[HRPニュースファイル1115]
より転載
http://hrp-newsfile.jp/2014/1685/
文/HS政経塾1期卒塾生 伊藤のぞみ
◆改造内閣と自民党役員人事
9月3日、安倍晋三首相は新しい内閣の閣僚を発表しました。
女性閣僚が歴代最多の5人であったことや、経済産業大臣に歴代最年少の小渕優子氏の入閣が大きく報じられています。
また、自民党役員人事の発表も同日に行われ、谷垣禎一氏が幹事長に就任したことで、安部首相と政策的に距離のある勢力を取り込んだ形になったといわれています。
一説には、今回の内閣改造、役員人事は消費税を増税するために自民党内をかためる目的があって行われたという指摘もあります。
◆8%への増税を決めたGDP速報値
前回の消費税増税では、都合のいいタイミングで、都合のいいGDP速報値が発表されました。
5%から8%の消費税増税の際は、安部首相は7‐9月期のGDPが2%増加に届かなかった場合には増税を見直すという発言もありましたが、1.9%という速報値が出たために、増税が確定しました。
しかし、その後確定値発表され、GDP成長率は実際にはたったの1.1%だったことが明らかになりました。目標の2%にまったく届かない数値です。
2%という目標を本気で気にかけていたのであれば、確定値が発表された12月にでも、増税をストップしていたはずです。
◆増税の影響が現れた-6.8%の経済成長率
先月8月には、4‐7月期のGDP成長率が発表され、年率換算で-6.8%という衝撃的な数値が発表されました。
主な原因は家電製品や自動車、パソコンなどの耐久品や住宅の販売が大幅に減少したためで、予想通り消費税増税の影響が如実に出ています。
内閣官房参与である本田悦朗静岡県立大学教授は、景気後退は想定以上だとして、消費税増税は1年半先送りするべきだと主張しています。
参考:内閣参与「消費税10%は、1年半先送りを」http://toyokeizai.net/articles/-/46850
◆政府支出でも調整できるGDP成長率
GDPは個人が使ったお金、企業が使ったお金、政府が使ったお金、さらに輸出から輸入を引いたお金の合計です。ですから、個人や企業が使ったお金が減っても、それ以上に政府がお金を使えばGDPは増えます。
4-7月期のGDPは個人と企業が使ったお金は減りましたが、政府が使ったお金は増えました。にもかかわらず、-6.8%という数値が出たのは、それだけ個人と企業の消費が冷え込んだからです。
先ほど、2013年にGDP速報値が実際よりも大きく出たことで、増税が確定したという話をしましたが、政府はその気になれば、「景気対策」と銘打って使うお金を増やしGDPを強引に増やすこともできるのです。
◆景気対策は潜在的に民間需要のある範囲にとどめるべき
すでに、消費税増税の景気後退を打ち消すために、大規模な景気対策をすべきであるという意見が出ています。
しかし、政府支出を増やし、GDP成長率を大きくし、消費税を増税して景気を悪化させるのであれば、本末転倒です。
さらに、企業の側からすると新しい顧客を獲得しながら、固定客を作っていくことが事業を継続するために必要であり、継続的な契約につながらない政府の景気対策は、事業の継続性という観点から考えると理想的ではありません。
実際、小泉内閣で公共事業を削ったために、建設業界、土木業界は現在人手不足に陥っています。だからといって、恒常的に政府がお金を出すようになれば、補助金付けとなり、業界の競争力は落ち、財政の負担は増していきます。
景気対策は、景気後退で一時的に需要が落ち込んでいる分野にとどめるべきであり、景気が回復しても民間需要が戻ってこないようなボリュームを大きく超えて行うべきではありません。
◆経済成長は民需主導で実現すべき
経済成長の目的は国民一人ひとりが豊かになることであり、経済成長そのものが目的ではありません。国家の財政は補助的なものであり、主役はあくまでも民間です。
せっかく民間主導の景気回復が実現しつつあったものを、消費税増税でつぶしてしまったことの影響はこれからさらに明らかになるでしょう。
景気対策で政府支出を増やし、高いGDP速報値を発表することで景気回復を演出し、消費税を10%にするという茶番だけは絶対にやめるべきです。
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文/HS政経塾1期卒塾生 伊藤のぞみ
◆改造内閣と自民党役員人事
9月3日、安倍晋三首相は新しい内閣の閣僚を発表しました。
女性閣僚が歴代最多の5人であったことや、経済産業大臣に歴代最年少の小渕優子氏の入閣が大きく報じられています。
また、自民党役員人事の発表も同日に行われ、谷垣禎一氏が幹事長に就任したことで、安部首相と政策的に距離のある勢力を取り込んだ形になったといわれています。
一説には、今回の内閣改造、役員人事は消費税を増税するために自民党内をかためる目的があって行われたという指摘もあります。
◆8%への増税を決めたGDP速報値
前回の消費税増税では、都合のいいタイミングで、都合のいいGDP速報値が発表されました。
5%から8%の消費税増税の際は、安部首相は7‐9月期のGDPが2%増加に届かなかった場合には増税を見直すという発言もありましたが、1.9%という速報値が出たために、増税が確定しました。
しかし、その後確定値発表され、GDP成長率は実際にはたったの1.1%だったことが明らかになりました。目標の2%にまったく届かない数値です。
2%という目標を本気で気にかけていたのであれば、確定値が発表された12月にでも、増税をストップしていたはずです。
◆増税の影響が現れた-6.8%の経済成長率
先月8月には、4‐7月期のGDP成長率が発表され、年率換算で-6.8%という衝撃的な数値が発表されました。
主な原因は家電製品や自動車、パソコンなどの耐久品や住宅の販売が大幅に減少したためで、予想通り消費税増税の影響が如実に出ています。
内閣官房参与である本田悦朗静岡県立大学教授は、景気後退は想定以上だとして、消費税増税は1年半先送りするべきだと主張しています。
参考:内閣参与「消費税10%は、1年半先送りを」http://toyokeizai.net/articles/-/46850
◆政府支出でも調整できるGDP成長率
GDPは個人が使ったお金、企業が使ったお金、政府が使ったお金、さらに輸出から輸入を引いたお金の合計です。ですから、個人や企業が使ったお金が減っても、それ以上に政府がお金を使えばGDPは増えます。
4-7月期のGDPは個人と企業が使ったお金は減りましたが、政府が使ったお金は増えました。にもかかわらず、-6.8%という数値が出たのは、それだけ個人と企業の消費が冷え込んだからです。
先ほど、2013年にGDP速報値が実際よりも大きく出たことで、増税が確定したという話をしましたが、政府はその気になれば、「景気対策」と銘打って使うお金を増やしGDPを強引に増やすこともできるのです。
◆景気対策は潜在的に民間需要のある範囲にとどめるべき
すでに、消費税増税の景気後退を打ち消すために、大規模な景気対策をすべきであるという意見が出ています。
しかし、政府支出を増やし、GDP成長率を大きくし、消費税を増税して景気を悪化させるのであれば、本末転倒です。
さらに、企業の側からすると新しい顧客を獲得しながら、固定客を作っていくことが事業を継続するために必要であり、継続的な契約につながらない政府の景気対策は、事業の継続性という観点から考えると理想的ではありません。
実際、小泉内閣で公共事業を削ったために、建設業界、土木業界は現在人手不足に陥っています。だからといって、恒常的に政府がお金を出すようになれば、補助金付けとなり、業界の競争力は落ち、財政の負担は増していきます。
景気対策は、景気後退で一時的に需要が落ち込んでいる分野にとどめるべきであり、景気が回復しても民間需要が戻ってこないようなボリュームを大きく超えて行うべきではありません。
◆経済成長は民需主導で実現すべき
経済成長の目的は国民一人ひとりが豊かになることであり、経済成長そのものが目的ではありません。国家の財政は補助的なものであり、主役はあくまでも民間です。
せっかく民間主導の景気回復が実現しつつあったものを、消費税増税でつぶしてしまったことの影響はこれからさらに明らかになるでしょう。
景気対策で政府支出を増やし、高いGDP速報値を発表することで景気回復を演出し、消費税を10%にするという茶番だけは絶対にやめるべきです。
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