続きです。
まだくっついてもイナイのに何故かペタペタしてる二人が居るのは気のせいでしょーか…
そんな私の耳元では兄さんとギュの歌声が流れてきててムハーってなってますエエ声や…(だから何

さてさて。
お前ら早く付き合っちゃえよ焦れったい!とか思うけど気長に読みながら待ってやるさっていう広い心の方はどぞっ!!






【Sudden onset7】



出番を控えて待つ室内。ガヤガヤと煩いのは日常茶飯事で慣れてしまっていた。だけど今日は少しそれが鼻につく。
イェソンは自分の体に違和感を覚えていた。朝起きた時から感じていた怠さ。だがそれに気付かないフリをした。フリをしていれば大丈夫だろう、そう思っていたのに。移動の車内で喉に違和感が出始めて、スタジオ入りした時にはもう痛みが本格化していた。

(……完璧に風邪…だな……)

椅子に座ったまま下を向く。俯いていれば誰からも声を掛けられらる事が無いからだ。朝よりも重みを増した体はきっと熱を訴えている。
今日の収録が一本のみという事だけが救いだろうと熱で痛み始めた頭を軽く振った時だった。

「ヒョン!お菓子だよお菓子っ!!」

やはりというか、完璧に場の空気を読めない弟の声が後ろから聞こえてくる。恐らく自分へと掛られた声に、だがイェソンは態と反応を示さなかった。このまま寝ていると勘違いしてくれれば有り難い。でもそうはさせてくれないのがこの弟なのだ。

「ヒョン~、イェソンヒョンてばっ!!」

「………ドンヘ…菓子なら要らないから…」

だから黙ってくれとは言えないが、振り向かないまま背中だけで不機嫌オーラを出してやる。だがそこはやはりドンヘだ。何で~?なんて聞いてくる辺りアホの子と言われる所以だろう。
しかし冷たく足らわれる事できっと傷ついてしまうだろう弟に、イェソンは浅く息を吐いてから顔だけをドンヘに向けた。

「それはお前にやるから、食べていい。」

そのまま重い体を椅子から上げて、イェソンは控え室から出ていこうとする。それにイトゥクが追いかけるように声をかけた。

「後1時間で出番だからね?」

それまでには戻って来いと言っているのだろう。返事の代わりに手だけを上げて控え室を後にした。


(あー……大分マズイな……)


歩くと頭がクラクラする。まだ誰にも気付かれていない事が奇跡に近いんじゃなかろうか?そんな事を思いながら歩いていたら、突然視界が揺らいだ。マズイ、思った時には遅くて。グラリと歪んだ視界がユックリと横になっていく。自分の体が倒れていく事に気付いて、このままじゃ床とご対面だなぁなんて身構えた時だった。

「…っ……何してんですか、アンタ……」

聞こえた声と、痛いはずの体が宙に浮いたままだという事に数秒遅れて気が付く。歪んでいた視界が久しく元に戻ったのと同時に見えた顔に、イェソンは少し驚いた。

「……何してんの…お前?」

思ったよりも掠れた声に自分で驚いて、思わず喉を押さえる。

「倒れそうになった貴方を支えてるんですけど?」

ヤレヤレと溜息を吐かれて、やっと自分の格好に気付いた。
倒れかけた体を支えてくれている腕。それに全体重をかけてしまっている事に気付いて慌てて体を離そうとしたのに。それを柔く阻止さらてしまう。

「こんなに高い熱が出てるのに、何フラフラしてるんですか…」

額にひんやりとした手が当てられて、その気持ち良さに思わず目を瞑りそうになって。そこで何でキュヒョンが居るのかとやっと働かない脳が辿り着いた。ソロりと目線で訴えれば何を聞きたいのか判ってくれたらしい。

「具合が悪いのは知ってましたから。」

熱があるだろう体で何処に行くのかと気になったのだと。危ないから付いてきたんだと当たり前のように言われて、気付かれていた事にイェソンは驚いた。だって他のメンバーは誰一人気付いていなかった。同室のリョウクでさえ気付かないのにキュヒョンが気付いただなんて俄には信じ難い。
だが現に今自分の体を支えてくれているのはキュヒョン自身だ。

「取り敢えずココで抱き合ってるのも何ですし、移動しましょう。」

サラリと言われた事に熱ではなく目眩を覚えた。
確かにここは出演者達が出番を待つ楽屋が並んでいる。弟に支えられている所を見られるのは情けないというか、何となく恥ずかしい。だが既に一人で歩くのはかなりしんどい。腰を抱かれて支えられている場面を誰にも見られないようにと祈りながら、促されるままイェソンはキュヒョンへと寄り掛かった。




「……勝手に入って平気なのか…?」

喉の痛みを感じながら、それでも気になる事を口にする。使われていなそうな楽屋。そこに勝手に入ってしまってはマズイんじゃないか。それを心配すれば、使ってないんだから平気でしょ?なんて当たり前のように言うから。コイツは俺様な長男と気が合いそうだなんて頭の片隅で思いつつ、固いソファへと腰を下ろした。

「大丈夫ですか?」

耳元で聞こえる声は低く落ち着いている。それが今の体には心地よく感じて、その肩へと頭を凭れかけた。

「んー……ちょっと、キツイ…」

もう熱が出ている事はバレている。隠したって仕方の無い事に正直に答えた。すると額へとまた冷たい手が当てられる。その気持ち良さに今度こそ瞳を閉じた。

「…薬、飲めます?」

優しく問かけられて、瞳を閉じたまま緩く頭を振った。だって今飲んだら眠くなってしまうかもしれない。今飲んでも熱が直ぐ下がる訳でも無いし、だったら仕事が終わってからにしたかった。だがソレにキュヒョンは難色を示して腰に回っていた腕に引き寄せられる。

「今飲まないと、歌えませんよ?」

薄く開いた瞳には真剣な色素の薄い瞳が移り込む。
こんなにコイツはお節介だったろうか?というか何で薬を持っているのかも不思議だ。そんなどーでもイイ事を思っていたら、冷たい手が額から離れていった。

「…や……離れないで……」

思った事が口から飛び出して、言った本人が驚く。だけど冷たい手の気持ち良さが引いていく事の方が今は嫌だった。
それに僅かに笑う気配を感じて、薄く開いた瞳のまま自分を覗き込む顔を睨んでみる。そうすると今度は困ったように笑われて。

「薬飲んだら、戻しますよ…」

そのまま錠剤の薬を唇にチョイと触れられて、それにまた柔く首を振った。

「や……飲まない。」

固くなに拒絶するイェソンにキュヒョンは一つ溜息を吐いて、熱で赤みを増した唇へと指を差し入れた。突然の行動に驚いて口を開いた瞬間、目の前が真っ暗になる。次に気付いた時にはキュヒョンの唇に自分の唇が塞がれていた。そのまま流れ込んできたのは冷たい水。仰け反らせた喉に流れてきた水と薬をそのまま飲み込んで、それを確認したキュヒョンはチュッと音を立てて唇を離した。


「っ……何すんだ…お前…」

未だ息の掛かる距離に心臓が煩く鳴るのを感じて、イェソンは思わず自分の胸を押さえた。その手に冷たい手が重ねられる。

「我が儘な貴方が悪いんですよ…」

酷く優しい瞳で見つめられて、その瞳から目が離せなくなった。
この瞳に見つめられると自分は何も考えられなくなるのだ。思考が停止して、言われた事に従順になってしまう。
だから、この瞳は苦手なんだ。

「出番までまだ少し時間があります。」

それまで目だけでも閉じていて下さい。

告げられて、また優しくキスをされた。
それが気持ちイイと思う自分はきっと熱で頭がおかしくなっているんだ。そう自分に言い訳をしながら、イェソンは言われるままに瞳を閉じる。
そうすると暖かい体が自分を引き寄せて抱き締めてくれた。

「……寝たら、お前のせいだ……」

心地良い体温が今にも眠気を呼びそうで、まどろみかけた意識のまま言ってやればクスリと笑われた。



「その時は、貴方の大好きなキスで起こしてあげますよ…」



とんでもない事を言う相手に、恥ずかしさのままイェソンはその胸へと顔を埋めた。






※え…なんかラブってませんかコイツらっ!?
てか自分兄さんに熱出させるの好きだなぁと改めて気付く。



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