米クリーブランド出身のバンド、Cloud Nothingsのセカンド。ディラン・バルディを中心に友人と共に結成され、音楽ブログ等を中心に話題となった彼ら。1st「Cloud Nothings」はDIY精神あふれるローファイ・ポップを機関銃のように放ちまくるアルバムになっていた。決して完成度は高くないかもしれないが、どの曲も強烈なフックを持っていて、矢継ぎ早に繰り出されていく感じがとても心地よかった。セカンドでは、そこから一歩深化した姿を見せている。しかしそれは、自分が思い描いていたものとは少々違っていた。
ピアノと重々しいビートから始まる1曲目No Future/No Past。不穏なエネルギーが底からグツグツと沸き上がってくるような蜷局系のグルーヴ。もうこれだけで、1stとは違う道を目指していることがわかる。そして個人的ベストトラックである、9分近くに及ぶ2曲目Wasted Days。アグレッシヴなギターリフと吐き捨てるようなヴォーカルそこにキャッチーなメロディーが加わり、とんでもない疾走感を見せる。これだけでも十分圧巻なのだが、3曲目Fall Inでも全く手をゆるめることなく、激情を叩きつけてくる・・・
今作はプロデューサーにスティーヴ・アルビニを迎え制作された。アルビニの名前を聞くと、愛想のない無骨なノイジー・サウンドがパッと浮かぶが、確かにサウンド的にはかなりシンプルかつソリッドな方向へシフトしている。それでも彼の過去のプロデュース群と比べると、かなりポップな印象がある。
きっと音のヴァリエーションを増やせば、フォスター・ザ・ピープルのように時代の寵児的な存在になれるくらい、素晴らしいソングライティングの力を持っている。1stではその予兆を感じさせるものだったのが、ここではその対局を行くように、あえてギターロックに特化している。
結果、これでもかというくらいロックンロールのダイナミズムを味わうことのできる素晴らしいギター・ロック・アルバムとなっている。インストも含め(これがまためちゃめちゃかっこいい)全8曲、捨て曲全くなし!1曲1曲すごく練られているわけではないけど、サウンドのささくれ具合が絶妙で、このヒリヒリするような質感がどうしようもなくクセになる。
Smith Westernsあたりが好きな人にはかなりストライクだと思うし、パワー・ポップ的なテイストもあるので案外多くのリスナーを吸引する力はありそう。リリースからレビューするまでにすごく時間がかかったけど、未だヘビロテな1枚。1stもかなりお勧めです。
★★★★★(08/04/12)