こんにちは、サバイバル・アンナです。

 

 

米国の覇権と中国についての初歩的な解説を過去動画に見つけました。パワーポイントを多用しながらの丁寧な解説です。NIICE NEPAL(ネパール)が2020年8月5日にアップした動画を切り抜き要約します。(冒頭から38:50まで) 

 

 

<切り抜き要約始まり>

 

 

米国が世界中で軍事的、政治的、経済的に影響力を行使するのは何故だろうか。それは米国が西半球の覇権を握り、域内の安全を憂慮する必要がないからだ。西半球には脅威となる隣国がないため、米国は自由に世界のいたるところに現れて他国に介入している。そして、アジアの覇権を中国が握ることを許さないのも、平たく言えば「アジア域内の安全への憂慮がなくなれば、中国は西半球に現れるかもしれない。我々が世界でやっているように。」という考えからだ。大国の原則的な目的を覚えておいて欲しい。一つ目に地域覇権を握ること、二つ目に他の大国たちが彼らの地域で覇権を取るのを阻止すること、である。

 

米国はイギリスから独立して以降、西半球の覇権を獲得することに力を尽くし1900年ごろまでには近代史において唯一の地域覇権国家となった。20世紀に入ってからは、ドイツ帝国、大日本帝国、ナチスドイツ、ソビエト連邦、これら4つの大国の地域覇権を阻止するための重要な役割を担った。地球上で唯一の地域覇権国家であり続けるために他の大国の台頭を許さないこと。これまでの歴史が示すように、米国は確実にこの原則を実行している。

 

 

 

1945年の終戦以降、世界は二度目のパワーバランスの変化を迎えている。一度目は“The Unipolar Moment“と呼ばれた米国一強への変化であり、米国・ソ連による二極世界がソ連の崩壊とともに終わった時だ。そして現在進みつつある二度目の変化が、米国・ロシア・中国との多極世界である。大国の定義は人口の多さと豊かな富であり、これからの多極世界では大国間の相対的な差に着目する必要がある。

 

2050年の人口予測を見ると、米国は移民の流入により3億8千万程度に増加し、ダイナミックな経済を維持すると思われる。一方、人口減少問題を抱えるロシアは1億4千万弱に減り、ガス石油に依存した産業構造が変化するきざしは見えて来ない。そして中国は14億の人口を維持すると予想され、一人あたり国民総所得(GNI)の変化によっては米国を超える豊かさになる可能性を持っている。仮に中国が今の韓国と同レベルの一人あたり国民総所得になれば、国の豊かさは米国の二倍に到達するのだ。この先、米国と中国が世界の二大大国になる道筋は見えており、中国が戦略上アジアの覇権を目指すことに疑いはない。

 

中国は国家が弱ればどのような目にあうかを知り尽くしている。百年国恥と言われた歴史を繰り返さないために、アジアで最も力のある国になろうとするだろう。またアジアでの米国の軍事的存在を押しのけようと試みるだろう。むろん中国の覇権を阻止するために米国が仕掛ける熾烈な競争は、今後地政学上の最重要テーマとなるだろう。

<終わり>