続きです。書き始めは1話1話が短めな私。なのに続くにつれて長くなるのは何故なのかと若干気になりつつ。

ポヤヤン兄さんの甘えたが既に出始めてます(汗)

そんな兄さんバチカモーン!なんて勇者な方はどぞ!!






【Sudden onset2】



「ちょっと借りたい物があるんだけど…って…あれ?」

イトゥクの声にキュヒョンは観ていたテレビから目を離した。



「何で服着てるの?」

当然の疑問というように口にしたイトゥクに、キッチンからヒョッコリと顔を出したリョウクが二人の元へと近付いてきた。

「ヒョンどうかした?」

イトゥクが11階に来るのは珍しい。実は現場で過ごす以外は互いの階を行き来する事は余り無い。それ位には用を現場で済ませてしまう程一緒に居る時間が長いから。
リョウクの言葉に鍋を貸して欲しいのだと言いながら、それでもやはり気になるのはキュヒョンの姿で。偶に此処に来る時は必ずと言っていい程服を着ていない彼。それが寒くも無いのに服を着ているのだからイトゥクが疑問に思うのも無理は無い。。

「どんな心境の変化?」

首を捻るイトゥクに二人は顔を見合わせて空笑いをしてしまう。それはほんの数日前。そう、イェソンの行動に起因していた。
キュヒョンの傷跡を見て触ってもイイかと突然言ったイェソン。答えを待たないままペタペタと傷跡を触りだして、固まってしまったキュヒョンをリョウクが発見したのは触り出してから5分は経っていただろうか。その間延々と傷跡を触っていたイェソンは、その触り心地がいたく気に入ってしまったらしいのだ。
それからというもの、キュヒョンを見つけると先ず傷跡を触るという行動を繰り返していた。そんな事をされたら流石のキュヒョンもいい加減我慢の限界を迎えてしまうというもの。

対策にと嫌々服を着始めた、という事だった。


「…また変な行動を……」


イェソンは昔から誰もが予測出来ないような行動に出る事がある。前はその度に理由を聞いたりしていたが、それが結構な率を占めている為今では皆イェソンの好きにさせている。

「まぁ、イェソンはただ触りたいだけなんだろうけど…」

触られる方はたまったもんじゃないだろう。現にこの話をしているだけでキュヒョンの機嫌は降下していた。

「あれ…ヒョン?」

噂をすれば、件の問題児イェソンがヒョコリと顔を出してキョトン顔でイトゥクを見つめていた。手にはタオルと着替えを持っていて、これから風呂に入ろうとしていたのだろう。トテトテと近寄ってきたイェソンにイトゥクはチョイチョイと手招きをした。それにコトリと頭を傾げて、でも何故か嬉しそうな顔で歩く姿にキュヒョンはやっぱり小動物だと思った。

「イェソン、キュヒョナの傷跡を触るんだって?」

単刀直入な言葉にキュヒョンは何となく居心地の悪さを覚える。触られるのが嫌だと言ったらイェソンがどんな反応を起こすか。ショックを受けたりしたら、少し可哀想な気がする。だから何も言わずに服を着ているというのに、それを最も簡単にイトゥクは言ってしまったのだ。どんな反応をするのかとハラハラ見ていたら、意外にもイェソンはあっけらかんと認めた。

「触ってるけど…ダメだった?」

またコトリと首を傾げて、何かイケナイ事をしたのかと逆に質問をしてくる始末。それにイトゥクは若干目眩を覚えた。

「人の体を無闇やたらと触るもんじゃないの。」

メッ。まるで子供を叱るようなソレにイェソンの頬が膨らんだ。
何でダメなのかがまるで判っていないらしい。
プックリ膨らんでしまった頬に溜息を吐いて、イトゥクはその頬をツンツン突いた。

「そんな可愛い顔したってダメなモンはダメなの。」

何処が可愛いのだろうか?というかアラサー男が頬を膨らますなんて人間的にどうなんだとキュヒョンは思うが、自分以外はソレを違和感無く受け入れているのだから突っ込める筈も無く。と黙って突かれていたイェソンがとんでもない事を口にした。


「だって、アレ…好きだったのに……」


好き?何を?とはイェソン以外の三人の心の声。ポカンとする三人を尻目に尚もイェソンは言う。

「アレ、ツルツルしてて気持ちイイ。」

触り心地を嬉しそうに言う姿は何だか子供のようだ。
とは言っても内容が内容なだけにイトゥクは何とも言えない表情でイェソンを見つめた。言われた当の本人、キュヒョンは最早何も言う気さえ起きなくなっている。傷跡の触り心地がイイだなんて誰が言うだろう?
それも何ら違和感無く、嬉しそうにイトゥクに訴えている様に頭痛さえ覚えてくる。
この未知なる生物をどうしてやろうか、そんな風に思い始めていたキュヒョンへと、突然イェソンは目を向けジーっと見つめてきた。それに若干身を引きながら見返すキュヒョンへとポツリ。


「もう、触っちゃ…ダメ?」


純粋無垢とういに相応しいだろう瞳で見つめられて。
その瞳にキュヒョンは思わず息を飲む。

「たまにでも…ダメ?」

コトリと首を傾げて。そんな風に問われたら、思わず言ってしまうじゃないか。

「……たまに、なら…」

そんな返事に驚く二人を他所に、嬉しそうに柔らかく微笑んだイェソンが可愛く見えてしまって。その事の方がよっぽどキュヒョンには衝撃的な出来事となった。






※兄さんの笑顔を可愛いと思っちゃったギュの衝撃度(笑)



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