後編です。
この二人を偶に書いていると、本当にホンワカしちゃうんですよねぇ…
ギュイェとはまた違った恋愛模様と言いますか。

レラの大きな心はギュとは違う大人な感覚?という感じですかね。
トゥギを想うレラの優しさはギュにはまだ無理だろうなぁなんて一人思ってしまう訳ですがー、後編は少し短めです。


この二人、結構甘い感じに仕上がっちゃいましたけどソレでも大丈夫っ!と頷いて下さる方はどぞっ!!








【Word(後編)】



静かな室内には何一つ物音を立てるようなモノが無い。
告げられたのはずっと拒絶していた言葉。それを聞いたらこの場には居られないと告げたのに、それでも気持ちを伝えて来た相手を強い瞳で見据える。熱で思考が回らないのかとも思うが、目の前の潤んだ瞳は正気を保ったままだった。

「…俺が此処から居なくなってもイイって…?」

頬に当てられていた手を冷たい手が上から包み込む。その冷たさが熱のある体には気持ちイイらしい。頬から離れた手が冷たい手を緩く握ってきた。

「ヒチョラは居なくならない。」

そんなの、許さないもん。

言葉の甘え具合とはかけ離れた強い響き。その確固たる意思を象徴する瞳から、溜め込まれていた涙がハラリと流れ出す。

「オレ…酷い事されても、平気だよ?」

流れた涙は普段から泣き虫な彼がよく流すモノ。なのに違ったモノに見えてくるのは、ソレが心を反映しているからだろうか?

「どんなお前だって…オレ、好きで居られる。」

その自信があるから…だから。

「もう、ヒチョラも隠さないでよ……」


涙を流しながら綺麗に笑う目の前の相手に、ヒチョルはこの時初めてイェソンの言った言葉の意味を理解した。アレは、自分の心を読んでの事。
それを判った上であの弟はこの泣き虫に入れ知恵をしたのだ。

「……お前らグルかよ…」

深い息を吐き出しながら、流れる涙を隠すように熱い頬へと掌を寄せる。それを嬉しそうに受け入れるのは、天使と呼ばれるこのバカで泣き虫な目の前の相手。

「俺は今以上に我儘になるし、お前をもっと泣かせる…」

触れた掌は涙でどんどん濡れていく。それすら構わないというように、ヒチョルは触れた手はそのまま間近の瞳を覗き込んだ。

「嫌がったって…離してやれねぇんだぞ?」

これから先、きっとこの泣き虫を離してやる事が出来なくなる。それを判っていたから気持ちを抑えたままこの関係を崩さないようにと頑張っていたのに。それすらこの相手は嬉しいと受け入れるのだ。それも判っていたから、だから離れたかった心…

「お前のこれからが、俺だけのモンになる。それでもイイって…?」

触れそうな程近い唇にイトゥクは頬を染めながら、彼特有の少し幼さを含む表情を覗かせた。

「それだけ…オレを好きでいてくれるって……そういう事でしょ?」

それが貰えるならば、この人生全てを捧げたっていい。

「オレをヒチョラのこれからに、ずっと居させてよ…」


天使と呼ばれる笑みで告げられたソレはヒチョルの心を動かすには十分だった。熱で赤みの増した唇を柔らかく塞いで甘い言葉へと返事をくれてやる。この唇に触れたらもう後には戻れない事位判っていた。
きっとこれから先、一生手放す事が出来なくなる。そこまで人を好きになった事なんて今まで無かった事。だからこそ相手の事を考えた。
離せなくなるのは分かりきっている。それをこの相手へと向けて縛り付けて、それはコイツの本当の幸せになるだろうか?

だから、離れようと思った。告げられてしまったら離してやれなくなるから…可哀想なこの相手を閉じ込めてしまわない内に離れよう。そう思っていたのに。

「後で嫌だって言っても、もう聞いてやれねぇ…」

スルリと肩からシャツを落として、そのまま肩口へと唇を押し当てる。
それに震えた体は無視して、そのまま首筋へと唇を滑らせていく。
口ではそんな強気な事を言う癖に、その唇からは酷く優しさを感じた。
その感触にイトゥクはイェソンの言っていた言葉を思い出す。

『ヒチョリヒョンは、ああ見えて臆病だから。』

秘めた心を伝える事も、相手の心を受け入れる事すらきっと怖がっている。それだけ深い心があるのだと。
だからその心を受け止める覚悟があるなら、言ってやれ。
そう言って微笑んだイェソンはきっと自分達よりもずっと大人だ。
そんな気持ちがヒチョルに有った事すら判らなかった。

「ねぇヒチョラ…オレの事……好き?」

ユックリと倒される身体のまま目の前の綺麗な顔を見つめる。
ソコには何時も強気な彼の瞳では無くて、自分だけに向けてくる優しい穏やかな瞳があった。

「好きかって?そうだな……」

サラリと撫で上げられた身体は甘い痺れを引き起こしていく。それを目の端に捉えながら、ヒチョルは何とも悪い笑みを称えて。


「愛してるって…言ってやろうか?ジョンス……」


ニヤリと微笑まれて囁かれた自分の名前にイトゥクは顔を真っ赤にしてしまった。

熱があるというのにもう手加減すらしようとしないヒチョルは想いのままにその身体を貪っていく。その熱すぎる熱すら今のイトゥクには幸せ以上の何物でも無い。

「俺に抱かれる事がどんな意味かって…この身体に判らせてやる…」

綺麗な笑みはそのまま、そんな強い言葉を告げてくる女王様に笑って。
明日の仕事に支障が出ませんようにと、バカみたいに幸せな悩みを心に抱いたままイトゥクは目の前の相手へと熱い腕を伸ばした。







※ウチのパパママの馴れ初めっ
こんな感じのお話を二人で書くのは初めてかもしれませんねぇ…(何時も出来上がった後的内容多し

やっぱりギュイェよりも大人な雰囲気が漂うのはあのレラ様だからでしょうか?しかし言葉以上に優しいレラにブルブルですよ何この二人っ←




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