ここのところ、物販を考えている人から連絡があって、ずっとスズメベースとその可能性について考えていました。
メールを返す時、SNSに投稿する時、私はかなり考えて書くので、自分が長い間モヤモヤしていたことが、そういう際にはっきりすることがあるんです。みんなそんなものかな~とも思うけど。
私がスズメベースを借りることにした時に商工会へ、スズメベースを始めてから税務署へ行ったんです。そこで「あなたがやろうとしていることは、商売じゃなくて趣味です。」と、二方から言われました。その時は食ってかかりそうになったけど、プロに噛みついてもいいことなさそうなので、黙って帰りました。
その二方の言っていた意味がわかったのは、2年目に入った頃だった気がします。プロからしたら場所、販売面積、販売する物などで、大体の売上がわかるものなんだ。凄いな。確かにこれは趣味の範囲なんだな~と思いました。
感覚としてはわかったけど、人に言葉で話す程はわかっていなかったのかもしれないし、わかっていたけど、いろいろな意味で言わなかったのかもしれない。でも「スズメベースはお店だよ」ではなく、「スズメベースは秘密基地だよ」と私が言ったんだから、やっぱりわかっているのかも。
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スズメベースに物販希望で来る人は、夢や希望を抱いている人が多い。私がスズメベースを借りた時のように、売るぞ!商売だ!という勢いや輝きが、大体どの人にもある。
実店舗での販売は、ネット販売の登場と繁栄、大手の流通の有利、専業主婦の減少で、かなり厳しくなったんじゃないかと思います。三鷹はベッドタウンだから、平日の日中に通りを歩く人のメインは、完全に高齢者です。
高齢者はネット販売をしないから、実店舗での販売は有利そうだけど、最近の高齢者は断捨離が主流な上に、長生きを見越して浪費をしない傾向にあります。それは商店街では有名な話です。健康や食べ物にはお金を使う人もいるけど、雑貨は無料やかなり格安でない限り、なかなか手を出さない。
そこで商店街が目をつけたのは、共稼ぎが多くなって先々もある子育て世代や、若い世代なんだけど、三鷹駅前は人気がない。頑張れば歩ける程度の場所に、吉祥寺があるからかもしれないし、自転車で動く人は、買いたいものが入手しやすいし、1箇所で済む、さらに駐輪しやすいからと、武蔵境のイトーヨーカドーに行く。
三鷹駅前は駐輪も駐車もしづらいですから、自転車中心、自動車中心な活動の人には、三鷹駅前はしんどい街です。
普段の食料品や消耗品は三鷹で買うけど、その他は三鷹駅前で買わない。希望を持っていない。特に若い人たちは。
若い人たちは気軽に動けるし、赤ちゃん連れで身動きがとりづらい時期は長くもないですから。
あえていえば、高齢者は段々と身動きがとれなくなって、行動範囲が狭まってきます。でも先程書いた通り、お財布の紐がかたい。
昔の三鷹はそこまでじゃなくて、ご贈答品は三鷹では買わない…程度だったけれど、今ではそんな状態になってる。それでもいい物ならば売れるかもしれない。(実際にはなかなか難しいけど)
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そこで勝負となると、大きな課題は販売する時間や曜日です。
今の三鷹の人たちは、忙しい人が多い。みんな時間に追われている。そしてコンビニや、長時間オープンに慣れてしまっている。さらに新型コロナの流行で、なんだかよくわからない状態になっていたり…。
一方、スズメベースで物販を考えている人が、店番を希望するのは、平日の昼間、数時間、週に1,2回。通りに1番人がいない時。需要と供給が合ってない。
販売するものが独自なものや、かなり特殊なものならば、それでも売れるかもしれない。でも大手が売ってるものと同じものならば、安いか、何か付加価値(かなりきれいにラッピングしてくれるとか、おまけが付くとか)があって、それがある程度は有名にならないと売れません。気づかれなければ人は来ないし。
そもそもお客様になり得る人が、店が開いている時に来なければ買えない・売れない訳で、来てもらうためには開いている曜日も、時間も、多い方が可能性が拡がる。それがネット販売との大きな差なんだと思います。
実際に月水金を開けていても「ここはいつも閉まってる」とよく言われたし、ちゃんと曜日通り開けていても「この前、来たけど閉まってた」と言われる。週6日開けていたって、午後から夕方までしか開けていないと、やっぱり「ここはいつも閉まってる」と言われる。
まぁ実際にはそう言われたって、買ってくれる人が買ってくれればいいんだけど、多くの人から言われるということは、統計的にそうなんだろうな~とも思うんです。お客様になり得る人からも、そう思われてると。
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物販希望者は怠惰で~ではなく、忙しいから短時間、週1,2日しか来られない訳で、でも売れると思ってるからそれでも来るんですよね。じゃあ売れなかったらどうなのか。
忙しい中を来ているし、馬鹿馬鹿しくなる人が多いです。他に販売する場所がある人は特に。
スズメベースの場合は会費ですけど、売れても売れなくても出費はある。でも売れない。仕入れた物ならばなおさらだと思うし、思いや手間がかかればそれだけ辛くなります。
暇で仕方ない人だったり、悠々自適な余裕生活の人ならば、苦にならないかもしれないけど、一般市民ならば、馬鹿馬鹿しくなっても当然だと思うんです。
そんな状態でも、スズメベースに長く関与してもらうためには、どうするのがいいか。居場所を始めて7年目、スズメベースを始めて4年目の私が考えついたのは、以下のことでした。
①みんなで協力して、店をなるべく開ける。
②多くの人にスズメベースを知ってもらう。
③気楽に物を売る。
④会費をできるだけ下げて負担を減らす。
⑤物販以外で付加価値を感じる人を集める。
これらは全部やらなきゃダメということでもない。ただ、今回は私にとって、そしてスズメベースにとって、背水の陣で動いている状態なので、この要素をなるべく盛り込もうと思いました。
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まだ実際に始まってはいないけど、今のところこんな感じです。
①みんなで協力して、店をなるべく開ける。
これは暗礁に乗り上げています。なるべく開けることは、不十分とはいえ、今よりは開く頻度は増えます。まだメンバーが少ないので、それはそんなものだと思います。
予想外だったのは、物販希望の人が毎回商品を持ち帰ることを希望する人が多かったこと。他の人の物は売りたくない、売ってもらいたくない人が多かったこと…です。
みんなの秘密基地、みんなでシェアする場としては、場所だけになってしまいました。物販の人が来ない日は、空っぽの棚が並ぶことになります。う~ん微妙。まぁ違ったアピールができなくもないけど…。
シェアが場所だけならば、レンタルスペースやレンタルボックスの方が集客もしやすそうだし、スズメベースでやる意味がないんじゃないかと思います。
②多くの人にスズメベースを知ってもらう。
メンバーのやりたいことが、物販や対人サービス、イベント開催の場合、多くの人にスズメベースを知ってもらえれば、集客ができる率が上がります。
メンバーが増えたこと、メンバー募集自体をSNSでしたことで、今までよりはネット拡散は、広まる感じがしています。
③気楽に物を売る。
これが微妙なんですね…。気楽にやらないと、馬鹿馬鹿しくなること、馬鹿馬鹿しくなることが早いことは、先程書きました。現在のメンバーは、気楽にやろうとしている人が多いです。
ただ見学希望者の大半は、私からすると商売したいタイプの人で、なんで見学に来たのかな?スズメベースのこと、ネットで見てないのかな?と思うことが多いです。
④会費をできるだけ下げて負担を減らす。
今回下げました。Booksメンバーは、今までで1番安い1,000円で、とりあえず定員を20名にしました。他の設定に関しても、つるかめ算じゃないですが、目標月額に到達した時点で募集は締め切って、メンバーで有意義に使う予定です。
⑤物販以外で付加価値を感じる人を集める。
この⑤と③④が長く続く秘訣かな~と考えています。そもそもスズメベースはみんなの秘密基地だ!趣味の場だ!といっているのは、そんなところからです。(その表現が伝わりづらいのかもしれませんが)
スズメベースは本と居場所のために借りた場所なので、本や居場所、人との繋がりを必要とする人には楽しい場所です。そこに物販に向いてるスペースがあるので、なんならば売れますよ~という方が正しい表現なのかもしれません。(これには昨晩気づきました)
私はスズメベースを商売でやっている訳じゃないし、④を実行するために、余剰とかを全く出す予定がない分、誰かがやめてしまえば、首が回らなくなります。本当に厳しい状態なんです。
だからすぐにやめて欲しくはない。
物販希望のメンバーは会費が高いので、1人でもやめれば大変です。でもそもそもメンバーになる人がいなければ、スズメベースはやっていけない。
物販希望の見学者には、毎回どこまで話すか悩みます。夢と希望に溢れている人に、わざわざ水を差すことを私がしていいのか、難しいところだし、人によって思いや感覚は違うのでね。
見学時に精一杯しみったれたところは見せるようにしているので、大半の人はメンバーになりません。でも騙すことはしたくないし、やっぱりやめて欲しくないんです。
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ゴーゴーリフレさんはやはり別格なのかな~とも、最近思っています。
ゴーゴーリフレさんはこの4月に名称変更しましたが、元々はよだかの森という名前で、スズメベースを借りて設えるところから、一緒に作業した人です。そりゃ~スズメベースに対して愛着はありますよね。
この3年半ちょっとの間で、黒字だったことは数える程しかないようです。一時は他でのパート勤務をやめて、スズメベースでのリフレを本業と考えていましたが、結局この春からはパート勤務に戻り、スズメベースでのリフレは、趣味のようなものとしました。
スズメベースを使う頻度は減ったけれど、以前のままの会費を払ってくれています。スズメベースを存続させるために。
他の旧会員さんたちも、会費の額は違っても、やっぱり同じ気持ちなんだと思います。
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ゴーゴーリフレさんのような人が出てきたら~と思っていました。そしたらゴーゴーリフレさんも私も、他の人と変わらない程度の会費にできるんじゃないかと考えていたし、需要と供給は合うんじゃないかと思っていたので。
でもなかなかいないというか、すぐには出てこないものですね。現時点で新規メンバーが3人入ってくれただけでも、良しとすべきなんでしょうね。
でもそれでは、最安の会費を以前の3分の1にしてしまったことの取り返しがつかなそう…。もう私の余力があまりないので。
いっそのこと、物販できますと書かなければいいのかな~と思ったりもしたけれど、のんきに売りたい人もいるし、共にスズメベースの多くを利用して、柱になる人が欲しいという気持ちは強いし、やっぱり書きようかな…と、今は思っています。
物販はできるのは事実で、もしかしたら売れまくるかもしれない。でもそれはユニークなものじゃないと無理かな?と思っています。ま、それもやってみなきゃわからないけど。
伝えることも、仲間探しも、本当に難しい。
「シェアスペース」というと、商売でやっているのと間違われる。「シェアする本棚すずめDEN」という名称にしていたこともあります。意味としてはぴったりかな~と思っていたけれど、DENの意味がわからない人が多かった。
そんな中で原っぱとかにある訳じゃないけど「秘密基地」という表現は、今のところしっくりくるように感じています。
「本棚がある秘密基地」
みんなで本や本棚を楽しみ、メンバー同士の繋がりを楽しみつつ、人によってはのんびり過ごす場所として、人によってはリフレをやり、人によっては読書会などの集まりをして、人によっては物を売る。そんな秘密基地スズメベース。
メンバーみんなで、スズメベースを楽しみたいだけなんだけどな。
