短編です。
連投となりますが、前に上げた【籠の中の鳥】で兄さんが弱いなぁと思い、ならば偶には強き受けな兄さんを書いてあげなきゃ可哀想やん?
なんて親心?を出してしまいました。
なので今回はかなーり私には激レアなギュがいらっしゃいますよ(笑)
そんな激レアなギュを堪能しようじゃないか!なんて勇気ある方はどぞ!!
【好きを沢山】
「ヒョンが好きです。」
生真面目な顔で言われた言葉にイェソンは見ていた雑誌から顔を上げないままウンザリと肩を落として。
「………知ってる。」
一言答えて何百回目となる溜め息を吐き出した。
キュヒョンから好きだと言われたのは一ヶ月程前の事だ。それに最初は驚いたものの、自分は彼を弟としてしか見ていないと伝えた。そのまま大人しくなるだろうと踏んで日々の生活を送っていたのだが、この弟。
見た目以上に根性があるらしい。人の顔を見れば好きだと告げて来るのだ。それが毎日ともなれば最早挨拶のようになってしまい、今やイェソンにとってはウザったい事この上ない言葉となっていたりする。
「僕は貴方が好きなんですってばっ」
収録前の楽屋での言葉。諦める処か尚も言う相手には呆れを通り越して尊敬すら覚える。言われる度にフラれているようなモノなのに、それでも諦めない根性はスポーツ選手並だろう。
「あー…俺も好きだって、弟として。」
人を傷付けるのは余り好きでは無い。だからこうやって言ってやるのに相手はそれを不服に感じるらしい。
「そんなのは要らないんです。」
ムッとした顔は何となく幼さが感じられて可愛いとは思う。それを見ていたメンバー達は毎度の事だとからかい半分で二人を囃し立てるのだ。
「ヒョーン、いい加減OK出してあげればー?」
「……だったらお前が引き取るか?ウニョガ…」
言えば途端に血相を変えて明後日の方を向いてしまう。他のメンツも同じように顔を逸らすのだから人ごととは何とも恐ろしい物だ
「お前が俺を好きだってのはちゃんと判ってるから…な?」
そんな風に拗ねるなよ。
ブラリと垂れ下がっていた手を握ってやれば、それだけでキュヒョンの機嫌は上昇するらしい。歌の前にご機嫌斜めではコチラが困るから。
仕事に支障は来たしたく無いのだ。その為だったら期待を持たせるような行動だと避難されようと敢えてしてやる。
「今日もお前の歌、ちゃんと聴かせろよ?」
フッと微笑んだイェソンに、キュヒョンは渋々頷いた。
収録も終わり、宿舎へと帰宅したのはイェソンとキュヒョンだけ。リョウクとソンミンとはこの後ラジオ収録があるからとスタジオで別れていた。ともすれば、毎度の事ながらキュヒョンはイェソンの部屋へと当たり前のように入り浸る。それはもう何年も前からの事なだけにイェソンも当たり前とソレを受け入れていたのだが。
「……ヒョンは酷い…」
ポツリと言われた事にベットへと寝転びながら雑誌を読んんでいたイェソンはハ?と顔を上げた。その先には体育座りをしたままコチラをジトリと睨む弟の顔。
「……俺の何が酷いって?」
突然何だと言えば、ムッツリ顔の相手はプイッと顔を反らして唇を尖らせた。
「……僕は物じゃない……」
物?何の話だろうと少し考えて、ふと楽屋での言葉を思い出す。
『だったらお前が引き取るか?』
どうやらソレの事を言っているらしいのだが。確かに言ったが、自分はほんの軽い気持ちで言ったのだ。ソレがキュヒョンには思いの外ショックな言葉だったようだ。
「別にそんな意味じゃ…」
「僕の気持ちも知らないで…酷い。」
顔を逸らしたまま遮られた。こんな風に拗ねる弟は常だが、傷付いているキュヒョンにイェソンは少し後悔した。余りにも好きだと言われ過ぎてその言葉に麻痺していたが、ソレを言う方は常に勇気を振り絞っていたのかもしれない。軽く言っている訳では無い事は判っていた筈なのに。
「……キュヒョナ…」
静かに呼んだのは彼の愛称。こうやって二人きりの、そして彼を甘えさせてやる時にしか言わない名前。それを囁いてやれば、俯いていた顔がユックリと上がる。その事に苦笑しながらイェソンは寝転んでいた体を起こして手招きをした。それにまたプイッと顔を逸らすから、もう一度。
「ほら、キュヒョナ…」
また読んだ名前。今度はそれに逆らわず、キュヒョンは不貞腐れた顔のままイェソンへと近付いて。
「……俺が悪かった。」
ゴメンな?
ベットへと座ったままのイェソンにギュッと抱き締められて、キュヒョンはその肩口へと顔を埋めた。
膝立ちだから何時もよりも高い位置にあるイェソンの肩。ソコは何度かこうやって抱き締めてもらう度に乗せ心地が良いと感じている場所。
こんな風に甘えさせてくれるから、キュヒョンはイェソンから心を離す事が出来ないのだ。
「悪いと思うなら…突き放すか優しくするか…どっちかにして下さい…」
もう期待だけの気持ちは要らない。それをされる度に心臓が痛くなって、辛い気持ちだけが増長される。それがもう耐えられないのだと。
キュヒョンはイェソンの体へと腕を回して肩を揺らした。
「……そうやって泣くなよ…」
この弟に泣かれるのが一番辛い事を自分は知っている。こうやって縋ってきて、泣かれるだけで心が痛い。泣かせているのが自分だと知っているだけに余計に…
「そんなにお前…俺が好きな訳…?」
柔らかい髪を撫でてやって、何だか子供をあやしている気になる。
こんな図体だけデカイ子供は願い下げだが何となく。
そう、何となくだが近頃思うのだ…自分を見つめてくる瞳が嫌では無いと。
「僕は何時だって…貴方しか想ってない……」
グスリと鼻を啜って泣く大人が何処に居るだろう?感情を抑えもせず、こんなにも好きだと伝えてくるこの大きな子供を、自分は抱えきれるだろうか?
「………お前、俺を好きでい続ける自身…あんの?」
俺は結構我儘で、一度コレって決めたら離さない性格だけど。
「ずっと俺から離れない自信、あるか…?」
イェソンの言葉に顔を上げたキュヒョンは何だか信じられないモノでも見ているような表情をしていて、それに思わず笑ってしまった。
「その顔、ファンに見せてやりたい。」
まるで捨てられた仔犬が飼い主を見つけたようなその表情。
その姿ですら、前には思わなかった可愛さを感じてしまうのはきっと心が絆されてしまったから。
だってこんなに自分を求める人間を他に知らない。
「もしかして…僕を好きになってくれるって…」
言いかけた唇を何となく黙らせたくて、自分のソレをソッと押し当てて軽く塞いでやった。触れた唇は思ったよりも気持ちが良くて、これならまぁ悪く無いかと思う。それに何より、嫌悪を全く感じない。
だからもう、答えてやってもイイかと思うのだ。
「お前を好きに…なってやる」
驚きに見開かれた瞳がやっぱり仔犬に見える。
コイツを拾ってやれるのは多分自分だけだ。だから……
「ちゃんと大事にしろよ?俺を……」
仔犬な瞳を覗き込んでクスリと笑うイェソンに、人生において最大級のプレゼントを貰ったキュヒョンは未だ信じられないという顔を崩さないまま。
「ヒョン…もう一度キス、しませんか…?」
「………仕方ないヤツ…」
もう一度とねだるお子様に、今度は芽生え始めた感情を与えてやる為にイェソンは微笑みと共にソッと唇を寄せた。
※私にしてはかっなりレアなギュイェでございます。
こんな男前兄さん書いたのなんて数える程…
いや寧ろこんな仔犬ギュは初なのではなかろーかと。
書いててギュって何て言うだろう?と想像するのが難しかったです(フィー
いやぁ…もう余りこんなのは書けないな、ウン←この関係書くのに結構苦しんだ(笑)
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