喜望峰の風に乗せて
監督:ジェームズ・マシュー主演:コリン・ファース推しのコリンが出てたので鑑賞。モデルとなった方の話を全く知らなかったし、伝記になるくらいだから、どうにかして帰港して無事に旅を終えてめでたしめでたし〜なんだと思ってたら、予想を覆された…。これは無謀にも思えるチャレンジを成し遂げた人の英雄譚なんかじゃない。家族のため、そして自分のプライドのために成功を求め、虚しくも奇跡なんか起きなかった、ただ一人の『人間』の物語。最初はカッコつけたいとか、もう無事に帰れればいい、とかそんな軽い思いだったのかもしれない。しかしそれが、絶海の孤独という環境の中、次第に自分自身を追い詰め、魂を削っていく。ドナルド(コリン)は家族を愛する、善良な、本当に普通のお父さんだから、そんな彼が堕ちていく姿がひたすらに苦しい。正直に、「無理でした」と言って家に帰ることができたらどんなによかったか。お金も家も全部なくなったって、家族みんなで支え合えたんじゃないか。どうしてもそう思わずにはいられない。でも、それを考えた上でドナルドは決断を下したんだと思うと、その葛藤と苦しみがやるせない。クレア(レイチェル)が言った通り、好き勝手に盛り立てたメディアが悪だったのだろうか。誰もが憧れる冒険家の成功は成されなかったけれど、証拠隠滅できるはずだったのに全てを遺し、自分が犯した過ちを包み隠さず曝したドナルドの行為は誰にでもできることではなく、彼の輝かしい勇気を示していたと思う。イギリスでは有名な方らしいね。日本ではマイナーだから冒険だと思って観ちゃうんじゃないかな。私もそうだったし。そのせいで評価が高くないような気がする…。ちゃんとヒューマンストーリーだと思って観ると評価も変わるんじゃないかな。コリンの演技が圧倒的で凄く心を揺さぶられるし、キャストも豪華で脇役の方たちの演技も素晴らしかったし。いや〜、幸せなコリンを観るつもりだったから結構ダメージは大きかったけど、いい映画だったよ〜。