meにとって何不足のない毎日だけれども、まだお外に出して貰えないのがちょっぴり不満なのら。
(meに追いかけられて)開いていた裏戸からおいら兄さんが飛び出していったのに一瞬戸惑ったmeは、すぐおばあさんに首筋を捕まれた。
なんといってもすばしっこいmeの事だから、鉄砲玉みたいに何処へ飛んでいくか解らないから出されないのら。
まだお家からここのおばあさん家に来る時は、お姫様じゃあるまいしおかごに乗ってほいほいなのら。
樹木ややぶが多いので、どこかにもぐり込まれると探しようがないからと、まだまだお外には出してもらえないみたい。

でも、どちらのお家でもmeは主役を張っているのら。
おいら兄さんのお昼寝ベッドのソファーも、おいら兄さんが寝ているところへ上がっていって噛み付いていると兄さんが嫌がって降りてってしまう。
そこでmeはゆうゆうと短い足を組んでうで枕というワケ。
ひさしを貸して母屋を取られると言うんだって。おばあさんがあきれていた。
お昼頃のこのこやって来て家中を駆け回り、おいら兄さんのしっぽに絡まったり散々追い回して眠る場所まで取り返してしまうから、ちょっちじゅうじゅうし過ぎるかもとme自身も思っているのら。
そりゃあ確かに、野原に捨てられて小学校の子供達が拾ってきたばかりの時は、真っ黒なススのかたまりだったかもしれない。
ピアノの先生を通してもらわれて来たばかりの時、かごの中で目を剥いて縮こまっているmeを見て、アフリカ土人だの煙突掃除だのって言いたい放題言われっ放しだった。
それでもお姉様方がクックちゃんと名を付けてくれた。
でもまだまともに呼ばれたことがない(おばあさんには)
meだってピーター・パンの海賊船の船長みたいな名前は如何なものかと思ったが、野良の身の上を救われた事を思えばぜいたくは言えないのら。
パパさん始めお兄さん、二人のお姉さん、ママさん、と猫好き一家に、お隣りにはおじいさんおばあさん、先住ネコのおいら兄さん。
これが猫好しというか、大人しいというか、三日も経たぬうちにmeの方が上位に立ち、おいら兄さんを追いかけ回し、あげくの果てに部屋のすみっこに追いつめるというか堂々と渡り合っているのら。
もちろんおいら兄さんはmeが小さいと思って加減してくれているのだろうけど。
近頃は軽くジャブの応酬のほか、取っ組み合って上に下にくんずほずれつの大格闘技も披露。
なんちったって運動神経抜群のフットワークの良さは、飛び降りたり飛び上がったり皆のやんやの喝采の的。
のたのた昼寝ばかりしているおいら兄ちゃんを見慣れた皆には、目まぐるしいけど新鮮に見えたのら。

ルックスといえば地毛に茶褐色が入り、黒のしましまも頭と背中には真っ直ぐ。
胴体は横にしまの様に見えるが、よく見ると斑点のように途切れ途切れなのら。
なんちっても圧巻はmeのお腹側。
ひょいとひっくり返ると横にくっきりとした格子(こうし)じまみたい。
かめのこだわしみたいだなんておばあさんは言ってるけど、見る人が見ればこれこそトレデイの証拠。
トラはトラでも前にいた黒べぇなるただのトラネコとは違い、キジトラというれっきとした血統があるのらそおだ。
現在は推定生後一ヶ月。
よく食べ、よく眠り、よくたれて、どっちのお家の中も我が物顔で駆け巡り、十年早いなんて言われながらとうとうおじいさんの座椅子まで占領してくつろいでいるのら。
なりが小さいのと顔がこじんまりしていて目がぱっちり。
黒目がまだ青いのが魅力的。
鼻の頭が半分黒いのも何とも言えないご愛敬。
寝てても動いてててもかわいいかわいと写メール撮りまくりのお姉様方。
ピアノの先生のところに里帰りの時は、じっと大人しく抱っこされているのでまるで借りてきたネコ。
足の裏も手の平も黒いのはよくネズミをとる良いネコだと折り紙つき。
meの株はうなぎ登り。おばあさんだってなんだかんだ言いながら、meの事ふところに抱いてお散歩に連れていってくれる。
ゆらゆらゆれて気持ちいいのら。