私がこの本を読んでみたくなったのは、元刑事の方が書いた本だったから。そして、もうひとつ、発達障害の息子が交番でお世話になったことがあるからです。
…といっても、低学年のころ私の帰宅が下校に間に合わず家に入れなくて「お母さんが帰ってきません」とおまわりさんの所に行ったことと、高学年になって私に怒られ「家出してやる!」と交番に駆け込んだくらいですが。
なんとなくですが、発達障害と警察って少なからず関わりがあるような気がしてしまいます。
実際に、職務質問を受けるのは、定型発達の人よりも発達障害の人の方が多いらしいです。
警察の目にも挙動不審に見えるのでしょうか。
この著書の榎本さんは、警察をやめた後、特別支援教育に携わるお仕事をされているようです。その榎本さんへのインタビュー形式でこの本は進んでいきます。
私は、心理とくにABA(応用行動分析)畑の人間ですが、この本はABAについて書いてあるわけではありません。
ただ、療育を大きな目で見て、面白いなと思えたことや、ABAと通じるなと思えることもありましたので、心に残った部分をいくつか紹介します。
◆刑事が被疑者の行動の変化をもたらすために◆
著書の榎本さんは『悪いことをした被疑者であっても、最終的には行動の変化を導き更生してもらうことが目的である。頭ごなしに怒鳴りつけても何も効果はない』とおっしゃっています。
そして、以下の流れを踏むそうです。
① 『興奮の鎮静化』
② 『感情の共有』
③ 『信頼関係の醸成』
④ 『影響力の行使』
⑤ 『行動の変化』
これって、ABAや療育に通じるものがありますよね。
(療育の場合)
① パニックになった場合はタイムアウト
② 言葉に表せない気持ちをセラピストが代弁してあげる
③ 一緒に遊ぶなどしてラポールを形成
④ 指示を出す(SD)
⑤ 指示に対して成功させる(場合によってはプロンプト)
そして、この箇所を読んで、太平洋戦争時の名将の山本五十六の名言を思い出してしまいました
やってみせ 言って聞かせてさせてみて 誉めてやらねば人は動かじ
話し合い 耳を傾け承認し 任せてやらねば人は育たず
やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば人は実らず
人に行動をさせるということは、根本は同じなのかもしれません。人を動かす「名将」などと呼ばれる人は、ABAでの対応を、普段の経験から自然と学べていたんですね。
今はそれが科学的なデータとなった…またまたABAが好きになってしまいました。
◆発達障害の世界には遵法教育が必要◆
話を本に戻します。
榎本さんは、発達障害の世界には遵法教育が必要だとおっしゃっています。
それは、発達障害者であっても、最低限抑えておかなければならないルールがあるからです。
逆に言えば、それさえ知っておけば、かえって自由にのびのびと生きられるのだそうです。
「おまわりさんにつかまるとはどういうことか」
それは
他人の生命、身体、財産を壊したり、脅かしてはいけない
ということです。
これだけ守っていれば、あとはゆったりと構え、大目に見てもいいのではないかとおっしゃっています。
そして、
「子どもがキレることより支援者がキレることの方が怖い。体調管理を万全に。」
とおっしゃっています。
私の心に響きました。
◆元刑事がみる「発達障害でもとりあえずどうにかなっている人」
榎本さんいわく、「やってること」に「才能がはまっている人」はどうにかなっていることが多いようです。
知的障害がない人の場合は
「普通の教育をなんとか受けて、その後適性のある仕事につけた人たち」だそうです。
インタビュアーの方は、特別支援教育の発展によって、頑張りや理不尽と無縁になりつつあるけれど、得るものもあれば失うものもあるのかもしれないと話されていました。
ここからは私の意見です
発達障害の子どもを持つ親は、何かの事件の加害者が『発達障害』という報道で、とてもショックを受けます。
「うちの子は大丈夫かな?」「今は大丈夫でもいつ二次障害になるかわからない」って不安になりますよね。また、ニュースを見て「親は何してるんだ!!」「親の責任だ!!」なんて言っている声を聞いて
「あなたは発達障害児育てたことあるんですか?!」「どんなに大変かわかってるんですか?!」
って思ってしまいますよね。
でも、親になったら親を辞めることはできません。親になったら死ぬまで親なのです。そして、子どもの成長には親は欠かせません。
だれの子でもない、自分の子を助けるのは、親である自分の責任です。
私は自分にそう言い聞かせながら、愛すべき我が子をサポートしています
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