Moth/Exlovers | Surf’s-Up

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 ロンドンを拠点に活動する男女5人組、Exloversのフルアルバム。これまでリリースされたシングルはどれも完売だったそうだが、それらの作品も今回再レコーディングされ、今作に収録された。このアルバムが出るまで、僕は彼らの存在を知らなかったが、シングルのプロデューサーにスティーヴン・ストリートの名前もあった。アルバムの帯やライナーノーツには「ネオアコ・リバイバル」「シューゲイザー」「ドリーム・ポップ」などの言葉が並ぶ。つまりはそういうバンドだ。


 メンバーの中心人物、ピーター・スコットはニルヴァーナやスマパンなどUSオルタナから聴き、それから後にマイブラやジザメリなど英国シューゲイズの音を聴くようになったとのこと。ほかのメンバーはベルセバやピクシーズが好きだそうだが、ギターサウンドのダイナミズムとメロディーの美しさという共通項が浮かび上がってくる趣味だ。


 オープニングは疾走感あふれるStarlight,Starlight。メロディーはネオアコ、サウンドはちょいシューゲイザーというわかりやすい構造で、新鮮味はないが女性ヴォーカルの質感がすごくマッチしている。続くThis Love will Lead You Onは13期のTFCのような轟音ギターポップ・・・


 シングル、既発曲が多数あるだけあって、キャッチーな曲がぎゅっと詰め込まれたベストアルバムのようにも聞こえる。似たテイストの曲が多いのは否めないが、メロディーの質で一気に走りきろうとする、そういう制作の意図が感じられる。そしてその走りきる速度感、そこがこのバンドの生命線であるようにも感じる。


フォーキー・ポップなI Wish We'd Never Metでゆったりしたり、ラストのMoth-eaten Memoriesのように遮二無二つっぱしったりと、その変化が心地よい。


 「こういう感じ、なんか聴いたことあるなぁ」と考えているうちに思い浮かんできたのがThe Pains Of Being Pure At Heart。1st,2ndとスタイルの幅を広げた彼らであるが、exloversの場合はそれを1枚分にまとめたような感がある。完成度という点ではかなり高い。ただ、伸び代が見えてこないという余計な心配も。


 ★★★★(06/08/12)