誰も信じてくれないかもしれないが、おれがトカゲを放り投げたのは他意があってのことではない。断じて、誓って!
だが、その瞬間、「うわっ!」の後に「ぎゃあああああああああああ!!!」という絶叫が響いたのだ。
誰もいないはずなのに、と思って起き上がると、さっきのトカゲがフェルゼンの顔に張り付いていた。
フェルゼンはパニックになって顔のトカゲを取ろうとしてひっくり返り、必要ないのに足をバタバタさせている。
「ひえええええええ!!!」という悲鳴がした。
叫び声を変える必要はないのにな。そのうち「うわあああああ」から「た、た、助けてくれぇぇ」に変わるんだろうか。
フェルゼンとはフランス語でしか話したことがないが、こういうとき、助けてくれ、はスウェーデン語になるのだろうか?
「ぎゃあああああああああああああああああ!!!!」
高い空の雲の上まで聞こえるだろうと思われるほどのフェルゼンの大絶叫が響き渡った。フェルゼンの顔をかすめて地面に落ちた白手袋、顔にとどまっている黒トカゲ。
