番外編~歩旅最果島紀行~12日目
11月30日(火)
~自転車日本一周サーフィンの旅番外編~
~歩旅最果島紀行~
【旅を終える時】

太陽がこの大海原を金色に染めている。
自分には見えた気がした。
この先にあるものが。
それがなんなのか。
それはわからない。
でも。
自分の気持ちは日本国最西端の碑を。
遥かかなたまで通り越していた。
世界というものが。
こんなに近くに感じられたのは初めてだ。
そして心に誓った。
いつか。
行く。
この先に広がる世界に。
その時。
必ず。
また会えるだろう。
自分の中にある旅する心に。
それまでの間…
昨夜の雨は南の島をムワッとした熱帯夜にした。
この島のメインストリートにはX'masの飾り付けが賑やかに踊っているのに。
それが季節外れのような気さえしてしまう。
そして。
安宿の角部屋に紛れ込んだ一匹の蚊が、さらに自分から季節感を奪っていった。
『しっかり寝なきゃ…』と、心で思いながらも。
夏が戻って来たと勘違いして、はしゃいでいる一匹の蚊は。
自分を容易には寝かせてくれなかった。
睡眠不足・空腹・読書
以前にどこかで見聞きしたような記憶がある。
乗り物酔いの三大原因だと。
寝ようが寝れまいが。
朝は都会の地下鉄のように規則正しくやってくる。
目覚ましが鳴っているという現実を否定しようかとも思ったが。
そういう訳にも行かなかった。
週に2便しかない与那国島行きのフェリーだ。
乗り遅れれば週末まで待たねばならない。
昨晩。
窓ガラスから差し込む色とりどりの街のネオンが眩しくて閉めたカーテンを勢いよく開けると。
そこには。
雲ひとつない青空が見渡す限りに広がっていた。

フェリー与那国の発着する港に向かう。
昨日の雨がまだ路面を濡らしてはいたが、乾くのは時間の問題といった所だ。
チケット売り場に着き乗船名簿に名前を書く。
そのままチケットを購入し、まだだいぶ早いがフェリーに乗り込んだ。

今までの経験をもとに船の後方中央の寝台席に荷物を降ろした。
さりげなく各所に置かれている洗面器が自分を少しだけ緊張させた。

時間を持て余した自分はデッキに出て贅沢過ぎる青空を眺めていた。
特に何をする訳でも無く。
船の中をうろうろしていた。
自分はこんな時間が堪らなく好きでもある。
エンジン音が一段階強くなった。
マフラー?煙突?からボワっと黒煙が上がり。
陸と海を繋いでいたロープが解き放たれた。

いよいよだ。
そんな高鳴る気持ちと無造作に置かれた洗面器から伝わってくる緊張感に全身が支配された。

サラサラサラっと船が刻む白波は心地好く。
吹き抜けるそよ風もまた心地好かった。
どうやら海の神様は自分のささやかな願いを心良く受け入れてくれたようだ。
今日の海は驚くほど静かで優しかった。

最上部のデッキに出た自分はいつしか眠りにと誘われていた。
ふと目覚めると、左手に西表島が見えた。
自分の顔は思わずにやけた。
たくさんの思い出が出来た亜熱帯の島。
そこに住む人と手付かずの大自然。
そして出会えた人達の笑顔が頭に浮かんだ。
海風はやや強くなってはいたが相変わらず海は凪いでいた。
西表島を過ぎた頃から多少揺れはしたが、以前の苦い記憶に比べればゆりかごのようなものだった。
航海も4時間くらいたった頃だった。
風が肌寒かった自分は寝台に寝そべっていた。
ふと、外の空気が恋しくなり後部デッキに出た。
それと同時に自分の目に島が写った。
その島は突然海から岩盤が隆起して出来た島なのか、垂直の断崖絶壁に回りを囲まれていた。

この島が与那国島だ。
東京から二千数百㌔
那覇からでさえ五百㌔以上離れている。
半面。
台湾までは僅か111㌔しか離れていないのだ。
国境の島とどこかで見たパンフレットに書かれていた。
国境か…
船が取り舵いっぱい!といった感じで港の方へ船首を向けた。
到着した港は、島の大きさに不釣り合いな程簡素だった。

まずは今日の宿を探す。
素泊まりOKの民宿があったので電話で予約をした。
電話に出てくれたおばちゃんの声が優しかったのでなんだか安心した。
さて。
ここから最西端を目指して歩くのだが。
実は自分が降り立った港からそこまではすごく近い。
怪我をした翌日翌々日と。
足の状態はみるみる回復したが。
その後からは一定の状態が続いている。
なので目指す場所が島の反対側とかじゃなくてよかったという気持ちも少なからずあった。
サーフボードを脇に抱えバックパックを背中に乗せて太陽が傾く方向へと歩き始めた。
さっきまで船を揺らしていた北風が今度はサーフボードを舞上げようと吹きつけてくる。

それを必死で堪えながらゆっくりゆっくりと一歩ずつ足を前に進めていった。

短かくて急な坂道を上がると。
目的のその場所へたどり着いた。

が、自分の意識はその先に見える開けた場所に向かっていた。

太陽がこの大海原を金色に染めている。
自分には見えた気がした。
この先にあるものが。
それがなんなのか。
それはわからない。
でも。
自分の気持ちは日本国最西端の碑を。
遥かかなたまで通り越していた。
ここがこの旅の最終地点である事は間違い無かった。
それを今の自分の気持ちがそっと教えてくれていた。
それは何かと言えば。
次の夢が出来たからだ。
今こうしてこの場に立ち。
この先にある。
世界というものが。
こんなに近くに感じられたのは初めてだった。
いつか。
行く。
この先に広がる世界に。

と、そう心に誓った。
そして。
その時。
必ず。
また会えるだろう。
自分の中にある。
旅する心に。
それまでの間…
旅ともお別れだ。
陽が勢いよく最西端の碑の先に傾いて行く。
旅の最後に夕陽を見ようと決めていた。
一度は雲に隠れてしまった白く輝く太陽が。


雲の下から真っ赤に染まって現れた。
与那国の太陽は水平線には沈まない。

それは。
この先にある世界に沈むからだ。
今自分が見ている夕日が地球のどこかで朝日になって降り注ぐ。
人との出会い巡り合わせと同じように。
縁は円となり繋がっていく。
ゴールは新たなスタートラインとなり。
ずっとずっと続いていくだろう。

ここまでの7ヶ月間。
この旅日記と一緒に旅をしてくださった皆さんもまた。
今日という日に。
一緒にそれぞれの。
何かのゴールを向かえていただければとても嬉しいです。
一人一人の。
新たなオリジナルのスタートラインに着くために。
そして。
自分の旅に色とりどりの思い出を与えて下さった。
旅で出会えたたくさんの皆さん。
本当にありがとうございました。
皆さんあってのこの旅でした。
出会えた人の誰か一人でも欠けていたら。
この旅とは全く違う旅となっていたでしょう。
"自転車日本一周サーフィンの旅"を最高のものにしてくださった皆さんに心より感謝します。

一期一会 一波一会 合掌

~自転車日本一周サーフィンの旅番外編~
~歩旅最果島紀行~
【旅を終える時】

太陽がこの大海原を金色に染めている。
自分には見えた気がした。
この先にあるものが。
それがなんなのか。
それはわからない。
でも。
自分の気持ちは日本国最西端の碑を。
遥かかなたまで通り越していた。
世界というものが。
こんなに近くに感じられたのは初めてだ。
そして心に誓った。
いつか。
行く。
この先に広がる世界に。
その時。
必ず。
また会えるだろう。
自分の中にある旅する心に。
それまでの間…
昨夜の雨は南の島をムワッとした熱帯夜にした。
この島のメインストリートにはX'masの飾り付けが賑やかに踊っているのに。
それが季節外れのような気さえしてしまう。
そして。
安宿の角部屋に紛れ込んだ一匹の蚊が、さらに自分から季節感を奪っていった。
『しっかり寝なきゃ…』と、心で思いながらも。
夏が戻って来たと勘違いして、はしゃいでいる一匹の蚊は。
自分を容易には寝かせてくれなかった。
睡眠不足・空腹・読書
以前にどこかで見聞きしたような記憶がある。
乗り物酔いの三大原因だと。
寝ようが寝れまいが。
朝は都会の地下鉄のように規則正しくやってくる。
目覚ましが鳴っているという現実を否定しようかとも思ったが。
そういう訳にも行かなかった。
週に2便しかない与那国島行きのフェリーだ。
乗り遅れれば週末まで待たねばならない。
昨晩。
窓ガラスから差し込む色とりどりの街のネオンが眩しくて閉めたカーテンを勢いよく開けると。
そこには。
雲ひとつない青空が見渡す限りに広がっていた。

フェリー与那国の発着する港に向かう。
昨日の雨がまだ路面を濡らしてはいたが、乾くのは時間の問題といった所だ。
チケット売り場に着き乗船名簿に名前を書く。
そのままチケットを購入し、まだだいぶ早いがフェリーに乗り込んだ。

今までの経験をもとに船の後方中央の寝台席に荷物を降ろした。
さりげなく各所に置かれている洗面器が自分を少しだけ緊張させた。

時間を持て余した自分はデッキに出て贅沢過ぎる青空を眺めていた。
特に何をする訳でも無く。
船の中をうろうろしていた。
自分はこんな時間が堪らなく好きでもある。
エンジン音が一段階強くなった。
マフラー?煙突?からボワっと黒煙が上がり。
陸と海を繋いでいたロープが解き放たれた。

いよいよだ。
そんな高鳴る気持ちと無造作に置かれた洗面器から伝わってくる緊張感に全身が支配された。

サラサラサラっと船が刻む白波は心地好く。
吹き抜けるそよ風もまた心地好かった。
どうやら海の神様は自分のささやかな願いを心良く受け入れてくれたようだ。
今日の海は驚くほど静かで優しかった。

最上部のデッキに出た自分はいつしか眠りにと誘われていた。
ふと目覚めると、左手に西表島が見えた。
自分の顔は思わずにやけた。
たくさんの思い出が出来た亜熱帯の島。
そこに住む人と手付かずの大自然。
そして出会えた人達の笑顔が頭に浮かんだ。
海風はやや強くなってはいたが相変わらず海は凪いでいた。
西表島を過ぎた頃から多少揺れはしたが、以前の苦い記憶に比べればゆりかごのようなものだった。
航海も4時間くらいたった頃だった。
風が肌寒かった自分は寝台に寝そべっていた。
ふと、外の空気が恋しくなり後部デッキに出た。
それと同時に自分の目に島が写った。
その島は突然海から岩盤が隆起して出来た島なのか、垂直の断崖絶壁に回りを囲まれていた。

この島が与那国島だ。
東京から二千数百㌔
那覇からでさえ五百㌔以上離れている。
半面。
台湾までは僅か111㌔しか離れていないのだ。
国境の島とどこかで見たパンフレットに書かれていた。
国境か…
船が取り舵いっぱい!といった感じで港の方へ船首を向けた。
到着した港は、島の大きさに不釣り合いな程簡素だった。

まずは今日の宿を探す。
素泊まりOKの民宿があったので電話で予約をした。
電話に出てくれたおばちゃんの声が優しかったのでなんだか安心した。
さて。
ここから最西端を目指して歩くのだが。
実は自分が降り立った港からそこまではすごく近い。
怪我をした翌日翌々日と。
足の状態はみるみる回復したが。
その後からは一定の状態が続いている。
なので目指す場所が島の反対側とかじゃなくてよかったという気持ちも少なからずあった。
サーフボードを脇に抱えバックパックを背中に乗せて太陽が傾く方向へと歩き始めた。
さっきまで船を揺らしていた北風が今度はサーフボードを舞上げようと吹きつけてくる。

それを必死で堪えながらゆっくりゆっくりと一歩ずつ足を前に進めていった。

短かくて急な坂道を上がると。
目的のその場所へたどり着いた。

が、自分の意識はその先に見える開けた場所に向かっていた。

太陽がこの大海原を金色に染めている。
自分には見えた気がした。
この先にあるものが。
それがなんなのか。
それはわからない。
でも。
自分の気持ちは日本国最西端の碑を。
遥かかなたまで通り越していた。
ここがこの旅の最終地点である事は間違い無かった。
それを今の自分の気持ちがそっと教えてくれていた。
それは何かと言えば。
次の夢が出来たからだ。
今こうしてこの場に立ち。
この先にある。
世界というものが。
こんなに近くに感じられたのは初めてだった。
いつか。
行く。
この先に広がる世界に。

と、そう心に誓った。
そして。
その時。
必ず。
また会えるだろう。
自分の中にある。
旅する心に。
それまでの間…
旅ともお別れだ。
陽が勢いよく最西端の碑の先に傾いて行く。
旅の最後に夕陽を見ようと決めていた。
一度は雲に隠れてしまった白く輝く太陽が。


雲の下から真っ赤に染まって現れた。
与那国の太陽は水平線には沈まない。

それは。
この先にある世界に沈むからだ。
今自分が見ている夕日が地球のどこかで朝日になって降り注ぐ。
人との出会い巡り合わせと同じように。
縁は円となり繋がっていく。
ゴールは新たなスタートラインとなり。
ずっとずっと続いていくだろう。

ここまでの7ヶ月間。
この旅日記と一緒に旅をしてくださった皆さんもまた。
今日という日に。
一緒にそれぞれの。
何かのゴールを向かえていただければとても嬉しいです。
一人一人の。
新たなオリジナルのスタートラインに着くために。
そして。
自分の旅に色とりどりの思い出を与えて下さった。
旅で出会えたたくさんの皆さん。
本当にありがとうございました。
皆さんあってのこの旅でした。
出会えた人の誰か一人でも欠けていたら。
この旅とは全く違う旅となっていたでしょう。
"自転車日本一周サーフィンの旅"を最高のものにしてくださった皆さんに心より感謝します。

一期一会 一波一会 合掌