算数には、無理に覚えなくても問題ない単元がいくつか存在します。子どもが算数に苦手意識を持たないためには、すべてを完璧に理解させるよりも、重要な単元を優先的に押さえることが大切です。今回は、小学校で学ぶ算数の中で、必ずしも無理に覚えなくてもよい単元についてご紹介します。中学受験を目指す場合は別の話ですが、一般的な学習の範囲ではそこまで神経質にならなくても良い内容です。
大きい数のしくみ(小学4年生)
小学4年生では「大きい数のしくみ」として、億や兆などの大きな数について学びますが、実はこの単元を完璧に理解しなくても大丈夫です。億や兆を使った計算は、この学年でしかほとんど扱われず、5年生以降では出てこないことが多いためです。もちろん、できるに越したことはありませんが、これができないからといって学習の進度に大きな影響はありません。
大きい数に苦手意識を持つ子どもも多く、位の読み方や漢数字の表記、計算中に0の位置がずれてしまうなどの問題に直面しやすいです。数が大きくなるほど混乱しやすくなるため、子どもが理解できる範囲で進めていくことが重要です。
ただし、次の4つのポイントはしっかり押さえておく必要があります。
- 一、十、百、千、万までの位の読み方
- 異なる位を使った加算や減算(例: 4000+200)
- ×10や×100の計算で0が増える規則
- ÷10や÷100の計算で0が減る規則
これらは中学以降の計算にも関わってくるため、算数の基礎として確実に理解しておくことが求められます。
余りが出る小数の割り算(小学5年生)
小学5年生で学ぶ「余りが出る小数の割り算」も、無理に理解する必要はありません。たとえば、2.14÷0.8のような計算で商を小数第1位まで求める内容ですが、実は中学になるとこの「余り」の概念はほぼ使わなくなり、割り切れない数は分数で表現されるようになります。
重要なのは、次の点を押さえることです。
- 割り算の筆算のやり方
- 四捨五入のルール(4以下は切り捨て、5以上は切り上げ)
- 小数点を含む数の読み方
特に四捨五入のルールは中学以降でも頻繁に出てくるため、確実に理解しておくことが必要です。
面積の単位変換(小学4年生)
小学4年生では「1アール(1a)」や「1ヘクタール(1ha)」といった面積の単位変換を学びますが、これも中学ではほとんど使われないため、覚えなくても大丈夫です。算数が苦手な子どもは単位の変換で混乱しがちなので、最低限必要な単位変換だけを押さえておけば問題ありません。
覚えておくべき基本的な内容としては、以下の点が重要です。
- 長方形の面積を求める公式「縦×横」
- 正方形の面積を求める公式「一辺×一辺」
- 長さの単位(㎝・m・㎞)と、面積の単位(㎠・㎡・㎢)
これらの違いを理解していないと、小学5年生で新たに出てくる「㎤・㎥」という単位が登場した際に混乱することがあります。これらは体積の単元で学び、「縦×横×高さ」という公式で計算します。理解を深めることで、次の学習に役立てることができます。
また、覚えておくべき基本的な単位変換も確認しておきましょう。
- 1㎝=10㎜
- 1m=100㎝
- 1㎞=1000m
- 1㎏=1000g
- 1日=24時間
- 1時間=60分
- 1分=60秒
### 番外編:円周率3.14を掛ける計算(小学5年生・6年生)
小学5年生・6年生で学ぶ「円周の長さ」や「円の面積」を求める計算では、円周率3.14を掛ける計算が登場します。たとえば「直径×3.14」や「半径×半径×3.14」といった計算が筆算で出題されますが、これも中学に進むとほとんど使われなくなります。計算ミスが起こりやすい単元なので、無理に完璧を求める必要はありません。
ただし、小数点の位置を正確に打つことだけは重要です。例えば、0.8×0.9の計算結果が「0.72」「7.2」「0.072」のどれになるかを正確に判断する能力は、今後の学習においても必要になります。
まとめ:無理して覚えなくてもいい単元
今回紹介した単元は、無理して解かなくても学習に大きな支障をきたすことは少ない内容です。
- 大きい数のしくみ
- 余りが出る小数の割り算
- 面積の単位変換
すべての内容を完璧に覚えさせたいという親心は理解できますが、あまりに強く教え込もうとすると、逆に子どもが算数を嫌いになってしまうことがあります。苦手な部分に無理に時間を費やすよりも、重要な単元に集中して学習を進めることが大切です。
この記事は、算数が苦手な子どもたちをサポートするための指導経験をもとに作成されました。参考にしていただければ幸いです。