Interpol、通算4作目。前作はメジャーからのリリースであったが、今作再び自身のレーベルからのリリースとなった。聴き手にとってはメジャーだろうがインディだろうが大きな問題ではないが、Interpolの場合、前作がややビルドアップしてサウンドがゴージャスになりかけたので、インディ復帰はやや嬉しく思えるニュースだった。
硬質でダークなサウンド、引き合いに出されるバンド名は、Joy Division。しかしInterpolが単なるフォロワーバンドで終わるはずがない。今作では「Interpolとは何ぞや」という問いにきっちり答えた作品となっている。
重厚なリフに地を這うようなベースライン、ずしりと響くドラムで始まるオープニングSuccess。かつてほど漆黒に包まれた感じはないものの、徐々に熱を帯びていくメロディーラインはまさにInterpol。そして、ポールのバリトン・ヴォーカリゼーションは冴えに冴えている。
と、まずは安心させてくれるような1曲から始まるが、全体的に見るとバンドのチャレンジ心はまだまだ旺盛なのが分かる。例えば8曲目のTry It Onで見せるサウンド。ピアノとドラムのループに直情的なメロディーが絡み、その間隙を縫うように進入する電子音・・・もちろん世界観が大きく変わることはないが、明らかに次のステップとなるような1曲である。メロディーの方は前作よりも更にキャッチーになった感がある。特にメランコリックなメロディーが増えたような気がする。初期Interpolのサウンドからはちょっと想像できないかもしれないが、叙情性すら漂わせるくらいウェットな質感が今の彼らにはある。このメランコリックがやや強調された感が、ファンにとっては評価の分かれるところなのではないかと思うが。
個人的に好きなのがこれまた新機軸とも言えるSummer Well。スカスカのリズムとピアノ・ループから始まり、愁いを帯びたギターや推進力漲ったベースなどによってサウンドが徐々に構築されていく様が見事だ。そして、リードトラックでもあるLights。イントロのギターのシンプルなかっこよさとポールの表現力豊かなヴォーカルが生きた曲だ。いっそのこと、ギターとポールのヴォーカルだけでも良かったんじゃないかと言うくらい、この両者には存在感がある。
メンバー各々がこのアルバムについて違う性質のコメントを残しているが、そういう側面のあるアルバムだと思う。原点に返ったようなクールでソリッドな音空間と、野心的なチャレンジが同居している作品であり、聴き手によっても印象が変わってくると思う。ただ、あえて苦言を言わせてもらうと、相変わらず好きなテイスト満載なんだけど、もう一つ、感性に食い込んでくる曲がやや少なかったのも事実。ややエッジが甘いというか、自分はもっと彼らの「振り切れた」部分を見てみたいなと思うのだ。
★★★★(16/10/10)