私は母校に向かう途中。
そこで特別講義が行われるらしい。
駅をでて、バス停の前、私は友人を見つけた。
なんでも職を探していると言う。良い当てが見つかりそうだ、
友人はそう言った。
私は子どもの手をひきながら、「じゃ私もついでにそれをやる」と言った。
友人はこれからいって私の分も了承を得てこようと言った。
私はその友と別れ、二人の子を連れ、かつての学び舎に向かった。
誰かが来やすく声をかけてきた。学友らしいが、知らない人の顔だった。
教室は人であふれていた。
私は子どもたちを隣に座らせ、そうして男を探す。
探してはいけないと思いながらも…
かすかに頭に残る気配を頼りに、男を探す。
誰にも気がつかれないように、そっと…
しかしそこには人が多すぎた。本、人、話し声、鞄、荷物…
子どもにもかまわなければならない。
仲の良いものたちがしきりに話しかけてくる。
私はまるで男を探すどころではなった。
諦めかけたその時、段違いになった会場の、私のすぐ頭の上を黒い靴が
通った。その靴が通る時だけ、
記憶とそこにある空間が音を緩めるような気がした。
(いた!)
私はしめやかに男のいたことを悟り、そうして沈黙した。
男は私のいるのを知っていた。
私が子どもを連れているのも…
それでいて、何も言わずに通り過ぎたのだ。
頭の上を、そっと、私の体をかすめもせずに…
私は男のいた方を見た。
不思議と、男には上半身がなかった。
━─━─━─━─━─
今朝がた見た夢を書きました。
おかしな夢を見た で始まる、漱石の夢十夜を読んだからかな?
せっかくなので、それになぞらえて書きました。
しかし、夢十夜、あの第五夜が気にいらない。ひどすぎる。
文鳥・夢十夜 (新潮文庫)/新潮社
¥452
Amazon.co.jp
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
文豪シリーズもご覧ください。
◆人間失格
◆桜桃忌はこちら
◆太宰とは何者だったか?はこちら
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
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友人はそう言った。
私は子どもの手をひきながら、「じゃ私もついでにそれをやる」と言った。
友人はこれからいって私の分も了承を得てこようと言った。
私はその友と別れ、二人の子を連れ、かつての学び舎に向かった。
誰かが来やすく声をかけてきた。学友らしいが、知らない人の顔だった。
教室は人であふれていた。
私は子どもたちを隣に座らせ、そうして男を探す。
探してはいけないと思いながらも…
かすかに頭に残る気配を頼りに、男を探す。
誰にも気がつかれないように、そっと…
しかしそこには人が多すぎた。本、人、話し声、鞄、荷物…
子どもにもかまわなければならない。
仲の良いものたちがしきりに話しかけてくる。
私はまるで男を探すどころではなった。
諦めかけたその時、段違いになった会場の、私のすぐ頭の上を黒い靴が
通った。その靴が通る時だけ、
記憶とそこにある空間が音を緩めるような気がした。
(いた!)
私はしめやかに男のいたことを悟り、そうして沈黙した。
男は私のいるのを知っていた。
私が子どもを連れているのも…
それでいて、何も言わずに通り過ぎたのだ。
頭の上を、そっと、私の体をかすめもせずに…
私は男のいた方を見た。
不思議と、男には上半身がなかった。
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