180/PALMA VIOLETS | Surf’s-Up

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180/Palma Violets



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ジェフ・トラヴィスが1曲聴いただけで契約を決めたと言われている、Palma Violetsのファースト。


ファーストシングルBest Of FriendsはNMEのSong Of The Yearに選ばれるなど、すでに多くの注目を集めているバンドであるが、こういう話を聞くと逆に構えてしまうのが、自分の悪い癖。


音も佇まいも、ネクスト・リバティーンズと称されがちであると余計にそう。今まで期待に胸高まらせて、がっかりしたことが幾度もあった。


全11曲で、40分弱。ロックンロールとしては見事なサイズ。


オープニングは1stシングルのBest Of Friends。何の飾りもないギターなのに、なぜか強烈な雰囲気が漂ってくる。「せーの」で自分たちの鬱屈とした日常を塗り替えてやろうと、そんな思いが伝わってくるような独特の雰囲気だ。


オルガンで始まる2曲目Step Up For The Cool Catsはもろ60'sR&Bの流れを汲んだナンバー。続くAll The Garden BirdsはメランコリックなオルガンといかにもUK的な転調が見事。そして、4曲目Rattlesnake Highwayは、単純明快な青臭い疾走ロックチューン。


ざらついたギターとヴォーカルの掛け合い、ひたすら高みを目指していくような曲展開。楽曲はかなり粒ぞろいであるが、トーンがやや似通っている。それ故、流れとして単調に見えるところもある。ロックンロールアルバムのスリリングさが薄れてしまうところがあるのだ。


サウンド的には、単にガレージライクな音作りではなくて、R&B,ブラック・ミュージックなどのエッセンスもぶち込みつつ、わかりやすい歌メロで、各曲を力ずくでまとめ上げているような印象がある。


「力ずく」と書くと、無理があるように思われるかもしれないが、そうではなくて、メロディーの力が強い故に、細かいプロダクション無しでも素晴らしいナンバーに仕上げることができるということ。


逆に言えば、荒削りな面が目立つと言うことにもなる。が、彼らに洗練されたサウンドを求める人なんかいないだろう。この「問答無用」感こそが、彼らの存在を際立たせているのだから。個人的には、この「荒さ」という武器を今後どのように生かしていくのかに注目している。


(26/07/13)