机の上のちいさな箱

机の上のちいさな箱

読書と本たち、珈琲、手帳。
素朴な日々の暮らし。








先月の読書のことを書きます。



先月は読書が捗った一ヶ月でした。
夢中になって 読んでいたら
冊数が嵩んでいました。



レーエンデ国物語を再読したり
多崎礼さんの他の作品を読んだりと
ファンタジーも挟みながらでしたが、
丸々一ヶ月 源氏物語とその周辺を読んでいました。



瀬戸内寂聴さん訳の源氏物語10冊と
角田光代さん訳の源氏物語 文庫6冊を読みました。

(角田源氏は文庫全8冊でこれから2冊刊行されます)


*



市立図書館で蔵書していた瀬戸内源氏は
初版のもので紫色の背表紙の豪華版。
(豪華版と私が勝手に呼んでいる)



2〜3冊ずつ借りて16日間で 一気に読みました。


実は この箱入り豪華版、
海の向こうの実家に全巻あります。

その昔 母が発売当初に購入してくれていました。
当時私は小学校低学年。
読むかもわからないこの10巻を
全て揃えてくれたのはびっくりです。

大学生の頃授業のあれこれて読みましたが
たしか途中で挫折したような気がします。
(恥ずかしいのですが記憶があやふや)




とにかく読みやすかったです。
丁寧ですが くどくなく 理解しやすい。
誰が何を がスムーズで
情景が想像でき、和歌も見やすくて
とてもよかったです。 

また、巻末に用語解説や系図、様々な図があり
物語の理解を助けてくれます。
かゆいところに手が届いています。




 この豪華版本当に美しいです…
  うっとり。



*―――――――――*


こちらは角田源氏。
ポップな色合いが新しくて粋な感じ。


文章があっさりとさっぱりしていて
するする読めます。
あと2冊、楽しみです。*


*―――――――――*

新書や選書もいくつか読みました。

岩波新書
 「源氏物語の世界」日向一雅
 「源氏物語を読む」高木和子
中公新書
 「源氏物語の結婚」工藤重矩
新潮選書
 「嫉妬と階級の『源氏物語』」大塚ひかり


特に「源氏物語の結婚」がとてもよかったです。
当時の結婚のあり方がよくわかりました。
それを踏まえた上で源氏物語の女性たちの
立場や言動を改めて見てみると
色々と感じるものがありました。


*―――――――――*




源氏物語を読みながら
何を思っていたかというと、
光源氏ってどうしようもない男だな ということです。


 自己中心的だなあ…
 都合のいいことばかり言ってるんじゃないよ
 いやいやアナタがそんなこと言えた義理ないでしょ
 何でここでそれ言う?

とツッコミばかり入れていた気がします。

宇治十帖でも薫と匂宮の各々の勝手さに
なんだかなあ… と思っていました。


私は、正直なところ
光源氏のような人には
あまり近づきたくありません。。

嫌いではないですが、
遠くから眺めるくらいがいいな と思います。

ただ、生活の面倒を見てくれるという
(光源氏的な)面倒見のよさは
ちょっといいな と思います。


私が好きな女君は、
学生の頃から20代半ばくらいまでは
紫の上 一択でした。
とにかく彼女が好きで好きで
あんな風になりたいと思っていました。

愛する人に尽くし
聡明さと美しさを兼ね備える
紫の上に心から憧れていました。


でも、時間が流れ 20代半ば頃あたりから
朝顔の君を好ましく思うようになりました。

紫の上が切なすぎて悲しくなったのと
私自身、年を重ねる中で色々と思うところがあり、
源氏とは男女の仲にならない
朝顔の君がいいな と思うようになりました。
(源氏と朝顔の君の関係については諸説あります)

朝顔の君の 優しい中にも芯があるところが
素敵だなあ と思います。
(少し頑固で初志貫徹な感じ)

もちろん紫の上は大好きです。
今もずっと変わらず憧れです。



年齢や環境によって
その時その時に推す女君が変化していくのは
おもしろいことだと思います。
最近は花散里と空蝉もいいな と思います。

ここ10年くらいは朝顔の君押しですが、
また時間が経って別の女君が
好きになることもあるかもしれません。
 ちょっと楽しみです。



そして、数多いる女君の中で
自分に似ているかも と思うのは
宇治の大君です。
(考え考え、悩みすぎて殻にこもり自滅するタイプ)


*―――――――――*



源氏物語とは どんな物語なのか
 恋の物語、政治の物語、
 因果応報の物語、形代の物語、
 出家の物語…
本当に様々な視点から読める物語です。


私は、源氏物語をどんな物語だと思って
読んでいるのだろう と改めて考えてみました。


それは…
「女性の生きづらさ」の物語だと
捉えているのだと思います。たぶん。

たぶん、というのも自分自身が
源氏物語をどんな物語だと思って接しているのか
あまりよくわからないです。
どこの何が好きで読んでいるのか
はっきりとわからず、
ただ惹かれるから読んでいます。
ふわっとしています。


きっと当時の読者も
それぞれが自分なりに
源氏物語を読んでいたと思います。


いろんな読み方、接し方があって
その混沌とした全てひっくるめて
源氏物語の世界なのかな と思います。





これからも読み続けていきたい物語です。*

時間と共に新しい発見や
捉え方が見つかりそうな気がします。

(^^)



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思ったまま ずらずら書いてしまいました。

読んでくださり ありがとうございました。*



暑い日が続いていますので
どうかご自愛くださいね。


いつも ありがとうございます*


如奈。