「【後編】ギリシャ危機どうなる?どうする?」
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幸福実現党  
江夏正敏の闘魂メルマガ vol.44
2015年7月7日発行
より転載
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江夏正敏 幸福実現党
政務調査会長のオフィシャルブログ

http://enatsu-masatoshi.com/

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1、江夏正敏の「闘魂一喝!」
「【後編】ギリシャ危機どうなる?どうする?」

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「前編」からの続きです。

●ユーロ圏離脱、そしてEUに残留するのがベター
「EU改革案反対」の国民投票を受けて、ギリシャが何を求め、EU側が何を受諾し、妥協するかは、今後の交渉次第です。
しかし、長い目で見て、ギリシャの幸福は「ユーロ圏を離脱すること。そして、EUには残ること」にあると考えます。
ユーロ圏離脱は、短期的には、大変な混乱と苦痛をともないますが、国の経済の立て直しには、主権国家として独自の金融政策を自由に行えることが大切です。
ギリシャ通貨「ドラクマ」の復活です。そして、EUには残って、関税がなく、人や資本の移動が自由という有利な環境は維持するのです。ギリシャのとっては良いとこ取りです。
ギリシャがユーロ圏を離脱すれば、ユーロの信認が揺らぐという話もありますが、逆にユーロ圏への出入りを自由にした方が、信任が高まるのではないかと思います。
それでもギリシャがユーロ圏に残るならば、メリットを受けている受益国(ドイツ)による財政支援は不可避になるでしょう。
それを欧州の人が望むならば構いません。それも一つの方法です。
もっと言ってしまえば、ギリシャはインチキをしてユーロ圏に入りました。
同じユーロ圏に入れば、市場が広がるというメリットがある一方、共通通貨を使うことで為替が使えなくなるのは必然です。
対外的なショックがあったとき、為替はそれを調整する手段となるのですが、それを放棄して、インチキをして入ったのです。
インチキして入ったのですから、ユーロ圏離脱もあり得るのではないでしょうか。離脱の仕組みをつくればよいのです。
どうも投機家の多くの方は「ギリシャのユーロ圏離脱はやむを得ない」と思っているようです。
ただ、政治的にはかなり難しい仕事になると思いますが。

●実はギリシャは破綻常習国
「ドラクマ」復活に際して、デフォルト(借金返せません状態)になるかと思いますが、そもそもギリシャは破綻の常習国です。
1800年以降の200年間で、ギリシャはなんと2年に1度は破綻しているのです。
その度に、ドラクマが下落して、為替による対外調整がなされ、ドラクマ安でギリシャの主力産業である観光業が復活し、債務問題に対処してきました。
また、ギリシャのGDP規模は、日本の神奈川県ぐらいなので影響は小さいでしょう。ドイツのフォルクスワーゲン1社の売り上げよりも少ないのです。
今回はユーロ圏の一角で、ユーロの信認に係わることなので、世界中が注目していますが。

●EUもデフォルトを覚悟している!?
EU側は、ギリシャがデフォルトになっても、ギリシャ債務の8割をIMFや欧州中央銀行(ECB)、ユーロ圏各国が担っているので、市場への悪影響は限定的と見ているようです。
ここ数年で、ユーロ圏でのデフォルトに対するセーフティネットが拡充されているので大丈夫でしょう。
2012年のギリシャ危機の時は、ギリシャ国債を民間金融機関が持っていたので問題だったのです。

●デフォルトは大変な痛みを伴う
デフォルト時の混乱はどの程度になるかは、起こってみないとわかりません。
医薬品や食料品、燃料などの輸入品は値上がりし、深刻なインフレ、物資不足になります。インフレが起きると預金生活者、年金生活者は大打撃を受けます。
資金が回らくなって、企業において生産停止、給与の遅配、そして倒産。家計の破綻。
さらには民間金融機関が倒産して、あらゆるところで生活に支障をきたす可能性があります。場合によっては物々交換となるかもしれません。
1998年にロシアはデフォルトを体験しましたが、給与の現物支給など大変な混乱になりました。ロシアはルーブルの通貨を大幅に切り下げて乗り切りました。
2001年にもアルゼンチンもデフォルトになりました。失業率は20%を超え、約11%のマイナス成長になりました。暴動などがおこり大変でした。
その後、ペソの通貨を切り下げたところ、輸出競争力が復活し、経済は急速に回復しました。
ロシアは原油、アルゼンチンは農産物という、強力な輸出品を持っています。そこで自国通貨を切り下げて輸出競争力が強まり、経済が回復軌道に乗ったのです。
何回も言うように、共通通貨ユーロでは切り下げができません。だから「デフォルトからの出口戦略が見えにくい」と言われてしまうのです。
ギリシャもユーロ圏に入るまでは、危機のたびに独自通貨「ドラクマ」が下落して、対外借金を棒引きにすることができました。それでギリシャ経済はなんとかやってきたのです。
ギリシャには世界に冠たる観光業があります。年間観光客は約2000万人で、ギリシャ人口の2倍の人数です。
ドラクマが下落して、割安になれば、観光客がドッと押し寄せてきます。その辺りから、国家再生をすべきでしょう。
日本も戦後は何もありませんでした。日本も戦後はデフォルト状態だったのです。ただ「勤勉な国民性」という貴重な財産、元手があったから復興できたのです。

●欧州の安全保障も関係してる
それでも欧州各国は、良い悪いは別にして「欧州は一つ」という夢を追い続けています。
しかし、ギリシャのチプラス首相は、苦しくなるとロシアに支援を求めたり、中国と接近したりして、EU諸国の感情を逆なでしてきました。
ギリシャは地政学上の重要な位置にあり、NATOの一角でもあります。ギリシャがふらつくと欧州の安全保障にも影響が出ることを自覚しなければなりません。
EUでは重要事項の意思決定は全会一致なので、ギリシャは「拒否権」を持っているのです。
ユーロ圏は離脱した方がよいと思いますが、EUまで脱退となると、欧州の国際的地位は大きく揺らぎ、欧州安全保障のバランスが崩れていきます。ギリシャも損をします。
ロシアが絡んでくるとなるとアメリカも黙ってないでしょう。
チプラス首相は瀬戸際外交を止め、賢く立ち回っていただきたいと思います。

●制度上の矛盾が現れているギリシャ危機
一つの政府に支えられていないとう本質的弱みを持つ共通通貨ユーロを創ったのは欧州です。
そして、本来、ユーロ圏に入れてはならないギリシャに、共通通貨ユーロを持たせたのもEUです。
さらに、財政危機に陥った国に融資などをして、当面の危機を回避しても、
支援の条件として増税や歳出カットを求める枠組みしか提供できていないのもEUです(この発想は日本の財務省と同じ)。
対象となった国の経済活動は低迷し、借金を返せなくなるのは自明の理です。
通貨統合したのであれば、域内の住民から集めた税金を集約する「財政統合」を行わない限り、矛盾は残り続けます。
中途半端な矛盾した制度を変革・解決できていないと言えるでしょう。これらの矛盾がギリシャ危機をきっかけに露呈しているのです。
EUは28ヵ国に膨張した寄合の所帯と言えます。現状維持で精一杯なのではないでしょうか。

●大川隆法党総裁の2012年5月の発言
欧州統合という夢はわかるのですが、その成否は当初から疑問がありました。
大川隆法党総裁も1990年から警告を発していました。さらに2012年5月にも、以下のように述べています。最後に参考にしていただければ幸いです。
「金融問題に関して『ユーロ制度は、うまくいかないだろう』ということです。それは、「ドイツ国民やフランス国民から、いかにカネを取るか」を意味するからです。
現在は、国家意識が欠けた状態です。EUは今や弱小国家集団を意味しており、弱い国は強い国からの支援を求めがちです。
まだまだ多くの国がEUに加わりたいと考えていますが、弱い国同士が助け合おうとして一緒になっても、何もいい結果は生まないでしょう。
彼らは心を変えるべきであり、それぞれの国が国家意識や国民国家の立場に立って、自国の金融システムを作り直し、立て直すべきです。
金融システムとは、政府や当局の社会主義的制度のことではありません。
自由にビジネスをするうえで何らかの障害があるのであれば、そういった縛りを外し、
『お金を稼いで、自分たちの国をもっと素晴らしい国にしよう』という志を国民に持たせることなのです。
最大のポイントは、心の態度です。彼らにはEUの理想像や、特に自国についての理想像が必要です。
この点に関して、イギリスのマーガレット・サッチャー元首相は傑出していました。
彼女は金融制度において他のヨーロッパ諸国と距離を取っていました。
サッチャーには、自国の金融面における支配力を失えばイギリスは国として存続できなくなることが、よく分かっていたのです。
一国の金融システムは、その国が自立しているか否かを決めるものなので非常に重要です。
独立国家は、アメリカのドルのように通貨を発行することができます。
彼らは自分の意思でマネーサプライ(通貨の供給量)を増やすことも止めることもできますが、EUの制度はそのように機能することができません。
ですから、これは失敗であるというのが私の結論です。私はこの失敗を、すでに1990年に予言していました。
すでに二十年以上前『ヨーロッパは失敗するだろう』と言い、マーガレット・サッチャーを支持して『彼女は正しい』と言っていたのです」
(2012年5月31日幸福の科学総合本部にて)

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2、編集後記
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ギリシャ危機は大変ですが、何とかなると思っています。
しかし、「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録決定の経緯を知るにつけ、
とても暗然たる気持ちになりましたし、「あり得ない」と思いました。
また、言われのない重荷を日本は背負わされたような感じです。
ちょっと、隣国とは距離を取りたくなったし、日本政府もいいかげんしっかりとして欲しい。
将来に禍根を残してまで、世界遺産登録が必要なのでしょうか。
幸福実現党の仕事がまた増えたとしか言いようがありません。
自民党、公明党よ、責任取ってくれ。
日本の大切なものに泥を塗られた感じですね。

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◆ 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール 

1967年10月20日生まれ。

福岡県出身。東筑高校、大阪大学工学部を経て、宗教法人幸福の科学に奉職。

広報局長、人事局長、未来ユートピア政治研究会代表、政務本部参謀総長、
HS政経塾・塾長等を歴任。

幸福実現党幹事長・総務会長を経て、現在、政務調査会長。
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