『ちりとてちん』の再放送を見ていて、やはり、無性に小浜に行きたくなってきた。

本放送当時は、毎週のように大阪のロケ地巡りに出かけていた。
貫地谷しほりさんが登場した場所は、“京都の北の方にある町”を含めて、たぶん全て訪れたはず。
しかし、小浜には行きそびれてしまい、それが心残りだった。

そこで、今更ながら小浜に行こうと思い立ち、8月下旬のある日、猛暑を物ともせずに（!?）、ロケ地巡りを敢行した。

今回、小浜へは電車で行った。敦賀駅での待ち時間を利用して、まずは気比の松原へ向かう。
友春さんが喜代美ちゃんにバッグで殴られたのはこの辺りだっただろうかと想像しながら、早朝の松原を歩く。
敦賀湾は波も穏やかで、刻々と変化する空の色を映す海を眺めながらの散歩は、とても気持ちが良かった。

小浜駅で降り立ったホームは、そう、喜代美ちゃんが大阪へと旅立った場所。
お婆ちゃんが三味線を持って見送りに来てくれたんだよなあと、ドラマの一場面を思い出す。

改札を出て、まずは是非とも行ってみたかった常高寺を目指して歩く。
小喜代美がラジカセを持って走ったはまかぜ商店街には、来年の大河ドラマ『江』ののぼりが立ち並ぶ。
所々に喜代美ちゃんのポスターも貼ってあり、小浜の街のヒロインは、しほりんから樹里ちゃんにバトンタッチ中。

「魚屋食堂」にも立ち寄ったが、早朝のため、まだ準備中だった。
丸竹呉服店の辺りは道路の拡幅工事が進められており、小浜の町も当時とは変わりつつあるようだ。

駅から20分ほどで、常高寺に到着。

早速、階段を登って、喜代美ちゃんが順ちゃんと腰かけていた辺りに立ち、海の方向を眺める。

これが、小浜を出る決意を固めた喜代美ちゃんの目に映った風景かと思うと、感慨もひとしお。
階段脇にあった大きな松の木は、切られてしまったようだ。

常高寺のお隣は、お爺ちゃんの葬儀が行われた東光寺。

次に、三丁町を散策する。
町並み保存地区に選定されているだけあって、落ち着いた雰囲気の佇まいが印象的だ。

それから、マーメードテラスを経由して、小浜病院、小浜市役所を眺めながら、西津橋へと向かう。

まだ朝の9時だというのに、気温は35度を超えている。
涼しい午前中にロケ地巡りを終えてしまおうと思っていたのだが、甘かった。とにかく暑い。

西津橋では喜代美ちゃんと同じように歩道を走り抜けようと思っていたのだが、とてもそんな気にはなれない。
口から出る言葉は、喜代美ちゃんの「遅刻する～！」ではなく、同じ女子高生役の台詞でも「あっちぃ～！」の方。笑

喜代美ちゃんが走っていった先にあるのが、「小浜第二高校」の正門。
さすがに校内には入れないので、「若狭塗箸製作所」の前を通って、海側へ回る。
校庭裏の、喜代美ちゃんが順ちゃんと腰かけていた堤防などを見た後、海沿いの道を歩いて西津の浜へ向かう。

西津の浜の突堤では、きらきら石を投げ捨てた喜代美ちゃんの気持ちになって、同じように石を投げてみる。
ここにきたら、是非ともこれをやってみたかったのだ。笑

堤防の上を歩く喜代美ちゃんが、車に乗った友春さんにしつこくデートに誘われた道を通って、「和田家」へと向かう。
「和田家」はロケ当時とは外観も異なり、注意していなければ、そのまま通り過ぎてしまいそう。

喜代美ちゃんの通学路となっていた港に続く道を歩いてみる。
改めて、喜代美ちゃんはこういった海辺の町で育ったんだなと思う。

その後、「ちりとての丘」に登る。
小浜湾の景色が美しい。眼下には、今歩いてきた町並みが広がる。

そして、最後の目的地となる食文化館へ。
和田家の表部分と塗箸工房のセットを見学した後、小浜駅に戻り、約4時間歩き回った小浜の旅は終了。
また来る機会があったら、今度は車で梅丈岳等のロケ地を巡りたいと思う。

さすがにおなかがすいたので、小浜駅の売店で見つけた「御食国若狭おばまのお弁当『焼き鯖そぼろ寿司弁当』」を買ったのだが、これがとても美味しかった。
食文化館にあったお食事処「濱の四季」が製造するお弁当で、どうやら土・日・祝日のみ、約20個の限定発売らしい。

メインの焼き鯖そぼろ寿司の他にも、揚げ鯖の甘辛煮、煮しめ、さつまいものレモン煮、鯖の焼きへしこ、酢の物と、盛り沢山のおかずに加えて、デザートに黒糖わらびもちまで入って、何と840円。

“濱のかあちゃん”が作った、良心的なお弁当だ。
駅弁を食べて、こんなに満足感、お得感を味わったことは無い。
お薦めの逸品である。

ちりとてちん第25週「大草若の小さな家」

たとえいやな事があって落ち込んでも、毎日落語を聴いて笑える場所があったからこそ、今の自分がある。
小浜に帰った際に工房で聞いたエーコの言葉が、喜代美ちゃんに大切な事を気付かせてくれましたね。

大阪に戻って、自分たちの力で常打ち小屋を作ろうと、兄弟子たちを説得する喜代美ちゃん。
「それが、落語家の仕事なんやと思います。この師匠の声みたいに、悩んだり落ち込んだりしとる人を、私も元気づけたい。そういう場所を大阪に作りたい。そね思うたんです。」
喜代美ちゃんは、ついに落語家としての使命を悟ったんですね。本当にすごいなあと感心してしまいます。

「ぎょうさんの人を笑わす事ができて、初めて私もぎょうさん笑えるんやと思うんです。」
お爺ちゃんが残してくれた言葉の意味を、自分なりに理解した喜代美ちゃん。
小次郎さんをはじめ、常打ち小屋建設の話を聞いて協力を申し出てくれた皆さんの温かい気持ちが嬉しいですね。

落語ができる場所を残そうとした両親の気持ちを汲んで、自宅を売る決心をした小草若兄さん。
その言葉を聞いて、兄弟子たちに提案をする喜代美ちゃん。
「最後に・・・。最後に、この家で、落語会やりませんか？」
「落語会？」
「はい。師匠の思い出が、いっぱい詰まったこの家で・・・。師匠に見守られて、落語がしたいんです。」
自らの純粋な思いを語る喜代美ちゃんの表情は、例えようもないくらいに素敵でしたね！

多くの人に慕われた草若師匠の人柄を思い起こさせる大盛況となった、「草若邸お別れ落語会」。
青空の下、大勢の観客が心の底から笑う姿を見て、我も我もと落語家たちが次々と競うように高座に上がって話芸を披露する展開は圧巻でしたね。
その様子を見ようと草若邸の母屋から顔を覗かせる、5人の兄弟弟子の姿が印象的でした。

「できたやないか。誰でも気軽に入れて、噺家が腕競う、常打ち小屋や。なあ、わしに頼らんでも、できたやないか！この時を待ってたんや。」
鞍馬会長は、無理して常打ち小屋建設に奔走する前に、まずその本質を落語家たちに悟って欲しかったのでしょう。

一方、こちらもようやくできた、エーコの塗箸。
喜代美ちゃんが返してくれたきらきら石を砕いて模様をつけた塗箸を見つめて、涙を浮かべるエーコ。
きっと彼女の瞳には、あの石のかけらが、今までに見たこともないくらいきらきらと輝いて映ったことでしょうね。

さて、物語もいよいよ終盤を迎えて、そろそろ全体のまとめに入ったという感じでしょうか。

小浜では、小草若兄さんが無事に落語家に復帰。
「小草若兄さん！底抜けに、お疲れ様でした～！」
底抜けに盛り上がる和田家の面々と小草若兄さん、と思ったら・・・、小次郎さんもいたんですね。笑
ここに至るまでにずいぶん時間がかかりましたが、ようやく自分のふるさとを見つけることができた小草若兄さん。
めでたし、めでたし。

しかし、勝手に和田家に上がり込んで、ギターの弾き語りを始める五木ひろしって・・・。笑
「今日は、お母ちゃんのために、歌わせてもらいましたんやで。」
糸子さん、ようやく五木ひろしに会うことができて、本当に良かったですね！

「寝床」で小次郎さんの宝くじが当たっていた事を知って驚くと共に、彼がそのことを奈津子さんに話していないらしいと察する喜代美ちゃん。
台詞が無い場面でも気持ちがしっかりと伝わる、しほりんのお芝居。
その最大の魅力は、やはりくるくると変化する表情にありますよね。

喜代美ちゃんの部屋に来て、宝くじ当選後の顛末を語る小次郎さん。
珍しく彼がいい話をしているのに、喜代美ちゃん、いちいち「今更？」って突っ込まなくても・・・。
もっとも、小次郎さんも自分の思いを一方的に語っていましたが。笑

喜代美ちゃんに促されて、自分の正直な気持ちを伝えようと、奈津子さんの部屋へ戻る小次郎さん。
「何で帰ってきたんよ？これ持って、迎えに行こ思てたのに。」
それにしても、あの奈津子さんが『肉じゃが女』になるとはねぇ！笑

それから、今週は久し振りに妄想シーンがきましたね！
最近、なんか物足りないと思っていたんですが、やっぱり、『ちりとてちん』には妄想シーンが欠かせませんよね。笑

かつての草若師匠と草々兄さんとのやり取りを再現する、草々兄さんと小草々くん。
そして、そんな姿を背後から見守る、おかみさんとしての喜代美ちゃん。
「嫌です！小草々君が、あの頃の草々兄さんみたいな目に遭うやなんて、ほんな事、耐えられません！」

それにしても、おでこを出した喜代美ちゃんの割烹着姿、本当によく似合っていましたね。笑

小草々君に「辻占茶屋」の思い出を語る喜代美ちゃんと、それを聞いて話に割って入る草々兄さん。
初めての下座さんで緊張のあまり固まってしまった喜代美ちゃんの姿を真似する草々兄さんと、それを必死で否定する喜代美ちゃんの表情が面白かったですね。

お父ちゃんの塗箸が内閣総理大臣賞を受賞したとの知らせを受けて、急ぎ小浜に駆け付ける喜代美ちゃん。
お婆ちゃんお得意の“ありもしない歌”で盛り上がる、笑いの絶えない家族に囲まれて羨ましいですね。

更に、小次郎さんと奈津子さんの結婚報告まで飛び出すなど、おめでたい話題が続く和田家。
嬉しさのあまり泣き出したお母ちゃんが、大切な賞状で涙を拭おうとするのには本当にびっくりしました。笑

さあ、ついに泣いても笑っても、あと1週を残すのみ。
ここまできてもまだ結末が読めませんが、最終週にはどんな展開が待っているのか、本当に楽しみですね！

今更ながら、小浜