スパイスカレー。スパイスカレー。スパイスカレー。美味いぞ食え。
そんな歌声が聞こえてきそうなぐらいにスパイスカレーの香りに導かれ、気が付くとスパイスロードに乗っていた。
「これは、スパイスロード?」
スパイスロードの説明はしようがない。なぜなら、みんな初めて。それがスパイスロード。とにもかくにも高阪はスパイスロードに乗り、海を渡り淡路島へと辿り着いたのであった。
「あ、淡路島!? この玉ねぎの量は間違いない、淡路島だ!」
スパイスロードとは、スパイスカレー屋へと導いてくれるレインボーロード。
高阪は、運よく淡路島のスパースカレー屋と繋がったスパイスロードに乗ることが出来たのだ。
「さて、腹も膨れたし……あとは帰るだけ、だが……」
しかし高阪の顔は晴れない。当然である。
欣也を放置してきているからだ。欣也も高阪と同じようにスパイスロードに乗ってくれればいいのだが、あの汚物にそんなアクションができるとは到底思えない。
忘れることもできる。日本に帰ってきた喜びと、数日間ダラダラしてたら完全に忘れ切る自信すらある。だが問題は、今現在忘れてないということだ。きっと未来ではイッサイガッサイ欣也のことなんて忘れて楽しくハッピーに生活を送れているだろうが、今現在は少なくとも欣也のことを忘れていないのだ。
つまり、今現在はしっかりと胸糞悪いのである。欣也を見捨てるという行為が。
「戻るか……いや、でも……」
サバイバルの基本は、自分第一であること。仲間と力をあわせて……などというのは幻想なのだ。食料や水、寝床など、生きることに必要なものは、分けれるほど豊富ならともかく、命を削って分け合うぐらいなら自分一人で確保するべきなのだ。それが生きる鉄則である。
この場合、スパイスロードに乗れた高阪は運が良かったし、このまま流れに乗って生きるべきだ。ここで欣也のことを想い、無人島に戻るなんてことは絶対にしてはいけないのである。生き抜くならば、だ。
わかってはいても、極限状態に陥っていても、生のエゴイズムを持ちきれない高阪は悩みに悩む。
「こうなったら……!!!」
高阪はキリリと真顔を強めて駆け出していく。そして、野原に咲く花を引きちぎり、花弁をもいでいく。
「俺は欣也さんを助ける、助けない、助ける、助けない……」
花占いほど信頼できる占いは他にはない。それが高阪のバラバラになってどれが本当かわからない人生においての唯一の共通した認識だといっていい。
そして、出た答えは……。
「行くか」
高阪はスパイスロードへと戻っていた。
欣也を救うために。