METライブビューイング2024-25 第8作「セヴィリャの理髪師」を観てきました![]()
この作品は、ロッシーニによって作曲された喜劇オペラの最高峰といわれています。
物語は「フィガロの結婚」の前日譚を描いており、題名の「セヴィリャの理髪師」とは、後にアルマヴィーヴァ伯爵の従僕となるフィガロのことです。
若き日の伯爵と、後に伯爵夫人となるロジーナとの恋愛模様が、様々な登場人物を巻き込みながら、ドタバタ喜劇として描かれている楽しい作品です。
ロジーナに一目ぼれした伯爵が彼女に求愛しようとしたところ、彼女の後見人で叔父のバルトロが、ロジーナの遺産目当てに結婚をもくろんで、彼女を家に閉じ込めていることを知ります。
伯爵は旧知のフィガロを協力者として、あの手この手で、バルトロの元からロジーナを救い出し、最後はハッピーエンドで終わるというのが大まかなストーリーです。
同じ演出版を以前にも観ましたが、舞台美術や衣装が美しく、扉やハシゴを使っての舞台転換も小気味よく、何よりも観客を笑わせる場面での演出が絶妙で、途中何度も笑わされました![]()
ロッシーニのオペラでは、旋律に細かく速い音符の連なりを使って声を転がすように歌うコロラトゥーラ技法が多く用いられており、それを歌いこなすには高い歌唱技術が要求されますが、今作の主要キャスト3人は皆、役を演じながら難解な曲を見事に歌いきっていて本当に素晴らしかったです。
ロジーナを演じたアイグル・アクメトチナ(名前が難しくてなかなか覚えられないのですが💦)は、昨シーズンのカルメン役で一躍有名になりましたが、カルメンとは全く違うコミカルで可愛らしい役を生きいきと演じていました。
まだ20代とは思えないような、高度な歌唱技術に加えて、巧みな演技力と観客を惹きつける妖艶な魅力は、早くも今を代表する歌姫の一人となったと言えるでしょう。
今作の顔であるフィガロを演じたアンドレイ・ジリカウスキは、ライブビューイング初登場で今回初めて知りましたが、ウクライナ出身のベルカント・バリトンとして世界各地の劇場で活躍しているとのこと。
よく響く美声と確かな演技力に加えて、舞台映えする容姿も備えており、今後ますますの活躍が期待されます。
そしてアルマヴィーヴァ伯爵を演じたジャック・スワンソンは、今作がMETデヴューとなる、アメリカ出身のテノール歌手ですが、この人もよく通る美声でロッシーニ歌手として評価を高めているとのことです。
見た目も若い伯爵役にぴったりで、正にはまり役だと思いました。
わくわくするような序曲で始まり、オペラアリアの中で最も有名なフィガロの歌う「私は街のなんでも屋」、伯爵が終盤に歌う大アリア「もう逆らうのはやめろ」、そしてロジーナの「今の歌声は」や伯爵とロジーナの二重唱など、美しく高揚感のある名曲が散りばめられた舞台は、観た後に幸せな気分になること間違いなしです。
今シーズンのフィナーレにふさわしい本作を、ぜひ映画館の大画面で鑑賞されてはいかがでしょうか![]()
(写真は全てMETライブビューイングのHPより拝借いたしました)





