砂浜に腰を下ろした



遠くに、小さな子供を連れた家族らしき姿が見え、ミンギュは目を細めて見ている。

父親が子供を肩車すると


「俺の肩車は高いぞ〜!
なんなら、ヌナだって肩車する自信あるし」


なんて、得意気に言うから


「ミンギュ……転びそうで怖い…」


「えーー、なんだよそれ〜…」


「「ぷぷっ」」


思わず2人とも吹き出してしまった。




海から吹く優しい風が…




ミンギュとの、この空間が


なんとも心地良い……








「ヌナ……結婚式の日取り…決まったの?」


「……えっ?」


「あ、ごめん、言いたくなかったら別に言わなくてもなくいいし、あの、特に知りたい訳でもないけど…

……おめでとう、って…言わなくちゃと思って」



そう言って、私の目を真っ直ぐに見るから



「……わ、私の事より、ミンギュこそどうなの?
すごく騒がれてるけど
…スアさん、可愛らしい人だね!すっごくお似合いだよ、2人!」


情報を知りたくなくて逃げるようにここに来たのに、
思わず聞いてしまった




「あれ?ヌナ、今日の報道は?見てない?

破局〜!って騒がれてたんだけど」



「…えっ?!」



「破局っていうか……そもそも付き合ってないんだけどね」



「え、えーーーー?!」



「スアは、俺の恩師の娘さんで、女優になりたいって田舎から出てきて

特に、ヌナとバッタリ会った頃、えーと、5年くらい前?」


「…うん」


「あの頃は、デビューできるかどうかの大事な時期で、俺しか頼る人はいないし

俺は俺で、仕事も頑張り時だったし、スアの事もほっとけないけど、誰かと付き合うとかは考えられなかったんだ」


「そっか…」


「頑張ってデビューできても、ほら、厳しい世界だからさ、すぐに人気が出るわけじゃなくて。
そんな頃だったかな…一度dispatchに写真を撮られてさ。大手のスアの事務所側から、否定しないで欲しいと申し出があったんだ。」


  あぁ…あのお正月の………


「俺は、スアがそれで良ければいいと思ってたから了承したんだけど、色々面倒くせーったらなかった!
あ!でもさ、スアが人気出てきたのは、実力だと思ってる。あいつ、めちゃくちゃ頑張ってたんだ」


  あいつ……かぁ……


  面倒くさいなんて、ミンギュらしいなー
  よく我慢したね


  スアさんのこと、本当に大切なんだね…


「だけど、あいつももう一人前の女優になったから、もう俺との噂に頼る必要ないじゃん。
俺も30になったし、あいつも27で…。
もうそろそろ、本当の恋愛とかさ…な!

だから、スアにも事務所にもそう言ったんだ。そしたら…」



「……そしたら?」



「事務所は2つ返事でOK。そりゃそうだよな、俺との噂なんて、今のスアにはデメリットでしかない。」


「スアさんは?」



「それが…スアは泣くばかりで…
不安なのかなぁ…もう自信持っていいのに」



「いや……それって……ミンギュの事、好…」
「俺のことより!!」



「えっ?」



ミンギュは立ち上がり、私の正面に来ると

私の両肩に手を添えた


促されるように私が立つと、

肩に置いた手に少しだけ力を込めて言った




「ヌナ、結婚おめでとう!」




「…あ…」




「式の日取りは……聞くのやめる。うん」



「…あ、あの…」



「幸せになってね…あ、今でも十分しあわ…



「私、結婚しないの!」



「へっ?!」



「別れたの…半年前に」



ミンギュは、口を開けたままヘナヘナと座り込みそうになった



そして、またすぐ立ち上がると


そっと……
ほんとにそっと、私をハグした




「ヌナ……辛い?」





私が黙って首を振ると


今度は私の頬をムギュッと両手で挟んで



「ヌナ!やっぱり、運命だったんだよ!俺たち!」


真面目なんだかふざけてるんだかわからない調子で言ったかと思ったら


「なんちゃって!うししし〜」



って、ニタッと笑う



  ミンギュのこういうとこ……

  場を和ませるの天才だね


思わずつられて微笑むと



ミンギュは、少し遠慮がちに口を開いた



「ヌナ、あの日の……7年前の誤解……
今、解いてもいいかな」



「誤解?」



「うん、7年前、ヌナが俺に『私と別れたらどうするの?』って聞いた時…」


「あっ…」


「覚えてる?」


「うん…」


  私がずっと悔やんでたこと………


  そして、今でも1番後悔してること………


「あの時、俺、『そしたら元カノとヨリを戻す』って言ったんだけど…」


「そうだよ……だから、私、すごくショックで…
ミンギュは私と別れても平気なんだ、って…
私より元カノがいいんだ、って…
結局、それがきっかけで別れちゃっ……」

「ヌ〜ナ」


私の愚痴を制するように、ミンギュが優しく言った



「やっぱり誤解してたんだ」



「誤解じゃな…」



「ヌナ、よーく考えてみて?」



「ん?」



「ヌナと別れたら、俺にとってヌナは?」






……ミンギュと別れたら私は…


……ミンギュの元カ……



「……………あっ!」




「やっとわかった?」


と言いながら、また頬をムギューッとされて


「そうそう、ヌナと別れても、元カノになったヌナとヨリを戻すって意…」


勝手に涙が溢れていた






ミンギュは、涙をそっと指で拭うと
私を引き寄せ、
今度はさっきよりも力強く抱きしめながら、


「あの時ヌナが意地悪な質問するから、俺も意地悪しちゃって……ゴメン…。
まさか別れる事になるなんて思ってもなくて…











「ヌナ。今すぐにとは言わないけど…
俺と…やり直してくれないかな」












・・・・・・・


・・・・・・・










5年後…………







あの日と同じ砂浜で




私は、あの日の事を思い出しながら

愛しい2人の姿を目で追っている。




キャッキャッと波と戯れ、まるでワンコの親子みたいだ







そして、肩車をすると2人は同時に私を呼んだ





「ユジーーーーーーーーーーーー!!」
「おんまぁぁーーーーーーー!!」



















・・・・・・・・・・・・・


























ヌナの名前「ユジ」は、
色々調べて探したけれど、最終的には、
「自分の名前を韓国名にしてみよう」という感じの診断メーカーを見つけて、そこに自分の名前を入れて出てきた名前にしました……てへ♡





最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。