高齢者の財産管理と任意後見契約 | 行列のできる行政書士 鈴川法務事務所 in 広島市

高齢者の財産管理と任意後見契約


現在ご依頼いただいている業務の一つに、高齢者の財産管理の案件があります。



その方は、初めは自分に万一のことがあったときのために、遺言書を作成したいというご相談でした。



しかし、よくお話を伺ってみると、お一人暮らしをされているので、


①たとえば事故や急病で動けなくなったときに入院の手続もできないし、


②将来判断能力が不十分になったときの財産管理も心配で、


③さらに亡くなった後の葬儀、埋葬などの手続も不安ということでした。



これらには、それぞれ法律的な対策が可能です。



①については、財産管理委任契約


任意後見は判断能力が低下してからでないと効力を生じませんので、その前に何らかの財産管理を依頼したいなら、委任契約という形で対応することになります。


委任契約の内容は、もちろん個々のご要望に応じて柔軟に取り決めをすることができます。


今回のケースであれば、万が一のときに対応できるよう、必要な額を入金した通帳をお預かりしておく方法などが考えられます。



②については、任意後見契約


将来判断能力が不十分になったときに、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、事前に契約で定めておいた任意後見受任者が任意後見人に就任してご本人様の財産を管理していくというものです。


任意後見人の権限も、契約によって自由に定めることができますが、ご本人様の判断能力が不十分となってから就任するわけですから、ご本人様の財産を守るため、財産管理に関する広範な権限を有することとするのが一般的です。



③については、死後事務委任契約


通常の委任契約は、ご本人様の死亡によって終了しますが、これは例外的に死亡によっても終了しない契約となります。



これらは、どれも契約書を公正証書にしますので、作成するのに時間も手間も費用もかかります。



また、委任契約にしても任意後見にしても、それぞれ報酬が発生しますので、それに見合うメリットがあるのかどうかを十分に検討する必要があります。



今回のケースでは、一人暮らしで頼る親族もいないとのことですので、上記全てをご依頼いただくことになりました。



大切な財産を赤の他人に預けるわけですから、信頼関係がないと成り立ちません。



私のことを信頼していただけるのはとてもうれしいことですが、責任の重大さに身が引き締まる思いがいたします。



そして、このようにお一人で不安を感じながら暮らしておられる高齢者の方は大勢いらっしゃるはずですから、可能な限りそのような方たちのお力になりたいと考えています。