小学5年生のときにキューピットさんを知り、その後小学校では大流行となりました。

 

僕は好きな子をキューピットさんにバラされ、少々憤慨していましたが、知りたいことを何でも教えてくれるキューピットさんの虜になっていました。

 

 

学校のお昼休み、男の子二人がペンを手に取りキューピットさんを始めました。

 

周りにはクラスメイトが輪を囲んで集まっています。

 

  キューピットさん来てください。

 

 

いつものようにペンは「はい」へ進み、ハートのところへ戻りました。

 

みんながキューピットさんに質問することは、もっぱら恋愛の話です。

そしてその質問とキューピットさんの答えに一喜一憂する女子たち。

 

しかしその途中、事件は発生しました。

 

キューピットさんは質問に答えることもなく、二人が握ったペンは文字盤の上を暴走しはじめたのです。

 

  イ ワ サ キ バ カ

 

  マ ツ ダ シ ネ

 

  オ ニ ヤ マ コ ロ ス

 

 

周りにいた女子の一人が声を上げました。

 

  何してるん?

 

 

ペンを握っている男の子の一人はクラスでもヤンチャな子でした。

その子が泣きながら

 

  分からん!

 

と涙を流しながら声を上げました。

クラスメイトは皆声を失い、ペンを見つめました。

 

キューピットさんは暴走を続けます。

先に出た三人の名前を連呼して、「シネ」「コロス」です。

 

そして「マツダ」は僕の名前でした。

 

キューピットさんの祟りだ!!

 

そう思いました。

 

 

そのとき独りの女子が駆け出し、職員室へ駆け込み担任の吉田先生を呼んできました。

先生は二人の握ったペンを手で振り払い、「お前たち何をやっているんだ!」と一撃。

キューピットさんをやっていた二人の男子を含め、クラス大半の子は泣いていました。

 

先生は文字盤を破り、丸めてズボンのポッケに入れ、「もうこんなことするな」と言い、今までキューピットさんをやった人は職員室まで来るように言い、戻っていきました。

 

 

教室にいる女子たちは恐怖に怯えて号泣しています。

キューピットさんが暴走したこともそうですが、キューピットさんをやるときには約束があったのです。

 

それは

 

  使用した後の文字盤は8時間以内に燃やすこと

 

です。

 

今回キューピットさんが暴走した文字盤は先生が破って持って行ってしまいました。

そのため皆はキューピットさんが怒って祟りがあるんじゃないかと思ったのです。

 

 

7~8人の生徒が職員室前に並び、先生から叱られました。

そして一人ずつ思いっきりビンタをされました(今では問題ですが)。

 

もちろん僕もされました。

目が眩むほどの衝撃でした。

 

そして鬼山くんがビンタされたとき、彼はよろめき廊下の窓ガラスに頭を打ち付け、ガラスは割れました。

 

 

周りの子たちが「鬼山くん大丈夫?」と声をかける中、彼は両手で右耳を押さえ、うずくまりました。

 

  キャーッ!

  鬼山くん、耳から血が出てるよ!!

 

 

彼の左耳から血がポタポタと落ちていました。

そしてその瞬間、みんなは凍り付きました。

 

そう、ガラスに当たった右ではなく左側の耳から血が出てきたのです。

 

 

職員室前で10名弱の人がいましたが、その瞬間シーンとなりました。

 

僕はその後の記憶はありません。

ただ、後日鬼山くんは普通に登校して来たのは確かです。

 

これが人生最初のキューピットさん事件でした。

 

これでキューピットさんは止めようと思ったのに・・・。

後にさらなる恐怖が待っているとは考えもしませんでした。