続きです。

今回此処に出てきた兄さんの格好は現実に撮られていた姿をモチーフにしております。いや、その姿だけをモチーフにしてるので後は私の妄想力だけで突っ走ってるんですけどね?
ああ、アレか!!なんて判る方もいるかもしれませんが、軽くスルーしてやって下さいその兄さんが好物なだけですから(え

とまぁグダグダ書いてても仕方ないので。
さぁ読む準備はオッゲー!?(某ユチョ口調/笑)って方はどぞ!!







【Sudden onset14】



ヘアメイクを再度整えてもらい撮影に入って5分。そのたったの5分の間にスタジオ内はシンと静まり返っていた。最初はどよめき立っていた人々も今や息を飲むだけ。その視線を一身に受けていたのはやはりというか、イェソンその人であった。


カシャリとシャッター音だけのするスタジオ内というのは余り経験が無い。それ位には何時も騒がしいメンバーも今は誰もが口を閉ざしていた。ドンヘやウニョク等はポケっと口を半開きにしてしまっている。その周囲を取り囲むようにバラけていたスタッフまでもがイェソンの姿を見ようと集まっていた。

「…オイ…マズくねぇかコレ…?」

あまりの静けさにヒチョルまでもが小声になるが、それでも周りに声が聞こえるんじゃないかと思う程に静まり返るスタジオ。

「うん……結構マズイ…かも。」

やはり小声で返すイトゥクは最早心配過ぎて今にもイェソンを此処から連れ出したい衝動に駆られていた。
今のイェソン、その姿は撮影前と何ら変わっていない。胸元が大きく開いた黒いジャケットを前で止め、セットで組まれた階段へと座ってカメラを見つめているだけ。だがその表情が違っていた。常々セルカの神とファンの間で囁かれている彼。だからどんな角度が写りがイイのかは本人が一番よく判っている。それだけに角度等を指示される率は非常に少なかった。

だが表情を指示されるとコレが途端にイェソンの色香に直結してしまうのだ。少し上へと顔を向ければすかさずカメラマンはそのまま誰かを挑発するような目線でと言い、それに違えずイェソンは言われた表情を作る。その表情一つで誰でも落としてしまえそうな顔になるのだからタチが悪い。普段のノホホンとした表情とは違う顔に周りは息を飲んでいた。

「あのカメラマン、腕がイイな。」

今一番目を引くだろう表情を確実に引き出しているのだ。それを指摘すればイトゥクの鋭い目がヒチョルを睨みつてけてくる。それに悪かったと肩を竦めるだけのヒチョルだったが、アレ?とふいに声を上げた。

「アイツ…キュヒョンの事見てねぇか?」

言われた事にイトゥクも反応する。そんなバカな。だってイェソンはカメラに目線を向けている筈だ。そう思いながらもイェソンの目線を追ってみたイトゥクは息を詰まらせた。そう、ずっとカメラを見ていたと思っていたイェソンの目線の先、そこにはヒチョルの言うようにキュヒョンの姿があったのだ。しかもカメラマンの真後ろを陣取って着替えもしないまま仁王立ちしているではないか。

「何であんな所に立ってるのアイツは…」

思わず出た声に知るかよとヒチョルが返す。イェソンへの周りの反応が気になり過ぎてキュヒョンの存在を忘れていたのがまずかった。今のイェソンのあの表情はカメラマンの腕だとかイェソンの元々の素質だとか思っていたが、実は違っていたのだと二人は深い溜息を吐く。
あの色気を発する表情はカメラの真後ろへと立つキュヒョンのせい。その存在がイェソンの表情を引き出していたのだ。

「オイオイ…アイツどんな顔でジョンウナの事見てやがんだ?」

ドンドンと妖艶さを増していくイェソンにいよいよ焦り出したヒチョルは正常だろう。現にヒチョルとイトゥク以外の全ての人間がイェソンを何だか違う目で見ている気がする。これはキュヒョンを一刻も早く外に出した方がいいだろう、そう結論付けてイトゥクが動こうとした時だった。

「じゃあイェソンさん、今度は前を肌けさせてみましょうか。」

ノリに乗ってしまったカメラマンの一言にその場の空気が色目きだった。
まさかそんな指示が飛ぶとは思っていなかったキュヒョンも眉根をピクリと動かす。こんな場所でイェソンの肌をあれ以上晒け出すなんて以ての外。キュヒョンから放たれるオーラのドス黒さに長男二人が駆け寄ろうとしたのとイェソンが前を肌けさせたのとは同時。

「………あぁ…」

晒された白い肌にイトゥクは目を覆いヒチョルは天を仰いだ。
普段から余り肌を晒さないイェソンは日に焼ける事もなく、透き通るような肌をしていた。尚且つ女性さえも羨む滑らかな肌が余計に人目を引く。

「コレでイイですか?」

階段の柵へと両肘を乗せて体をコチラへと向けたイェソンは少し顔を傾げてみせた。履いていたジーンズが少し緩かったのだろう、腰骨まで下がっている為下着が少し見えていてより一層妖艶さを増している。
均等についた筋肉が惜しげも無く晒されていて、その色香にカメラマンでさえも言葉を詰まらせてしまった。

「もっと肌けた方がイイですか?」

答えないカメラマンにイェソンが怪訝な表情を見せるがそれすらも周りからは艶のある表情にしか見えなくて。仕方なく上着に手を掛けて肩まで下ろしかけた瞬間。


「ヒョン、脱がなくてもイイそうです。」


ピシャリと言い切ったキュヒョンの声に周りが凍りついた。その声にハッとしてカメラマンもコクコクと頷いている。未だ仁王立ちのまま微動だにしないキュヒョンの声。その声が今までに聞いた事の無い冷たい響きを含んでいた事で、メンバーや周りのスタッフ全てがイェソンからキュヒョンへと目を向けた。その表情は感情すら無いんじゃないか、それ位冷たくて表情の無いモノで周りはソレに圧倒されてしまった。

「キュヒョナ…やばくないか?」

それまで黙っていたソンミンが隣で固まっていたリョウクへと囁く。それに無言のまま小さく頷いてリョウクはイェソンへと視線を戻した。そこには俯いたまま何かを堪えるイェソンの姿があり、リョウクはハッとした。キュヒョンはイェソンだけを見ている。周りさえも凍りつくような瞳でイェソンを真っ直ぐに見つめているのだ。それにイェソンが絶えられる筈などない。前に一度キュヒョンを今のような無表情に近い表情になる程怒らせた事があった。その時イェソンは大泣きをして、リョウクに泣きついた。
それを思い出してコレはマズイと血の気が引くのは至極当然の事だろう。

「ヒョンがまた泣いちゃうよ…どうしよう?」

ミニヒョン…泣きそうな顔で縋りつかれてもどうしようも無い。だって今撮影を止めたとしてもその言い訳が思い付かないのだから。まさか仕事中に泣きはしないだろうが、それでもあの冷たい瞳からイェソンを離れさせてやりたい。助けを求めようと長男二人へとソンミンが目を向けようとした時だった。
事態を一層悪くさせるような声がスタジオ内へと響き渡る。

「そうだ。キュヒョン君とイェソン君、一緒に撮ってみようか。」

それは現場監督としてスタジオにいた編集長の悪魔の囁きだった。





※ギュの切れ具合と泣きそうな兄さん。
仕事場でコレは無いだろーなんてツッコミはしないでやって下さい(笑)
しかし現実でこれだけ周りを魅了してたら今頃兄さん無事じゃ無いでしょーね…



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