相続手続って何をするの?
相続手続というのは、建設業許可申請と並んで行政書士のメイン業務の一つです。
では、相続手続って、具体的にどんなことをするのでしょうか?
主な手続を順番に見ていきましょう。
1 相続財産の調査
まず始めに、亡くなった方(被相続人)に、どこにどれだけ財産があるのかを調べます。
不動産については、役所で名寄せ帳や固定資産税の評価証明を取ります。
そして銀行の通帳などを探して、財産の総額を把握します。
2 相続人の調査
誰が相続人になるのかを確定する作業です。ここがけっこう重要です。
被相続人(亡くなった方)が、過去に離婚していて別のところに子供がいたりする可能性もあるので、出生まで遡って戸籍を調査します。
相続人についても、被相続人との関係を明らかにするため、戸籍を取る必要があります。
相続人がたくさんいたり、本籍地が遠くて郵送で取得しなければならなかったりで、かなり時間がかかることがあります。
3 遺言の有無の確認
被相続人の方が遺言を残されていれば、基本的にはそれにそって遺産分割を進めていきます。
ただし、自筆証書遺言(ご自分で遺言を自筆した場合)だと、まずは家庭裁判所で検認という手続が必要になります。公正証書遺言であれば、この手続は不要です。
4 遺産分割協議書の作成
遺言がない場合は、相続人全員で遺産の分け方について話し合っていただき、遺産分割協議書を作成します。
相続人の話し合いがまとまらない場合は、調停になることもありますので、その場合は弁護士をご紹介することもできます。
5 相続関係説明図作成
これは、誰が相続人になるのかを図示した書類です。
私たちは雛形に入れ込んでいけば比較的簡単に作成できますが、初めての方からは、「作り方がわからない!」という声をよく聞きます。
6 不動産の移転登記
法務局に登記申請書を提出します。
登記申請は司法書士業務ですので、司法書士に委託します。
ただ、不動産や相続人の数が少なくて、複雑でないような場合には、ご自分で申請される方もいらっしゃいます。今は法務局でも登記相談コーナーがあって、親切に教えてくれますからね。
7 銀行口座の名義変更
銀行に相続届けなどを提出し、名義を変更します。
さて、こうしてみると、相続の手続ってけっこう大変ですよね。
お時間のある方であれば、本を読むなり役所で聞くなりして、自分で手続をすることもできると思いますが、なかなかそのような方は多くありません。
では行政書士に頼もうかということになるのですが、気になるのは費用ですよね。
相続手続は個々のケースによって手続が大きく異なるので、決まった金額というのは提示しにくいのです。
不動産の数や相続人の人数、その他の事情を踏まえた難易度などによっても異なりますが、上記のような手続を全て行政書士に依頼した場合、30万円~の費用がかかると思います。
なおこれは、当事務所の報酬額(司法書士に登記を依頼する費用を含む)です。
このほかに、相続税が発生するケースもありますし、不動産を登記する場合には法務局に登録免許税(評価額の0.4%)を納めなければなりません。たとえば1千万円の土地であれば、登録免許税は4万円です。
ちなみに、相続税が発生するケースというのは、意外と少ないものです。
なぜなら、「基礎控除」というものがあるからです。すなわち、「5千万円+1千万円×相続人の数」というのが基礎控除額になっていますので、この金額を超える遺産がある場合のみ、相続税が発生するのです。
ですから、遺産が6千万円以下であれば、そもそも相続税を心配する必要はありません。
仮に1億円の遺産があって、相続人が妻と子供一人という場合であれば、基礎控除は7千万円ですから、残りの3千万円について相続税がかかるということになります。
税金の計算については、複雑な事案もありますから、信頼できる税理士を紹介することもできます。
以上、ご不明な点がありましたら、お気軽にくお問い合わせ下さい。