続きです。
いやぁ二人の仲を進展させたくて強引に話しを持っていった感がありますが……

二人が仲良けりゃイイだろがいっ!なんて仰って下さる方はどぞ!!







【Sudden onset11】



最近ファンの反応がおかしい。
プレゼントとして送られてくる物にファンの中でいう、CPなる事に関する物は以前から贈られてきていたが、それが所謂ギュイェなるモノが大量に贈られてくる。ネットでもそういった類のモノが増えているらしい。それに歌番組でキュヒョンと目を合わせて歌った時の歓声が半端ないのだ。
何故だろうと思って過ごしていた数日。久しく謎が解けたのはとあるバラエティ番組でのMCの一言だった。

それは何かで爆笑して隣に居たキュヒョンの脚を叩きながら倒れ込んだ時だった。

「そういえばキュヒョン君とイェソン君は仲がイイの?」

突然聞かれた事にハイ?なんて驚きながら、でも収録を止める訳にはいかないとイェソンは聞かれるままに答えた。

「仲?メンバーですからイイですよ?」

至って普通の答え。なのに周りは異常な盛り上がりを見せてくるから戸惑った。何より客席の湧き上がり様が異常だ。

「じゃあ、一緒のベットで寝たりとか?」

尚も聞かれて、確かに偶に一緒に寝ているしと頷いてみる。
それに周りは余計に煽られたらしい。ワアァと上がる歓声が何だか違う響きに聞こえた。メンバーは慌てて自分を叩いたり何か囁きかけるが、周りの歓声が酷くて何を言っているのかが聞こえない。
それに被せるようにMCが言った。

「じゃあ、二人がイイ仲だって認めるんだ!?」

瞬間今までの流れがやっと判ったが、言われた事の衝撃に返事をする事さえ忘れていた。





「…ヒョン…大丈夫ですか?」

肩を引き寄せられてやっと正気に戻る。未だ収録中の番組、その中でのその行動が何を示すかなんて判りきっているのに、ソレを振り払う事が出来ないのは遠くなった意識の中でも聞こえてきた内容。

ある歌番組での収録の時。歌い終わった自分を突然抱え上げたキュヒョンに皆が驚いたのだという。アレは自分達の仲を公認させる行動だろう?と言ったMCに皆が湧き上がっていた。そのまま運ばれていった自分はキュヒョンに甘えるように腕を回したそうだ。そしてそれをキュヒョンは愛おしそうに見つめていたと。アレは演出では無く本当なんだろうと迫るMCは盛り上げる為の一つの話題を提供しただけに過ぎない。そう、全ては番組の視聴率の為だというのに。

「勿論、僕の愛する兄ですから。」

そう言ったキュヒョンは恐らくあの日、自分が倒れた事を隠す為に態といったのだという事は判った。アーティストが自分の体調をファンに悟られる事はあってはならない。それは判るけれど。

「僕達を温かく見守って下さい。」

ニッコリ笑顔で自分の肩を抱いたままそう言ったキュヒョンに目眩を覚えた。





「………何怒ってるんです?」

楽屋から少し離れた場所。普段誰も通らない非常口へと呼ばれたキュヒョンは悪びれるでもなく口を開く。確かに番組は大盛り上がりで終わった。
プロデューサー等は視聴率が上がるだろうと喜んでいた程だ。
だが自分としては寝耳に水な出来事を傍から聞いて、しかもソレを認めるような発言をキュヒョンがした事に少なからず怒っていた。

「俺達はそんな中じゃナイ……」

言ってから、何だか心臓がチクリと痛んだ。ソレの正体が判らなくて苛々する。それすら判っているのか、キュヒョンはクスリと笑んでイェソンの顔を覗き込んだ。


「自分で言って傷付くなんて、アンタ…バカですよ?」


言われた意味が判らない。傷ついてる?誰が?
見上げた瞳があの時の瞳と同じで、マズイと思った。自分を抱く時のキュヒョンの目……思ったと同時に近付いた瞳に息を飲む。

「……ほら…逃げられない。」

すぐ近くにあった使われていない楽屋へと連れ込まれて、気付いた時には唇を塞がれていた。
荒く貪られる口内に息が上がる。こんな事をする為に自分はキュヒョンを呼び出した訳じゃ無いのに。それなのにその体へと縋ってしまう自分が恨めしかった。

「そんな風に誘わないで下さい…」

此処で抱きなくなる。

熱い手が腰に回ってくるのにビクリと体が揺れた。その瞳は既に熱を持ちすぎていて、止めるには無理がありそうだ。

「あの時…お前、こうなるって…」

「判ってましたよ?」

笑って言うキュヒョンはあくまでも手を止めるつもりは無いらしい。
着ていたスーツを捲り上げられて、シャツの中へと手が侵入してくる。

あの日、高熱を出して倒れた日。キュヒョンは歌い終えた瞬間に崩れ落ちかけたイェソンの体を抱え上げた。周りに倒れた事が判らないようにと気遣ってくれた。
それは非常に有り難い。だがその後が悪かった。
本人すらも隠しきれない愛おしさを含んだ瞳は視聴者の目には酷く印象深く映ってしまったのだ。そしてイェソンもその温もりに甘えた。
自分を抱き寄せた温もりに、カメラを忘れて縋った。

記憶は無くてもその温もりの温かさは知っている。だからきっと皆が言った事は真実なのだ。それが判っているから、悔しい。


「ッア……や、めろ…」


腰を撫で回す手を止めようとして、その手を掴まれる。
そのまま見つめられた瞳に目を奪われた。

「僕は……貴方が好きですよ?」

言われた言葉が心に重くのしかかる。だって、そんなのは知らない。
フルフルと振った首にキュヒョンは優しく微笑んで、赤く柔らかい唇へとキスを落とした。そこから割って入ってくる舌を拒めない。絡んでくる舌に翻弄されて、離れた時には息が上がっていた。

「もう僕は、貴方が好きなんです…」

告げられた言葉の真摯さに、足の力が無くなる。
それが何を意味しているかなんて判りきっていた。自分だって、キュヒョンを他のメンバーとは違う目で見ている。その事には気付いていた。
だけど、まだ気持ちが追いつかない。

「っん…!」

ズボンの上から触られた熱が既に熱くなっている。それさえも認めたくなくて、イェソンは瞳から涙を零した。
それを拭ってくれるのは、もう慣れすぎた優しい唇。

「まだ、貴方は僕に追いつかない…」

それでも構わないと侵入してくる手が性急に熱を上げていく。
それが苦しくて、目の前の瞳を見つめた。

「ァ……俺が、す、き………?」

聞いた言葉にその瞳が柔らかく細められた。

「好きですよ…凄く。」

信じられない。何時からなんて、その言葉さえ告げられないまま上げられた熱を吐き出した。




「……泣かないで下さい…」


いつの間にかソファへと寝かせられた身体を包むのは、心地良い温もり。
吐き出した熱でグッタリとした身体を労わって、優しく撫でてくる手が酷く落ち着いた。

「甘えてくる貴方が、好きです。」

縋って掴んだ胸元を見つめながら言われた。

「そうやって泣く貴方も、好きなんですよ…?」

止まらない涙を拭われて、また涙が溢れる。

「僕は貴方の全てを愛する自信がある。」


告げられた言葉の強さに、泣いた。
だって、自分は自分を嫌いで、好きになってくれる相手なんて居ないと思っていた。甘えさせてくれようとする相手を柔く拒絶して、甘えないようにと努力していたのに。目の前の強い瞳はそれすらも許してはくれなくて。
自分に甘えて来いと強く主張してくるのだ。
それが心に苦しさと安らぎを同時に与えてくるから、涙が止まらない。


「…ユックリ追いついてくれれば、いいんです。」


泣き続ける瞳にまたキスをされた。

「貴方は貴方の時間で追いつけばいい。」

ちゃんと気持ちは判っているから。段々と好きになってきているその気持ちが判るからと言われた。



「僕を本当に好きだと思えるまで、言葉は要りませんから…」



だから苦しむなと、そう告げられて。今度こそ肩を震わせて泣いた。
抱き締めてくる腕に縋って声を上げる。
こんな風に自分を受け入れようとする腕がやっぱり嫌いだ。


「お前、なんて…っ…きらっ」

「嫌いでも、イイですよ。」


僕は好きですから。

告げられた言葉に、何時までも涙が止まらなかった。







※とうとう兄さんに告白しちゃったギュ。
嫌いだって言えば言うほど兄さんのギュに対する気持ちが大きくなってるって感じに見えますねぇ…

兄さんの可愛い拒絶が大好物なんです。



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