続きです。
コレを限定にしようと編集してたんですが、読み返したら目茶苦茶長い文章だったんで分ける事にしまして。
なので限定は次からになります。(多分限定が続くんで

少しイチャってる二人いますがOKカモーン!って方はどぞ!!





【優しさの向こう3】



コンコン…遠慮がちに扉をノックするが返事は無い。先程イトゥクが寝ているかもしれないと言って出ていったが…
確かにヒチョルと話していた時間が長かったし時間も時間だ。とはいっても飛び出してきた手前、戻るのもどうかと思う。
「イェソンの事、頼んだね?」そうイトゥクにも言われた。
早くなる鼓動を鎮める為に一つ深呼吸をして、キュヒョンはイェソンが居るだろう部屋の扉を開けた。

「………ヒョン?」

小さく声を掛けてみるがやはり返事はない。
部屋はスタンドライトだけで照らされている為、全体が仄かに明るいだけ。だが、ライトが置かれた横にあるベット。そこは明らかに誰かがいます。そんな膨らみがあって。

(見つけた……)

目標物へと歩みを進めようとして、足元に大きい塊があった為キュヒョンは思わずソレを踏んずけかけて、飛び越えた。
ドスンっとまではいかないが結構デカイ音を立てた事に慌てる。だが布団の膨らみが微動だにしなかったので起きてはいないようだ。
その事にホッとしつつ、足元を見遣れば。

「……またお前か…」

イェソンの愛亀であるタンコマ。その愛亀が悠々と部屋を散歩していたらしい。確か前にヒチョルが蹴って殺しかけたと聞いた事がある。その時のイェソンは手の付けられない程お怒りだったとか。
踏まなくて良かったと胸を撫で下ろしつつ、前にも邪魔をされた記憶から、コイツは態と自分に向かって来てるんじゃ?なんて思う。
だから自分の足元で止まったままのその甲羅を軽く撫でてやった。

「お前のご主人様は泣かせないから…」

全くの嘘だろうその台詞を口にして甲羅を撫でてやれば、タンコマは満足したのか散歩を再開してくれる。
フゥと一息ついて、キュヒョンは今度こそイェソンの眠るベットへと足を進めた。何だか変に膨らむソレに疑問を覚えつつ、起きないようにソッと布団を捲り上げる。

(………何て寝方してんだこの人…)

中から現れたのは、求めていた人物。だったのだが…
イェソンは枕を抱え、体を折り曲げたまま四つん這いに近い状態で寝ていた。息は出来ているのだろうかと心配になったが、規則正しい呼吸音が聞こえてきてホッとする。そういえば、と昔何処かで聞いた事を思い出した。
淋しがりの人は身体を丸めて、枕等を抱えて眠るらしい。
にしたってコレは少し違う気がするが……

そんな事を考えていたキュヒョンは、だからイェソンの体が突然傾いた事に対応出来なかった。そのまま体は横向きに倒れ、振動でベットが揺れる。

「ちょっ!大丈夫ですか!?」

慌てて顔を覗き込んだキュヒョンの耳には又規則正しい呼吸音。
倒れ込んでもまだ寝ているとは……

「……凄い睡眠欲…」

ポソリと呟いて、キュヒョンはベットへと腰掛ける。枕をギュウッと抱き締めたイェソンは何とも子供っぽい。小作りな体が丸まっているせいで余計に小さく見える。スゥスゥと息をする唇に目をやって、気付いた。

(泣いてた…のかな………)

いやに赤い下唇。そのまま頬に目をやれば、擦ったのだろう目元が赤い。
彼は泣くときに下唇を噛んで泣き声を堪える。これだけ赤いのだから相当泣いたのだろう、自分のせいで……
申し訳ない気持ちでその頬を優しく撫でてやれば、ピクリと反応した。
それでも未だ起きない体は寒さからか一瞬震えたようで。
キュヒョンは慌てて捲ったままの布団をイェソンの身体へと掛けてやった。

にしても、このまま彼の顔を眺めているだけというのは如何なものか。
ウーンと少し悩んでから、キュヒョンは空いたスペースへと身体を滑りこませる。少し狭さを感じて、目の前で丸まる身体へと手を伸ばした。
イェソンの身体を抱き締めるように寝転んだキュヒョンは、その身体の温かさに少し微笑んだ。普段から体温の低いイェソン。
その身体が温かいと感じるのは、こうして抱きしめている時位だ。

回した腕で、イェソンの背中をあやすように撫でてみる。その行為のせいなのか、イェソンは少し身体を伸ばしてキュヒョンへと擦り寄ってきた。

「……淋しかったんですか?」

寝ている相手からの返事はない。だが、代わりにというようにイェソンの額がキュヒョンの首筋へと寄せられる。そのままスリスリと額を擦りつけてくるから、その擽ったさに口元が綻んだ。
無意識にする行動程可愛いものはない。普段は恥しがって余り擦り寄って来ないだけに、その行動が余計に嬉しい。

そのまま体を組めて頬にキスをしてやると、眉間に寄っていた皺が緩やかになった。髪を撫でてやって、背中をポンポンと撫でれば余計に擦り寄ってくるから、起きてるのかと錯覚しそうになる。
しかし彼の瞳は固く閉ざされたまま。

「………襲っちゃいますよ?」

そのあまりの無防備さに、元々我慢していた身体が疼きだした。
寝ている相手に手を出すなんて犯罪者みたいだ。そう思うが、だって仕方がない。好きなのだから………

背中を摩っていた手をイェソンの顎へと持っていき、顔を上げさせる。
そのまま軽く唇へとキスを落としてみると、誘うようにソッと唇が開かれた。その間から見える舌が妙に色っぽい。
それに誘われるように、今度は深いキスを仕掛けた。
滑り込ませた舌で動かない舌を舐め上げてみればピクリと反応を示す。
そのまま絡め取ると、鈍いながらも舌が逃げようとした。

(条件反射……かな)

薄く瞳を開けてみてもイェソンの瞳は閉じられたままだ。恐らくは身体が反応しているだけなのだろう。だがそれさえもキュヒョンからすれば、煽られる要素でしかない。
逃げようとした舌を捕らえて、強く吸い上げる。そのままより深くなる唇に、イェソンの身体が身動ぎ始めた。

「………っふ……ん……」

鼻から抜ける声がキュヒョンの耳を擽る。息苦しさから逃げようとする身体を引き寄せて、頭の下へと腕を滑りこませた。
縦横無尽に動き回る舌が、段々とイェソンの意識を浮上させ始めて。
どちらともなく流れる唾液でイェソンの顎が濡れる。

「ぁ……んん……っ」

先程とは違うイェソンの声。それにまた瞳を開ければ、目の前の瞳が薄らと開いたのが見えた。それに目を細めて、キュヒョンは仕上げとばかりに唇を吸い上げて音を立てながら久しく離れた。


「ンァ………」


その行動に首筋を反らせて、荒い息を吐きつつ目の前の男を見つめる瞳。
だがその瞳は未だ微睡みに近い。濡れた顎を指で拭ってやって、赤く熟れた唇にもう一度音を立ててキスを落としてみる。
それにまた少し覚醒されたイェソンの身体が反応した。

「………な、んで……?」

寝起きで掠れた声が艶を帯びる。抱きしめたままの枕を握り締めていた手が、キュヒョンの頬をソッと撫でた。

「………ゆめ……?」

何となく舌っ足らずになってしまうのは、まだ覚醒しきっていないから。
それなのに、それすらも可愛いと思うキュヒョンは重症だと自分に笑う。
黙ってイェソンの好きなように顔を触らせてやって。
ピタリと止まった手にオヤ?と思った時には又イェソンの瞳が閉じかけていたから、慌ててしまった。


「コラコラコラ。また寝る気ですか?」


額に掛かる前髪を掻きあげて、額にキスを与えてみる。そうすると又少し瞳が開くから、今度は鼻の頭にキスを落として。
「寝てても、襲いますけどね?」

そうとんでもない事を優しく囁いて、また赤い唇を塞ぎにかかった。
そのまま閉じていた唇をこじ開けて舌を滑り込ませば、まだ鈍い舌が逃げようと反応を示す。
それを強引に絡めとって、態と唾液を流し込む。それをイェソンの喉が飲み込む音が静かな室内に響いた。
その行為にやっと完全に覚醒したイェソンが首を左右に振ってくる。
イヤイヤと振られる顔を押さえつけて、執拗に舌を絡ませてやると、段々と抵抗が無くなり応えるように舌が絡みついて。

湿った音が二人の耳を犯していく。枕を握り締めていた手は、キュヒョンの服を縋るように掴んでいた。


「ンンッ……は…あ………」


やっと離れた唇。酸素を求めて荒くなる呼吸に、キュヒョンは髪を撫でながら落ち着くのをジッと待った。

「……寝てる相手に…何してんだよ…」

プゥと頬を膨らませながらイェソンはキュヒョンを睨みつける。だけどその瞳の潤み具合で迫力は半減していた。そんなイェソンの瞳にキスを落としてキュヒョンは言う。

「だって…我慢の限界超えちゃったんですもん、貴方のせいで。」

それに「はぁ?」なんて呟いて、何バカ言ってんだなんて言いながらも目元の赤みから照れを隠しているのは明白。だから可愛すぎるでしょとは口には出さずに。
ところで、と話しを切り替える。

「ソレ、そろそろ外してもらえません?」

ソレ、とはイェソンが寝ていた時から抱き締めていた枕。
その枕が二人の間に挟まっていて、イェソンの体を抱き締める邪魔をしているのだ。それなのに何で?なんて首を傾げるのだから天然もいい加減にして欲しいとキュヒョンは頭を抱えたくなった。

「それがあったら、貴方を抱けないでしょ?」

態とらしく吐かれた溜息などイェソンの耳には入っていない。その前の台詞で耳まで真っ赤になる程動揺しているのだから。
だってここ一ヶ月、キュヒョンはイェソンに触れる事すら余りしなかった。それなのに突然抱くだなんて言われて、動揺しない訳がない。


「な…に言ってんの、お前…?」


イェソンの動揺にクスリと笑みを浮かべながら、何って?ととぼけてみせる。そのまま腰へと手を伸ばして、ユックリと撫で上げた。

「っ!?」

思わず声が出そうになってイェソンはそれにまた慌てる。

「だから、貴方を抱きたいんです。」

今度は真摯な眼差しで。そう言ってまた腰を撫で上げてくるから、今度こそイェソンは声を上げてしまった。


「ねぇ…駄目ですか……?」


少し甘えたような声色。何で突然こんな事を言い出すんだろう…
だって、さっき誘った時……

「……だって…ずっと俺を……避けてた癖に……」

言って、涙が出そうになった。この部屋に来てから散々泣いたのに、本人を目の前にして言った自分の言葉。それに悲しさが蘇ってきたから。
それを悟ったのだろう。キュヒョンはソッとイェソンの目元へと指を滑らせてくる。そのままユックリとそこを撫でられるから、その優しい刺激に涙が流れ落ちた。


「……苦しませて…すみませんでした」


優しい言葉と仕草にイェソンの涙は止まらない。その涙を拭ってやりながら、また謝って。

「貴方を壊してしまいそうで…手を出せなかった。」

それを聞いて、涙が零れたままの瞳が僅かに見開く。
壊れる?何が?そんな疑問がイェソンを支配しているのだろう。だけれどとキュヒョンは言うのだ。


「好きだから…愛してるから、壊したくない。」


そのまま抱き寄せられて、素直にその胸へと体を預ける。
キュヒョンの心臓の音が聞こえて、その穏やかな音に耳を澄ませて。
彼は自分を壊したくないと言った。好きだからと、愛してるからと……
だから我慢していたと言うのか。
だけど…そこまで考えて、イェソンはキュヒョンへと顔を上げた。


「……俺は…抱き締めて欲しい。」


自分の為にと我慢なんてして欲しくない。元々性欲など余り無い自分だけれど、好きな相手に求められて嫌な奴なんて、いない。
自分を壊すかもしれないと怖がる位なら…


「……壊せよ……」


「………ヒョン?なに言って…」


イェソンの言葉に戸惑いを見せる瞳が何だか酷く幼い。
好きだから臆病にもなるのだろう。だけど、愛されているならば、それを身体でだって感じたいじゃないか。


「抱き締めてもらえない位なら…俺は、壊された方がいい…。」


ハッキリと。そう断言したイェソンにキュヒョンは瞳を閉じた。
そんな事を言われたら歯止めなんて利かなくなるのに。この人は本当にどうなってもイイのだろうか…

「………泣いても喚いても…止まりませんよ?」

薄らと瞳を開けて、イェソンの額へと自分の額を寄せて。お互いの体温を感じるように二人はまた瞳を閉じる。


「俺だって男だから…覚悟は出来てる」

「酷い事も……するかもしれない」

「…お前にだったら……平気だ」

「……………わからず屋…」


言い返そうとした唇はそのまま塞がれて、身体が押し倒された。






※ココからドンドン激しくなるんで次は限定にさせて頂きます。



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