生前贈与と相続時精算課税 | 行列のできる行政書士 鈴川法務事務所 in 広島市

生前贈与と相続時精算課税


親御さんの名義になっている不動産を、生前にお子さんに贈与したいという相談を受けることがあります。



このような「生前贈与」を希望される動機はさまざまですが、一つのメリットとして、相続争いを事前に防止できるという点があります。



もし生前贈与せずに親御さんが亡くなり、相続が発生したとすると、親御さんの財産の帰属をめぐって相続人間で紛争が生じる可能性があります。



そこで、介護などで世話になったお子さんに、生前に贈与して名義を移しておくということが行われるのです。



ただし、生前贈与をする際に、気をつけなければいけないのは、「贈与税」です。



他人に財産を贈与すれば、贈与税がかかりますが、これは親子間の贈与であっても同様です。



しかも、贈与税の税率は非常に高く、最大50%にもなります。



なぜ贈与税の税率がこんなに高いのかというと、相続税のがれを防止するためです。



つまり、贈与税が低ければ、相続税を支払いたくない人は全ての財産を子供に生前贈与し、相続税の負担を免れることができてしまうことになります。



それでは国家の財政は成り立たないため、贈与税をしっかり徴収することにしているのです。



ここで注目されるのが、「相続時精算課税」という制度です。



この制度を使うと、2,500万円までの贈与であれば、贈与税はかかりません。



ただし、贈与者が亡くなったときには、遺産にその贈与を受けた財産を加えて相続税を計算することになります。



結局は相続税は払うことになるので、相続税対策にはならないのですが、贈与時に贈与税を支払わなくてよいというのは大きなメリットですね。



相続時精算課税を利用するためには、さまざまな要件を満たす必要があり、またデメリットもありますので、事前に専門家に相談されることをお勧めします。