「爪の伸びる早さって時速何キロくらいなんだろう」

ってみなさん日々よく思いますよね〜僕なんて毎日爪を見る度に時速が気になって気になってしょうがなかったです。

どこの大学も爪時速に関して論文を発表してくれないので僕は自分で調べてみることにしました。幸運なことに僕にも爪がしっかりあったので一安心。

これは僕が浪人を決めた春に行った大研究の成果です。どうぞ日常の中で爪時速が必要になった際はご自由にご利用ください。


大研究初日の4/2の夜、僕は爪の下の方を薄く削って印をつけた。世間は春。高校の友達は皆、まもなく始まる大学生活に胸を馳せ、新生活の準備を着実に進めていることだろう。対して僕は浪人生だ。浪人生の春とは虚しくも残酷だ。これから始まる1年間の猛勉強に嫌でも気持ちを高まらせなくてはならない。

しかしそんなことは僕には関係の無いことだ。なんたって僕は爪の時速を計算しているのだから。世間も浪人も関係ない。僕には爪の時速を何としても突き止めてやるという確固たる意思があった。周りなど気にしていられない。


研究は4/2 22時30分~4/16 22時30分のぴったり14日間(2週間)で行われた。

その間僕は傷が薄くなったらまた削るを繰り返して爪の傷の動向を追った。どうやら世間は新型コロナウイルスとやらで大混乱のようだ。密だのリモートだの訳の分からないワードが飛び交っている。しかし僕にはそんなことは関係ない。なんたって僕は爪の時速を測っているのだ。

桜が満開を迎えてもなお人々が浮かない顔をしているという、なんとも異様な春だった。
爪とは健気なものだな。とよく感心した。どれだけ世間や情勢が苦しくても、どれだけ削られてもめげずに伸びてくる。これはウイルスに苦しむ全ての人へのメッセージなのだと僕は思った。そんな強く、健気な爪を人は片手に5つも持っている。人間がいかに重装備であったかを思い知った僕はそれでも研究を続ける。

そんなこんなで研究期間の2週間が過ぎた。初めに爪の下につけた傷は明らかに上へ上へと伸びていた。
今更だが、爪ってちゃんと伸びているんだなと改めて実感した。今まで気にもしていなかった事実が目で見てとれる形となって現れるのは面白い。

結果、

爪の伸びは14日間で【4mm】ということが分かった!!!

すなわち時速に換算すると色々計算して爪時速は

1.19×10^-8km/h

という結果になった。これは世紀の大研究間違いなしだ。今この文章を読んでいるあなたも、この文章を読む5分あまりの間に約0.00991666×10^-8kmもの爪がこの世界に誕生しているのだ。新たな命に感謝して、今この瞬間を生きてほしい。

以上で世紀の大研究レポートを終わりにする。冒頭にも書いたが、日常生活で爪時速が必要になった時は遠慮せずに今回の結果を使ってくれて構わない。

ご視聴ありがとうございました!!


爪切ろ。