[HRPニュースファイル1268&1269より転載]


「要注意“ピケティ”ブームに備えよ!」【前編】&【後編】
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「要注意“ピケティ”ブームに備えよ!」【前編】
http://hrp-newsfile.jp/2015/2012/

※今注目されている経済学博士ピケティの「格差と貧困の新理論」について、全2回で、幸福実現党・政務調査会長の江夏正敏メルマガからお送り致します。

文/幸福実現党・政務調査会長 江夏正敏

◆“ピケティ”ブーム

ピケティの『21世紀の資本』という本が売れています。そして、書店ではピケティコーナーが拡充され、マスコミでも、特に朝日系やNHKで持ち上げられています。

ピケティは何を主張し、世界にどのような影響を与えようとしているのでしょうか。私は経済学者ではないので、精緻な議論をするつもりはありません。

しかし、政治に携わる者として、国民・世界人類を幸福にするかどうかは大問題となります。

◆ピケティの主張

では、ピケティは何を訴えているのでしょうか。

簡単に言うと「資本主義には根本的に矛盾があり、貧富の差が拡大してしまう」、つまり「このままでは格差が広がる」と訴えています。

それで、格差を無くすためには、(1)累進課税の強化、(2)資産や相続税への課税強化、(3)世界各国の協力による「資本税」の創設を提唱しています。所得の再分配です。

そのためには「世界各国の政府が協調して、個人の“金融情報を共有”しなければならない」とも言っています。

◆マルクスと同じ!?

「ピケティは、マルクスには影響されていない」とか、「21世紀の資本主義を守るため」と言われていますが、単純に見れば、マルクスと同じ結論です。

もっと俗っぽく言えば「相続税をもっと取れ」「資本家からもっと収奪せよ」「金持ちが悪いんだ」となります。

◆ピケティ理論を実践すると

ということは、ピケティ理論を実践した国は貧乏になります。国は発展・繁栄しません。いかにマルクスとの関係性を否定しても、結論が同じなのですから。

マルクスの理論を実践したソ連、東欧などの東側は、すべて没落したので、歴史的に実証済みです。

さらに個人情報を全部把握し、資産を管理するために、巨大な徴税権を持つ官僚独裁国家への道に入ってしまう危険性があります。

◆ピケティの位置づけ

ということで、朝日系やNHKが持ち上げている段階で、ピケティの素性がわかってしまうのですが、フランス社会党の経済顧問をつとめているので、一般的には中道左派とされています。

つまりピケティ理論は、大きな政府を目指すので左翼が喜びます。さらに、増税理論なので財務省が喜びます。

ピケティ理論は、国を貧しくする危ない経済理論ということなのです。

◆ピケティ理論の問題点

ピケティ理論は、今まで学者が手を付けていなかった「各地方に残る古文書」を発掘し、20カ国以上の200年間のデータを駆使しているので、反対派も決定打が出せず、各方面で賛否両論が巻き起こっています。

少し雑にはなるかもしれませんが、ピケティ理論、もしくはピケティ理論から導き出される今後の政治的動きを予想して、問題点を指摘していきたいと思います。

◆資本主義で豊かになった

資本主義では格差が広がると言っているのですが、もっと大きな時間で見ると、昔の単純な農耕社会では、一部の王侯貴族を除いて、多くの人は貧しかったはずです。

当時は、格差はあまりなかったでしょう。産業革命が起き、富を集中して工場などを造り、大規模・効率的に事業が回り始めて、膨大な富が創造されていくと、国全体が豊かになって行きました。

発展段階においては、劣悪な労働環境の問題などもあったかもしれませんが、資本主義のおかけで、国民が豊かになったのは事実です。

◆「大きな政府」は社会主義への道

資本主義は便利で効率的なシステムであって、善悪の問題ではありません。それは、資本(お金など)を集中して、大規模な事業を興し、多くの富を生み出すことができるのです。

その際、その便利で効率的なシステムを、正しく使うための倫理が必ず必要となります。

今の資本主義には倫理が必要なのであって、税金で吸い上げて再分配する「大きな政府」は、社会主義そのものとなり、人間を幸福にしません。

◆相続税、資産・資本課税、累進課税の強化は、大企業が弱まり雇用不安を生む

また、資本の集中によって、大きな事業が可能となり、多くの雇用を生むことができます。

社会保障の究極は、国民に職があるということです。大きな会社は、それだけ多くの人を雇うことができます。ありがたいことです。

しかし、ピケティ理論の結論からは、累進課税、相続税、資本課税を強化していくことですから、大きな事業を継続しにくくなり、小さなお店ばかりが生き残るようになってしまいます。

これでは、国の発展・繁栄は難しく、国民を養うことができなくなります。

(つづく)

「要注意“ピケティ”ブームに備えよ!」【後編】

http://hrp-newsfile.jp/2015/2014/

※今注目されている経済学博士ピケティの「格差と貧困の新理論」について、幸福実現党・政務調査会長の江夏正敏メルマガから、前回に引き続き後編をお送り致します。

文/幸福実現党・政務調査会長 江夏正敏

◆投資にリスクが伴うのは当然

資本は新しい事業に投資されていきますが、すべてが成功するわけではありません。

ピケティ理論では、「持てる者(資本家)はさらに与えられる」としていますが、投資にはリスクが伴います。

国民の給料の伸びよりも、資本家の投資の方が、儲けの伸び率が高いのでケシカランということですが、リスクに見合う高い収益がないと、だれも投資をしようとしません。

投資しなければ、新たな会社もできず、雇用もなく、失業者が増えてしまいます。お給料そのものがなくなってしまうのです。

これからは、宇宙とか、医療とか、海洋とか、ロボットとか、いろいろな未来産業の可能性がありますが、膨大な投資資金が必要となってきます。

その投資に成功すれば、多くの人が潤います。しかし失敗すれば、すべてが無くなってしまいます。

いろいろな企業家が出てきて、資金を使ってチャレンジしていく中に、未来が切り開かれていきます。その中で、労働者の給料も確保でき、また給料もアップしていくのです。

ちまちまと「格差格差」と怨嗟の声を助長するのではなくて、企業を、国を、世界をダイナミックに発展させていく発想の方が、国民や人類を幸福にしていきます。

◆財産権の侵害、自由の危機

ピケティは、相続税の強化や、資産、資本に課税を提唱していますが、根本的に財産権の侵害であり、憲法違反です。

人間にとって普遍的な価値である「自由」を確保するためにも、私有財産は最後の砦となります。

政府が国民の財産を収奪、没収した場合、国民は生きるために「国家」の言いなりにならざるを得ません(私有財産がなくなると、政府に見捨てられたら生きていけないので)。

ピケティの発想自体が、社会主義的なので確信犯としか言いようがありませんが、社会主義的発想は、独裁国家へとつながっていくので要注意です。

◆富の拡大が必要(グリーンスパン元FRB議長)

グリーンスパン元FRB議長も、ピケティ理論に対して「それは資本主義のやり方ではない。何かほかの手法だ」 「システムが非常に複雑化しているとはいえ、生活レベルを向上させるのは経済に占める資産や富のシェアが拡大したときだ」と述べています。

やはり、パイの奪い合いではなく、新たにパイを焼くことで、生活レベルが向上すると言っているのです。

◆成功者を肯定せよ(コーエン教授)

また、ジョージメイソン大学のタイラー・コーエン教授も「最も成功している市民への法的、政治的、制度的な敬意と支援がなければ、社会がうまく機能するはずがない」「富裕層の富の拡大は戦略的なリスクテイクが必要で、想像以上に難しく、淘汰も多い」と述べています。

成功した人を、悪人のように見なして、課税を強化することは、社会の発展の要因を阻害します。

◆国家の役割

国家の役割は、「機会平等」の環境を整えることであり、「努力した者が報われる社会」を創ることです。所得の再分配という「結果平等」は、国民のやる気を失わせ、国家を衰退させます。

幸福実現党は「小さな政府」を目指し、国民がイキイキと充実した人生を送る幸福を味わっていただくことを目的としていますので、単なる所得の再分配には反対します。

相続税の強化も反対です。なぜ、財産を持っているだけで、国家に収奪されなければいけないのでしょうか。

◆唯物論的!?

「ピケティは不平等の統一場理論を発見した」と称賛されています。

しかし、過去200年以上の欧米諸国のデータを分析して、このままでは格差拡大が必然であるとして、税金を使って悪平等の世界をつくろうとしています。

とてもフランスの左派にありがちな唯物的な傾向が感じられ、人間を本当の意味で幸福にするとは思えません。

◆企業家精神と騎士道精神、そして宗教心

やはり、富を創りだす企業家精神を持った人々を称讃し、努力する者が報われるようなチャンスの平等が約束された社会こそ、健全に国が発展してきます。

世界はまだまだ発展してきます(ピケティは発展は止まったと感じているようです)。大きなビックプロジェクトに取組み、未来産業を打ち立てねばなりません。

資本の収益率が大きいことは良いことです。そのことによって国民の所得も向上していきます。

かつてのアメリカン・ドリーム、そしてジャパニーズ・ドリームを目指して、成功者を多く出すことが国民全体を豊かにしていきます。

成功者に罰則(課税強化)を与えるような、社会システムにしてはいけません。さらに、成功者は倫理的・宗教的な騎士道精神をもって、社会に富を還元するように努力する使命があります。

成功者であるからこそ、お金を有効に使うことができるのです。そこに成功者(大富豪)の修行の道があるのです。

ピケティは「貧しい人にも教育を受ける権利を平等に」と訴えていますが、それに対して異存はありません。だからと言って、短絡的に課税強化をすべきではありません。

貧しい人に対する教育については、成功者が奨学金などを充実させるなど、慈善事業の奨励をすべきでしょう。
もし、成功者が我利我利亡者のようになったら、いずれその成功は終わるでしょう。

やはり、国民に倫理・宗教心をしっかりと根付かせ、その上で「小さな政府」「機会の平等」「安い税金」を目指せば、国民を幸福にすることができると確信します。


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