UK北部モアカム出身の4人組The Heartbrakes。フジでも多くの人を集めていたが、ヴォーカルがモデルをやってるということもあるのか、心なしか女性多めに見えました。
しかし、モリッシーやカール・バラーのサポート・アクトを務めるなど、単なるルックスだけのバンドではないことは証明済み。そんな中、満を持してのファーストが届けられた(大分前なんですが・・・)
プロデュースはあのエドウィン・コリンズ。エドウィン自身が彼らをかなり気に入っているようで、レコーディングの声をかけたのも彼からとのこと。
オープニングのLiar, My Dear。個人的にはこの曲がベストトラックだと思っているのだが、冒頭からいきなり必殺の泣きのメロディー。こういうのをいきなり持ってこられると、やっぱり自分の青春時代に聴いたギタポ・ネオアコアルバムのことを思い出さずにはいられない。Orange Juice,Haircut100(再結成したんですね!)そして個人的にはRailway Children。2曲目のリードトラックDelay Delayもまさに王道のギタポ。奇を衒わず、ポップ・マナーに則ったナンバーだ。勢いのある曲を次々に繰り出し、青春の狂騒を鮮やかに描き出そうという、そんな意図が感じられる曲構成になっている。
しかし、単なるリバイバル系のバンドではないなと思わせるところもあって、西部劇のサントラのようなWinter Gardensで見られるギターの厚みなんかは、ブリットポップ全盛時代にUKロックが得た財産的なもの。曲調の幅広さも、21世紀に入って若手が試行錯誤しながらギターロックの可能性を探ってきた動きに重なるところが多い。
でも、何にせよまずはこの全編甘酸っぱさにあふれたギター・ポップを小難しいことを考えずに楽しむのがいいだろう。やや恥ずかしい表現であるが、これだけ明快で瑞々しいメロディーを持ったアルバムはなかなかないと思う。バンド名にこのサウンド、ダメな人は全く受け付けないと思うけど、大した実力を持った新人です。
★★★★(30/09/12)